みつばちが花から集めた蜜で、1万年以上も前から食していたと推測され、紀元前6千年ごろのスペイン・アラーニャの洞窟の壁画に、はちみつを採集する人の姿が描かれています。特権階級の食べ物で、クレオパトラが愛用していた古代エジプトでは税金が課されていました。現在もなお、採集方法は変わることなく、ほとんどが手作業で行われています。
●はちみつの種類
花蜜:花の蜜から採集されるはちみつ。野に咲く草花や樹木の花、ナッツ、フルーツ、ハーブなどのあらゆる種類の花々。またみつばちが一種類の花ではなく、複数の花々の蜜を集めてきて、自然にブレンドされた百花蜜(マルチフラワー)がある。
甘露蜜:樹液から採集されるはちみつ。樹液はもともと濃度が濃いので、採集されるみつは褐色で深みがある。ミネラル含有が高い。
餅米・米麹・焼酎を原料とする酒類で、日本独特の甘い飲物として戦国時代頃から飲まれていましたが、今は主として調味料として用いられています。お正月に飲まれるお屠蘇の原料でもあり、江戸時代に清酒が一般的になる前は「美淋酒・蜜淋酒」と呼ばれた甘い高級酒でした。江戸後期には現在のみりんに近い形になり、一般に普及したのは戦後です。
●みりんの種類
本みりん:アルコール度数13.5~14.59%。酒なので酒税がかかる。
みリん風調味料:アルコール度数1%未満。
発酵調味料:アルコール度数8~20%で、塩が100CC当たり1.5g以上入っている。アルコール度数が高いが塩が入っているので、酒税がかからない。
そら豆の胚乳と唐辛子を熟成させてつくる塩辛い味噌で、四川料理によく使われる調味料です。「醤(じゃん)」と呼ばれる中華調味料は、紀元前5世紀に遡る歴史を持っており、一番ポピュラーなのがトウバンジャンです。中華調味料の辛みを出す代表的な食材は唐辛子で、清時代から使われ出し、生産量が多くかつ良質なものは四川省といわれています。●その他の中華調味料
甜麺醤(テンメンジャン):中国では「麺醤」ともよばれ、小麦粉を発酵させた味噌状の調味料。全還元糖30.5%と甘いことから、中国語で「甘味」を意味する「甜」の字がつけられている。日本で販売されている甜麺醤は、八丁味噌に糖類やごま油を加えてつくられている。ホイコローや北京ダックに向く。
トウチ醤:蒸した黒豆をしょうゆ麹で発酵させたもので、庖丁で細かく砕いて使用する。手軽に使えるように味噌状にしたものがトウチ醤。鶏肉炒め物などに向く。
芝麻醤(ヅーマージャン):炒った白ごまをよくすりつぶし、油でのばしたペースト状の調味料。ごまの香りが香ばしく、棒々鶏(バンバンジー)に向く。
XO醤:干し貝柱、干しエビ、唐辛子などの食材を炒めたり蒸したりした後に熟成させた調味料。炒め物、チャーハン、点心などに向く。また薬味としても利用される。
日本ではソースといえばトロミがないサラサラのウスターソースをさします。19世紀中期、英国のウスター市でつくられたためこの名で呼ばれ、日本には江戸時代末期に渡来、明治維新で西洋料理が広まると同時に広く一般に浸透しました。ソースの語源は「塩の供給」という意味のサラリーと同じ。甘みとトロミをつけた中濃や濃厚ソースは日本生まれです。
●ソースの種類
ウスターソース:野菜や果実の不溶性固形分をほとんど含まないため粘度が低くサラリとした辛口のソース。粘度が0.2Pa.s未満。
中濃ソース:ウスターソースと濃厚ソースの中間に位置する。ピリッとした味と甘くソフトな味のソース。不溶性固形分も濃厚ソースに比べやや少なく、粘度はウスターと濃厚の中間ぐらい。粘度が0.2Pa.s以上~粘度が1.5Pa.s未満。
濃厚ソース:とんかつソースとも呼ばれている(かつては、フルーツソースともいわれていた)。果実と野菜(とくにトマト)の不溶性固形分を多く含み、とくに果実類を多く使用しており、トロリとして甘くソフトな風味のソース。粘度が1.5Pa.s以上。
紀元前5千年頃には存在しており、人類がつくった最古の調味料であるといわれています。
酒が醗酵してできる酢が活字として初めて登場するのは旧約聖書。4~5世紀頃に米酢の醸造技術が中国から伝来し、江戸時代に庶民に普及しました。「酢」と「酒」に使われる「酉」という字は「熟成」を意味し、そのため酢は「苦酒(からさけ)」と呼ばれていました。
●酢の種類
穀物酢:原料は米、小麦、とうもろこしなどの穀物。幅広く使用されている。
米酢:原料は米。純米酢は醸造用アルコールも使わず米だけでつくられる。
玄米酢:原料は玄米。アミノ酸が豊富に含まれている。
黒酢:まろやかでコクのある味わいが特徴。ドリンクにも合う。
リンゴ酢:原料はりんご果汁。甘い香りが特徴で、ドリンクにも合う。
バルサミコ酢:イタリアの酢で、原料は甘みの強いブドウ果汁。たるでじっくり熟成されてつくられ、甘みがある。
ワインビネガー:原料はぶどうでつくられたワイン。白と赤の種類がある。米酢より酸度が強く、糖分が低い。
日本で発達した発酵調味料。ルーツは中国の「醤(ひしお)」で、製造は大和朝廷の時代に始まり、平安時代には塩、酢、酒と並ぶ「四種器」と呼ばれる貴重な調味料でした。現在のしょうゆのルーツ「溜(たまり)」の誕生は、禅僧覚心が宋から「金山寺みそ」の製法を持ち帰ったといわれる鎌倉時代で、文献に初めて「醤油」の文字が登場したのは室町時代です。
※「醤」とは動物や魚の肉、穀類などをつぶして、塩と酒を混ぜて壺に漬け込み熟成させたもの。液体でソースのような形態。
●しょうゆの種類
濃口(こいくち)しょうゆ:しょうゆ生産量の8割以上を占める一般的なしょうゆ。食塩分は約16%。麹は大豆または脱脂加工大豆を蒸したものに、ほぼ等量の煎って砕いた小麦を混ぜてつくられる。卓上調味料を始めほとんどの煮物に向く。近年、原料に「丸大豆」を使ったものや有機JASの認定を受けたものなど、付加価値の高い商品が誕生している。
淡口(うすくち)しょうゆ:しょうゆ生産量の約14%を占めている。「色が淡い」という意味で塩分は18~19%と濃口しょうゆよりも高い。高濃度の食塩で発酵・熟成を抑え、醸造期間を短くしてつくる。料理素材の魚や野菜などの持ち味や色合いを生かす時に使用される。
溜(たまり)しょうゆ :しょうゆ生産量の2%弱くらい。塩分は約16%。本来大豆だけでつくられるものだが、最近は小麦を10%くらい加えたものが主流となっている。
再仕込み(さいしこみ)しょうゆ :しょうゆ生産量の1%弱くらい。塩分は約14%。 しょうゆを2度醸造するような製法を取るため「再仕込み」しょうゆと呼ばれている。色が濃く濃厚な味で、発祥は山口県の柳井地方。別名甘露しょうゆ、刺身しょうゆと呼ばれている。
白(しろ)しょうゆ:しょうゆ生産量の1%弱くらい。塩分は約18%。麹は蒸した小麦を主原料に煎った大豆を少量用いてつくる。低温・短期間発酵させ、淡口しょうゆ以上に発酵を抑えてつくられる。江戸末期に開発された比較的新しいしょうゆで、色はビールのように淡く糖分が12~16%と高い。