紅菜苔

和名では「紅菜花(べになばな)」と呼ばれるアブラナ科の中国野菜で、原産地は中国揚子江中流の武漢・武昌近く、湖南・湖北のほとりといわれています。そのため武漢では特産品とされ、古来より「宮廷野菜」として皇帝へ献上する野菜だったと伝えられています。また収穫期が冬のため、湖南・湖北では年越し料理に必ず食べる習慣があるといわれています。
日本に初めて伝来したのは1939年(昭和14年)で、日中国交回復を機に本格的な普及が始まりました。黄色い花と赤紫色の茎を持っており、加熱すると赤紫の茎は緑色に変化します。色鮮やかで歯ごたえがよいため、幅広い料理に活用され、ニーズが広がってきている野菜です。

スティックセニョール

ブロッコリーと中国野菜の芥藍(かいらん)を掛け合わせた新種野菜で、「茎ブロッコリー」とも呼ばれています。芥藍は別名「チャイニーズケール」と呼ばれるキャベツの仲間の野菜で、アスパラガスの芯をやわらかくしたような食感を持ち、中華料理によく登場する野菜です。日本で誕生したスティックセニョールですが、誕生時には日本での普及は今一歩。しかしその高い栄養価からアメリカや欧米で人気の野菜となり、日本に逆輸入された経緯を持っています。花部分はブロッコリー、茎部分はアスパラガスの食感を持ち、幅広い料理に活用できます。

甘酒

アルコール分が少なく甘酸っぱくてドロリとした「天甜酒」、『日本書紀』に登場するこの飲み物が甘酒のルーツといわれています。アルコール分を含まない「甘酒」となったのは室町時代。滋養豊かな甘酒は子どもの健康を守る飲み物としておおいに活用され、「ここまでおいで、甘酒進じょ」と幼児に語りかける言葉も残っています。食中毒の多かった江戸の夏場によく飲まれる飲料で、現在の点滴の成分に似ているといわれています。

ココア

古代マヤ・アステカ文明の遺跡から紀元前千年~500年ごろから栽培されていたと推測され、「神々の食べ物」と珍重されていました。大航海時代にスペイン人のコルテスによってヨーロッパに伝わり、日本では1613年にメキシコを訪問した支倉常長が初めて飲んだといわれています。1828年、オランダ人ヴァン・ホーテンによって脂肪分を減らした飲みやすいココアが開発され、世界中に広がりました。

コーヒー

エチオピア原産のアカネ科コーヒー属の植物で、紅茶、ココアとともに三大嗜好品と呼ばれています。標高1千~2千mの山岳地のものが良品といわれ、エチオピアの山羊飼いによってコーヒーの実が発見されたと伝えられています。日本には17世紀に長崎出島からオランダ人によって伝えられ、日本初の喫茶店「可否茶館」が登場したのは明治21年、明治末には全国に広がったといわれています。

紅茶

緑茶を完全に発酵させてつくる茶で、抽出液の色から紅茶と呼ばれていますが、外観は黒褐色。そのため英語ではブラックティーと呼ばれています。中国で発達した緑茶がヨーロッパに渡り、運ばれる長い航海の途中で偶然に発酵したことが、紅茶の発見だといわれています。緑茶に比べて歴史の浅い紅茶ですが、今や全世界の3/4を紅茶が消費しています。

ウーロン茶

発酵茶(紅茶)と不発酵茶(緑茶)の中間に位置する半発酵茶で、カラスのように色が黒く、龍のように曲がっているため「烏龍茶」と命名されたといわれています。香りを引き立てるための工程が多く、「余香回味(ユイシャンホイウェ)」といわれていました。16世紀の明の時代に福建省武夷山で生まれ、完成したのは1800年代半ばの清の時代。数十種類あり、日本には薬として伝わりました。

日本茶

日本で生産される茶の総称で、通常は緑茶をさします。奈良時代末期から平安時代初期に、僧侶によって中国から伝来したといわれ、薬として珍重されていました。鎌倉時代に茶の効能を説いた栄西禅師の『喫茶養生記』は有名です。当時の茶は、抹茶のように臼でひいて飲まれており、現在のように蒸してもむ方法があみ出されたのは八代将軍吉宗の時代です。

泡盛

沖縄特産の焼酎で、わが国最古の蒸留酒です。14世紀中期にタイから持ち込まれた「ラオロン」と呼ばれるお酒が起源といわれ、琉球王朝時代には首里王府の管理下に置かれ、江戸幕府への献上品にも使われていました。名前の由来として「昔、あわでつくった」「泡の立ち具合でアルコール度を測った」などの説があります。3年以上貯蔵したものは「古酒(クース)」と呼ばれています。

ウイスキー

大麦などの穀類を原料とし麦芽で糖化・発酵させた蒸留酒。中世期にアイルランドで誕生したといわれており、1171年の書物にアイルランドの住人が大麦の蒸留酒を飲んでいたとの記述が残っています。現在のような褐色になったのは18世紀に入ってからで、ゲール語の「生命の水(Uisge-beatha)」が転訛してウイスキーになったといわれています。