自律神経失調症

自律神経失調症とは

自律神経失調症とは「自律神経のバランスが乱れたことにより起こる身体のさまざまな不調」をいいます。病変ではないので心身不調であっても、検査の結果に問題は見つからないことが多いのが現状です。心身の不調は、例えば頭痛・耳鳴り・立ちくらみ・冷え・のぼせ・不整脈・不眠・イライラ・不安感・手足のしびれやふるえ・不整脈…など多岐にわたる症状を引き起こします。

自律神経とは

自律神経とは、「心臓を動かす」「血管を収縮させる・拡張させる」「ホルモンを分泌する」など、自分ではコントロールできない自動的に働く神経をいいます。人間の体は気温やストレスなど外的な刺激を受けた時に、「ホメオスタシス」という体内の状態を一定に保とうとする働きを供えています。自律神経はこのホメオスタシスの働きを担い、①精神②神経③内分泌④免疫の調整に働きます。

自律神経は2つの神経に分類される

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経に分類されています。交感神経は活動する神経で、副交感神経は休む神経。体の必要に応じて自動的に切り替わり働きます。
◎交感神経:車に例えるとアクセルの働きで、ストレスが多いとよく働きます。日の出とともに活動し出し、最も活発に働くのは昼間。夕方から夜にかけて徐々に働かなくなります。
◎副交感神経:車に例えるとブレーキの働きで、日の入りとともに活動し出し、最も活発に働くのは寝ている時。太陽が昇るとともに徐々に働かなくなります。

身体を修復する副交感神経

私たちの体内は常に動いているため、修復しなければいけない部分が出てきます。修復は副交感神経が動いていなければ行われないため、副交感神経を十分に働かせることが必要です。副交感神経が活発に働くのは寝ている時なので、病気になったらまず寝ること。副交感神経の働きを活発にすることが治癒の一番早い道となります。

自律神経失調症の4つのタイプ

自律神経のバランスが乱れたことで起こる自律神経失調症は、大きく分けて①体質的に自律神経の働きが乱れやすい「本能性型自律神経失調症」②心理的なことから起こる「神経症型自律神経失調症」③日常のストレスが原因の「心身症型自律神経失調症」④うつ反応から起こる「抑うつ型自律神経失調症」の4つのタイプに分類されます。

約半数を占める心身症型自律神経失調症

4つのタイプの中で一番多いのが、日常生活でのストレス(感情や疲れなど)を無理に抑える心身症型自律神経失調症です。自律神経失調症の約半数はこのタイプといわれており、現れる症状も重さも、人さまざまです。

治療方法

タイプにより異なるため、治療法も①薬物療法②心理療法③理学療法④セルフコントロール⑤ライフスタイルの見直し などさまざまあります。食事・睡眠・運動などの生活のリズムや、ストレスに耐える・心にゆとりを持つなどの自己管理を常に心がけることが大切です。

自律神経失調症の症状を緩和する栄養成分と食べ物

ビタミンB群

ビタミンB群は神経の働きを正常に保つ働きを持っています。不足すると自律神経のバランスが崩れやすく、また強いストレスが続くと消費量が急激に増えるので、日常的にしっかり取るよう心がけましょう。ビタミンB群は互いに作用しあって働くので、バランスよく取ることが大切です。

ビタミンB1糖質をエネルギーに変える働きを持ち、不足するとイライラ・疲労感・記憶力低下・食欲低下などの症状を引き起こす。
食材:穀類(胚芽米や玄米)、米ぬか、豚肉、レバー、大豆、種実類(落花生・ごまなど)、ウナギ、カツオ、卵黄など
ビタミンB2アミノ酸・脂肪・糖質を分解するのに必要なビタミン。
食材:ウナギ、レバー、納豆、卵、乳製品、牛乳など
ビタミンB6たんぱく質や脂肪の代謝に働き、脳の神経伝達物質の合成に欠かせないビタミンで、興奮を抑える働きを持っている。不足するとイライラや記憶力低下などの中枢神経の障害を引き起こす。
食材:肉、魚(マグロ・鮭・サバ・サンマ、カツオなど)、大豆、種実、野菜(葉菜類)、バナナ、酵母、レバー、卵黄、黒砂糖など
ビタミンB12悪性貧血予防に有効なビタミン。睡眠や覚醒のリズムを調整し、不足すると神経や精神に係る症状を引き起こす。
食材:魚(サンマ・イワシ・サバなど)貝類(シジミ・アサリ・ハマグリ・カキなど)、肉、牛乳、レバー、卵など
ナイアシン糖質・脂質・たんぱく質の代謝に欠かせないビタミン。
食材:カツオ、ブリ、サバ、豆類、牛乳、果物など
葉酸ビタミンB12とともに悪性貧血予防に働く。不足すると精神神経異常や胃腸障害なども引き起こす。
食材:ほうれん草をはじめとする緑黄色野菜・酵母・胚芽・豆・肉類・卵・牛乳など
パントテン酸「抗ストレスビタミン」とも呼ばれ、ストレスの多い人には欠かせない栄養成分。
食材:ほとんどの食品に含まれている。

ビタミンC

身体はストレスがかかると副腎皮質ホルモンを分泌して全身の抵抗力を高めます。ビタミンCは副腎皮質ホルモンの原料として使われるため、不足するとストレスが解消されずに溜め込まれてしまいます。ビタミンCはストレスが続くと大量に消費され、また水溶性なので1日数回に分けて摂取すると効果的です。

ビタミンCを多く含む食品:
ほうれん草、ブロッコリー、パセリ、菜の花、キャベツ、ピーマン、いちご、グレープフルーツ、オレンジなど

ビタミンA

自律神経をコントロールして症状緩和に働きます。

ビタミンAを多く含む食品:
牛乳、乳製品(チーズ・バターなど)、卵、緑黄色野菜など

ビタミンE

ビタミンA同様自律神経をコントロールして、症状緩和に働き、ホルモン分泌を調整します。神経の働きが向上し、ストレスに負けない身体が作られます。

ビタミンEを多く含む食品:
穀物、豆類、種実類、緑黄色野菜など

必須アミノ酸

必須アミノ酸は自律神経をコントロールする働きがあり、ビタミンCが副腎皮質ホルモンを合成する時に、酵素として働きます。

必須アミノ酸を多く含む食品:
肉類、魚類、牛乳、乳製品、豆腐、納豆など

カルシウム

神経の係わりと関係し、イライラを鎮めて不眠を解消し、神経の伝達機能神経の興奮を抑える働きがあります。

カルシウムを多く含む食品:
牛乳、乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)、大豆製品、小魚(煮干・イワシ丸干し・チリメンジャコなど)、ヒジキ、ほうれん草、小松菜、ヒジキ、豆腐など

マグネシウム

ビタミンB群の働きを助ける役割があり、脳や神経の興奮を鎮め、精神を安定させ、うつ症状を緩和する働きがあります。

マグネシウムを多く含む食品:
大豆、大豆製品(納豆・豆腐など)、バナナ、ヒジキ、昆布、ワカメ、ごま、アーモンド、落花生、カツオ、ほうれん草など

マンガン

神経過敏を和らげる働きがあります。

マンガンを多く含む食品:
肉類、豆類、酵母、干ししいたけ、キウイフルーツなど

自律神経失調症予防レシピ

自律神経失調症とは、「体を動かす自律神経のバランスが崩れ、そのために起こる体のさまざまな不調の状態」をいいます。病変ではないので、検査をしても異常なし。でも体は不調というつらい状態です。神経や日常のストレスなどが原因として挙げられ、また治療法も心理療法や薬物療法などさまざまあります。飽食といわれる現代ですが、ビタミンやミネラル不足の食生活を送っている人が意外と多く、アンバランスな食生活が自律神経の乱れの原因となっている点も見逃せません。ここでは症状を和らげる食べ物を日常的に取ることで自律神経を上手にコントロールし、症状緩和が期待できるレシピを紹介しましょう。おススメは日常もっとも入手しやすい大豆。大豆はたんぱく質、ビタミンB群、ビタミンE、カルシウム・マグネシウムなどのミネラル類をバランスよく含んでおり、症状緩和に有効な食べ物です。煮る時間がない時は、煮大豆を上手に利用してください。

ウナギの牛乳トロロ

ウナギの牛乳トロロ
牛乳はたんぱく質・ビタミン・カルシウムなどをバランスよく含んだ栄養食品で、ウナギと一緒に取ると、神経の働きが正常に保たれ自律神経がコントロールされる食べ合わせになります。胚芽米のビタミンB1がプラスされることで、イライラや疲労感がより一層解消されます。

サバとヒジキの炊き込みごはん

サバとヒジキの炊き込みごはん
胚芽米にサバとヒジキを加えて作る炊き込みご飯は、胚芽米のビタミンB1、サバの良質なたんぱく質やビタミンB群、ヒジキのカルシウムやマグネシウムの働きで、自律神経失調症の症状緩和に有効な食べ合わせになります。イライラ解消やうつ症状の緩和にも有効です。

常夜鍋

常夜鍋
豚肉とほうれん草で作る鍋は、豚肉のビタミンB1とほうれん草のビタミンCの働きでストレスへの抵抗力が高まるため、神経の働きが正常化される食べ合わせとなります。ほうれん草のビタミンCは加熱時間が短いほど多く取れるので、茹で過ぎに注意しましょう。

イワシのナッツフライ

イワシのナッツフライ
イワシは良質なたんぱく質やビタミンB群、カルシウムなどを豊富に含んでいる青魚です。ビタミンEを豊富に含むナッツと一緒に取ると、自律神経がコントロールされ、症状緩和に有効な食べ合わせになります。青じそやレモンのビタミンCがプラスされると、ストレス対策に優れた効果を発揮します。

酢大豆

酢大豆
煎った大豆を酢に漬けて作る酢大豆は、体調を整え、ダイエットにも優れた食べ物です。酢には血管を丈夫にして血流をよくする働きがあり、大豆と一緒に取ると、大豆の栄養素が体に無駄なく吸収されます。大豆が含有するたんぱく質・ビタミンB群、カルシウムやマグネシウムが自律神経失調症の症状緩和に有効に働きます。

ヒジキ入り大豆ボールのミルクシチュー

ヒジキ入り大豆ボールのミルクシチュー
ヒジキを入れて作る大豆ボールは、ヒジキと大豆のカルシウムがイライラを鎮め、マグネシウムがうつ症状緩和に働くため、症状緩和が期待できる食べ合わせです。クリームシチューのたんぱく質・ビタミンB群・カルシウムがプラスされ、より一層の効果が期待できます。にんじんでビタミンAを、じゃがいもでビタミンCを、オリーブ油でビタミンEを補い、ストレスに負けない身体を作ります。豊富なカルシウムが骨の強化に働きます。

大豆リゾット

大豆リゾット
胚芽米と大豆は、ともにビタミンB群を豊富に含んでいる食べ物です。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変え、B6やナイアシンはたんぱく質や脂質の代謝に働き、神経の働きを正常に保ちます。チーズのたんぱく質やカルシウムがイライラを鎮めて自律神経のコントロールに働き、オリーブ油のビタミンEがホルモン分泌の調整に働きストレスに負けない身体を作ります。

2色大豆れんこん

2色大豆れんこん
大豆とれんこんは、大豆のビタミンB群・カルシウム・マグネシウムと、れんこんのビタミンB12・ビタミンCの働きにより、神経の働きが正常化され、自律神経失調症緩和に有効な食べ合わせです。ビタミンB12は悪性貧血予防に有効なビタミンであり、不足すると神経や精神に影響を与えます。くるみをプラスしてビタミンEを補い、ホルモン分泌を調整します。コレステロール値低下や整腸作用にも優れています。

大豆とウナギのサラダ

大豆とウナギのサラダ
ウナギは必須アミノ酸を含有している良質なたんぱく質・ビタミンB2・ビタミンAなどを、大豆は良質なたんぱく質・ビタミンB群・カルシウム・マンガンなどを豊富に含んでいます。必須アミノ酸やビタミンAは自律神経をコントロールする働きを持ち、ビタミンB群が神経の働きの正常化に働くため、自律神経失調症の症状緩和が期待できる食べ合わせとなります。ブロッコリーのビタミンCが全身の抵抗力を高めます。

大豆のマリネ

大豆のマリネ
ビタミンB群を豊富に含んでいる大豆は、神経の働きを正常に保つ働きに優れています。大豆はイライラを解消するカルシウム、うつ症状を緩和するマグネシウムなども含有しており、自律神経失調症の症状緩和に有効な食品です。パセリでビタミンC、にんじんでβ-カロテンを補います。