関節痛

関節痛を予防する栄養素と食べ物

関節痛とは①関節リウマチ(関節自体を包み守っている軟骨などが炎症を起こし、動かなくても痛む)②痛風③後遺症を含む外傷④変形性関節症 などで、関節に痛みを感じる症状をいいます。
気温が低く湿度が高いと痛みが強く出るため、気象と深い係わりを持っていますが、関節軟骨を丈夫にする成分を日常的に取ることで、関節の変形を予防したり痛みを緩和したりすることが可能です。
関節軟骨と深い係りのあるコンドロイチンやグルコサミン、オメガ3脂肪酸などをたっぷり取りましょう。コンドロイチンやグルコサミンはたんぱく質と一緒に結びついて分布しているので、肉や魚などの良質なたんぱく質をきちんと取ることが大切です。
関節痛は冷えも大きな要因となるので、血行をよくして体を温めるしょうが・よもぎ・とうがらしなども日常的に取り入れましょう。

コンドロイチン

正式名称はコンドロイチン硫酸。ムコ多糖類の一種で、食物繊維の仲間で水溶性の成分。たんぱく質と結びついて皮膚・血管壁・軟骨・関節など体の結合組織を構成し、体組織に水分や弾力を与えている。関節軟骨の約1/3占め、潤滑油の働きをしている。成長期までは体内で生産されるが、25歳をピークに徐々に生産力が低下し、欠乏していく。ネバネバした食品に含まれているので、日常的に取り補うとよい。特に体内での生産力が低下する年齢からは十分取るようにしたい。動物性と植物性があるが、吸収率は動物性の方が高い。

コンドロイチンを多く含む食品:
動物性 : フカヒレ、ウナギ、ドジョウ、ヒラメ、ナマコ、鶏の皮など
植物性 : やまのいも、さといも、納豆、なめこ、オクラなど

グルコサミン

軟骨の主成分のひとつで、糖とアミノ酸が結びついたアミノ糖の一種。ヒトは肉や魚などの食べ物から体内でグルコサミンを合成しているが、加齢に伴い分解する速度に合成が追いつかず、合成力も低下して欠乏していく。欠乏していくと関節変形の進行が促進する。

グルコサミンを多く含む食品:
カニやエビの殻に含まれるキチン質、ウナギ、干しエビ、やまのいも、オクラ、イカの軟骨、きのこ類など

オメガ3脂肪酸

魚や植物に含まれる不飽和脂肪酸で、体によい脂肪酸の代表格。関節痛の痛みを和らげる働きがあるが、酸化しやすい欠点がある。そのため体内で抗酸化物質のビタミンEが多く消費されるので、ビタミンEを一緒に取ると効果が高まる。

オメガ3脂肪酸を多く含む食品:
ウナギ、鮭、ブリ、サバ、イワシ、サンマ、マグロ、しそ油、亜麻仁油など

たんぱく質

体を構成する成分で、人間の体から水分を除いた重量の1/2以上を占める栄養素。約20種類のアミノ酸からなる重合体で、内8種類は必須アミノ酸と呼ばれ、体内で作ることができない(あるいは十分に作られない)。生命維持や活動に欠かすことのできないため、三大栄養素と呼ばれている。

たんぱく質を多く含む食品:
肉類、魚介類、乳類、乳製品、豆類など

しょうが・よもぎ・とうがらしなど

しょうが : 血液の循環をよくして体を温める。関節痛の痛みを和らげる。
よもぎ : 血行をよくして体を温め、リウマチや冷え性などに効果がある。
とうがらし: 体全体の血行をよくし、鎮痛作用が関節痛やリウマチの痛みを緩和する。

関節痛を予防する生活習慣

気温が低く湿度が高いと痛みが出やすい関節痛は、寒い冬よりも秋や春などに多く見られる症状です。
立ったり歩いたりする二足歩行の人間は、膝の軟骨に負担がかかり(膝には体重の3倍の負担がかかるといわれている)、磨り減っていく宿命にあります。そして20歳を過ぎる頃から関節軟骨の変性は始まり、平均55歳頃には大半の人が関節痛を発症しているといわれています。
関節軟骨の弾力性を保つ栄養素をしっかり取ると同時に、関節痛を予防する生活習慣を身につけましょう。「低気温で高湿度」という気象状況も大きく影響しているので、気象情報もこまめにチェックする習慣をつけることも大切です。

体を冷やさない・冷房の効きすぎに注意

関節を冷やさないように気をつけましょう。冷えると血流が悪くなり、十分な栄養補給ができなくなり、痛みが増します。夏場の冷房も要注意。過度の冷房は関節痛発症の原因になります。痛むところを保温すると血行がよくなり痛みが和らぎます。

体を動かす

体を動かすと血行が促進され、血の巡りがよくなります。体も温まり関節軟骨に必要な栄養成分が十分補給されます。関節運動として「温水プールでの歩行」がおススメです。水の浮力によって関節への負担が軽減され、水圧による負荷で心肺機能の強化も期待できます。適した水温は30℃前後といわれています。

筋肉を鍛える

膝の関節を支えている筋肉は、運動などの衝撃から関節を守る働きを持っています。筋力が衰えるとその部分の血流が悪くなり必要な栄養補給もできなくなります。日常的に簡単なストレッチなどをして筋力を保つ努力をしましょう。若くても筋肉がないと関節痛を発症するので気をつけましょう。

椅子に座る

正座は関節に負担をかける姿勢です。日常生活の中で関節への負担を減らすためにも、椅子を使うことをおススメします。

体重増加に気をつける

特に関節軟骨の変性が始まる20歳ごろからの、過度の体重増加に気をつけましょう。肥満は生活習慣病だけでなく、関節への負担も増加させます。といって不必要なダイエットは逆効果。無理なダイエットでアミノ酸が不足すると、筋肉ができなくなり、骨も弱くなり、体重を支えることができなくなります。その結果特に膝関節への負担が増加することになるのです。

気象情報に注意する

関節痛は気象と深い関係があるので、事前に気象をチェックすることで症状の悪化を予防しましょう。寒くなりそうだったら温める、湿度が高そうだったら除湿するなどの対策を取りましょう。

ネバリのある食材で作る関節痛予防味噌汁

毎日飲みたいお味噌汁。コンドロイチンやグルコサミンを含むネバリのある食材を使って、関節痛予防味噌汁を作りましょう。体が温まることで血液の循環がよくなり、関節痛の痛み緩和に働きます。味噌には原料の大豆の栄養素がたっぷり含まれており、若さ維持や生活習慣病の予防にも有効です。味噌の中で活動している微生物は、加熱に弱いので沸騰させないように気をつけましょう。

納豆とにらの味噌汁

納豆とにらの味噌汁
納豆はたんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含む発酵食品で、特有のネバリには関節液を補って潤滑油の役目をするコンドロイチンが含まれています。β‐カロテンを豊富に含むにらと一緒に取ると、免疫力が高まる食べ合わせになります。

なめこ・麩・大根おろしの味噌汁

なめこ・麩・大根おろしの味噌汁
なめこに含まれるコンドロイチンは関節がスムーズに動くように働き、味噌と麩の不飽和脂肪酸がプラスされることで関節痛の予防効果がさらに高まります。大根おろしに含まれる辛み成分のイソチオシアナートは免疫力強化に働きます。

さといもとブリの味噌汁

さといもとブリの味噌汁
さといもとブリの味噌汁は、さといものコンドロイチン・ブリのオメガ3脂肪酸・味噌の不飽和脂肪酸の働きで、軟骨の弾力が維持され関節炎の緩和が期待できる食べ合わせです。さといものヌメリとブリのDHAは脳細胞を活性化する働きを持ってるので、さといものヌメリは落とさないようにしましょう。

オクラとワカメの味噌汁

オクラとワカメの味噌汁
独特のヌメリを持つオクラは「レディーフィンガー」とも呼ばれる栽培歴史の古い野菜です。オクラに含まれるコンドロイチンとグルコサミンが関節内の新陳代謝をスムーズにして関節液を補い、食物繊維がコレステロール値低下に働きます。ワカメと一緒に取ると血圧安定に有効な食べ合わせになります。

トロロと春菊の味噌汁

トロロと春菊の味噌汁
春菊は常食すると胃腸が丈夫になり、豊富に含まれるβ‐カロテンや薬効は加熱することで含有量が高まります。長いもが含有するコンドロイチンが潤滑油の働きをして軟骨の弾力を維持し、味噌の不飽和脂肪酸がその働きをさらに高めます。

関節痛を予防するレシピ

本格的な寒さを迎える季節の変わり目は気象の変化が大きいため、関節痛が出やすい季節です。体を温めて血流をよくするなど日常生活に注意を払うと同時に、関節痛を予防する栄養素を含んだ食べ物を積極的に取りましょう。
関節軟骨の約1/3を占めているコンドロイチン、新しい軟骨の生成を促進するグルコサミン、関節炎の痛みを和らげるオメガ3脂肪酸などを摂取し、関節痛の緩和に努めましょう。コンドロイチンやグルコサミンは加齢に伴い体内での生産量が低下するので、年齢に応じてたっぷり取ることが大切です。
コンドロイチンはやまいも・さといも・オクラ・なめこ・ウナギ・納豆などのネバネバしているものに、グルコサミンは干しエビ・ウナギ・イカの軟骨・きのこ類などに多く含まれています。また、血液の循環をよくして体を温めるしょうが・よもぎ・ターメリックなども一緒に取ると効果が高まります。

干しエビのパジョン

干しエビのパジョン
乾燥して作られる干しエビにはカルシウムや鉄分などの栄養成分が凝縮して含まれ、殻のキチン質には関節の変形を食い止めるグルコサミンが含有されています。にらとパプリカのβ‐カロテンが免疫力アップに働き、卵で良質なたんぱく質をプラスします。戻し汁にはさまざまな栄養成分が溶け出ているので無駄なく使いましょう。

干しエビの茶巾揚げ

干しエビの茶巾揚げ
干しエビとしいたけは新しい軟骨生成を促進するグルコサミンを含んでいる食材です。干しエビには良質な不飽和脂肪酸が含まれており、くるみのビタミンEをプラスすることで脂質の酸化が予防され、関節炎の痛み緩和に働きます。

ウナギの落花生入り卯の花

ウナギの落花生入り卯の花
ウナギと落花生を一緒に取ると、関節痛予防に働くコンドロイチン・コラーゲンなどが豊富に取れ、落花生のビタミンEがウナギの不飽和脂肪酸の酸化を防ぐため、関節痛の緩和に優れた食べ合わせになります。血液循環をよくして体を温めるしょうがをプラスすることで、関節炎の痛み緩和がさらに高まります。おからや落花生の食物繊維が腸内環境を整え、コレステロール低下に働き、三つ葉でカロテンとビタミンCを補います。

ウナギの大根信田巻き煮

ウナギの大根信田巻き煮
ウナギはコンドロイチン・グルコサミン・コラーゲンなどを含有し、関節液を補って新しい軟骨の生成促進や弾力のあるみずみずしい肌を作るなどの働きを持っています。含有する脂質は良質なEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といったオメガ3脂肪酸で、油揚げに含まれる不飽和脂肪酸と一緒にコレステロール値低下に働きます。大根を一緒に煮ることで胃腸を温め消化吸収を高めます。

なめこ・さといも・ブリの柳川

なめこ・さといも・ブリの柳川
なめことさといもに含まれるコンドロイチンは関節痛を緩和し、ヌメリには機能性成分がたっぷり含まれます。ブリに豊富に含まれるオメガ3脂肪酸は関節痛の痛みを緩和する働きを持っています。なめこもさといもも、ヌメリ成分に薬効があるのでヌメリを落とさないで調理しましょう。

なめこのかば焼もどき

なめこのかば焼もどき
なめこは関節をスムーズに働かせるコンドロイチンや水溶性の食物繊維を豊富に含んでいる食品です。なめこ・れんこん・豆腐を一緒に取ると、コンドロイチンと食物繊維を豊富に取ることができ、腸の働きが整えられてコレステロール低下に有効な食べ合わせになります。ねぎの白い部分は漢方では「葱白(そうはく)」と呼ばれ、薬用に使われています。

揚げさといものマリネ

揚げさといものマリネ
コンドロイチンを含むさといもと高い抗酸化力を持つオリーブ油のオレイン酸は、関節痛を緩和して肌の弾力を維持する食べ合わせです。さといもの食物繊維がコレステロールを低下させ、たまねぎの硫化アリルが血液凝固を遅らせるため、糖尿病や動脈硬化などの予防にも有効です。

さといもと鮭のハンバーグ

さといもと鮭のハンバーグ
さといもに含まれるコンドロイチンと鮭に含まれるオメガ3脂肪酸を一緒に取ると、関節液の減少を抑えて関節痛の痛みを緩和する食べ合わせになります。抗酸化力の高いオリーブ油がオメガ3脂肪酸の酸化予防に働きます。さといものヌメリ成分には機能性成分がたっぷり含まれますので、ヌメリは落とさないで調理しましょう。

長いもとカレイの海苔揚げ

長いもとカレイの海苔揚げ
長いもとカレイを一緒に取ると、長いものコンドロイチンとグルコサミン・カレイの良質なたんぱく質が肌に弾力を与えてみずみずしさを維持し、関節液不足を補って関節痛予防に働く食べ合わせになります。海苔や青じそに含まれるビタミンAが粘膜を強化し、美肌作りにも有効です。

やまいも入り茶碗蒸し

やまいも入り茶碗蒸し
やまのいものネバリには肌に弾力を与え関節液を作るコンドロイチンや、新しい軟骨の生成を促進するグルコサミンなどが含まれています。なめこをプラスすることでコンドロイチンの摂取量がさらに高まります。エビと卵の良質なたんぱく質がグルコサミンの合成に働き、関節痛の予防に有効。体を温め栄養価も高い一品です。