わさび

アブラナ科の多年草で、日本特産の野菜として古い食用の歴史を持っています。『古今著聞集』には野生のわさびを取ったことが記されており、『和漢三才図会』にはそばの薬味として使ったと書かれています。静岡県の湧水地が栽培発祥の地といわれ、献上されたわさびを事の他気に入った徳川家康公は門外不出にしたと伝えられています。わさびの花も食用されます。

にんにく

ユリ科の多年草で、原産は中央アジアといわれています。旧約聖書に登場するほど古い歴史を持ち、古代エジプトではピラミッド建設に従事する人の重要な食料であり、ヒポクラテスが万病に効くと唱えたといわれています。日本には奈良時代にインド、中国を経て伝来し、『古事記』や『日本書紀』で不浄や悪疫退治に用いられたとの記述が残っています。

とうがらし

ナス科の一年草(熱帯では多年草)。原産地は中央アメリカ、南アメリカおよび西インド諸島で、およそ9千年前に栽培され常食されていたといわれています。世界中に広めたのは新大陸を発見したコロンブス。日本には16世紀中期に伝来し、今では世界三大スパイス(ペパー・シナモン・クローブ)と肩を並べるスパイスです。辛み種は香辛料として、甘み種は果菜として利用されます。

しょうが

ショウガ科の多年草。原産地はインドを中心とした熱帯アジアで、世界中で栽培され、食用、薬用、香辛料として利用されている野菜です。ローマ帝国では関税の対象になったとの記録もあり、コーランの中にも記載が残されています。日本には中国から伝来したと考えられ、「ハジカミ」とも呼ばれる日本最古のスパイスです。地下茎は多肉で強い香りと辛みがあります。

しそ

シソ科の一年草。原産は東インドや中国で、アジアの温帯地方で広く栽培されています。日本では縄文時代の遺跡から種実が出土されており、古くに渡来し各地で自生したと考えられます。薬として利用され、平安時代には香味野菜として栽培が始まっています。葉の種類によって青じそ、赤じそ、片面じそ(表が緑で裏が紫)に分類されています。

こんにゃく

昔から「お腹の砂払い」といわれ、腸をきれいにする食材として食卓に登場。サトイモ科の多年草で、原産はインドシナ半島といわれています。日本には奈良時代に仏教と一緒に中国から薬用として伝来し、その製法が伝えられました。現在、栽培や利用が活発なのは日本。収穫された時の形が象の足に似ていることから、英名では「ELEANT FOOT=象の足」と呼ばれています。

かんぴょう

かんぴょうはウリ科である夕顔の果肉部分を薄く細長くむいて乾燥させたもので、夕暮れ時に花が開くことからこの名で呼ばれています。有名な「東海道五十三次」で安藤広重が初夏の風物詩として、滋賀県水口の「かんぴょう干し」の風景を描いています。かんぴょうは水口から栃木県に伝わり、現在の全生産量の約9割を栃木県が占めています。同じく夕顔と呼ばれる夜顔は、まったく別のものです。

甘草

中国北部の半乾燥地帯に自生するマメ科の多年草で、古来より薬草として用いられ、「生薬の王」と称されるように漢方では重要な生薬とされています。中国最古の医薬書『神農本草経』の上品に記載があり、日本には奈良時代に遣唐使によって導入され、植物が渡来したのは室町時代末です。「あまくさ」とも呼ばれるように甘みを持ち、甘味料としても利用されています。

もやし

もやしは人類が初めて植物の種子の発芽を発見し、発芽を成功させた野菜です。日本では、平安時代に書かれた『本草和名(ほんそうわみょう)』に「毛也之(もやし)」と記述されており、薬用として栽培されていたと考えられています。芽が「萌え出る」ことが名の由来で、明治時代の終わりごろ、中華料理に使われたことをきっかけに、一般家庭に普及しました。

たまねぎ

古代エジプトのピラミッド建設の際に食されていたという記述が残っているほど、古くから食用されてきた野菜です。ユリ科の越年草で、原産地は中央アジアから地中海沿岸あたりと推測されています。ラテン語のユニオン(真珠)が名の由来といわれています。日本への伝来は1770年代。本格的に栽培されたのは明治時代で、一般化したのは洋食が家庭に浸透した戦後です。