ビール

麦芽、ホップ(クワ科に属する植物の花)、水を原料として発酵させたもので、ラテン語の「飲む」という意味が語源で、和名では麦酒と呼ばれています。利尿作用が高いため、かつてドイツでは腎臓病や尿毒症用のビールがつくられていました。ビールのルーツは石器時代、湿らせ発芽させてしまった麦から誕生したといわれています。栄養価も高く、賃金の一部として支払われていた歴史を持っています。

焼酎

蒸留酒の一種で、江戸時代までは医薬品とされた貴重品でした。アルコール分36%未満の焼酎甲類と、アルコール分45%以下の焼酎乙類があります。焼酎乙類は日本独特の蒸留酒で、二次もろみに加える原料により、米焼酎・芋焼酎・黒糖焼酎・そば焼酎などがつくられます。そのまま飲む他に、果汁や炭酸を加えてサワーにするなど多彩な飲み方ができるため人気があります。

清酒

日本古来の酒で、米・米麹・水が原料の醸造酒で、日本酒ともよばれています。酒造りは稲作が始まった弥生時代と推測され、文献に登場するのは、奈良時代に編纂された『播磨風土記』。当時の酒は白濁したにごり酒で、現代のような酒がつくられるようになったのは平安時代の初期と『延喜式』記されています。鎌倉・室町時代には米と同等の経済価値を持ったものとなり、一般大衆に広まったのは江戸時代です。
●日本酒の主な種類
純米酒:米・米麹・水だけでつくる日本酒
純米吟醸酒:精米歩合60%以下の白米・米麹・水だけでつくる日本酒
吟醸酒:精米歩合60%以下の白米・米麹・水・醸造アルコールでつくる日本酒
大吟醸酒:精米歩合50%以下の白米・米麹・水・醸造アルコールでつくる日本酒
本醸造酒:精米歩合70%以下の白米・米麹・水・醸造アルコールでつくる日本酒

ワイン

ぶどう果汁を発酵させてつくる醸造酒。ラテン語の「ビヌブ(vinum)」が由来でこの名で呼ばれています。人類が誕生する以前から存在していたと推測され、最も古い文献は古代バビロニア英雄誌『ギルガメシュ叙事詩』といわれています。キリストが「わが血」と呼んだワインはキリスト教の教えとともにヨーロッパ各国に広まりました。日本でのワインの歴史の始まりは明治時代です。
●ワインの種類
赤ワイン:ぶどうの皮と種子を一緒に発酵させてから搾ってつくる
白ワイン:最初にぶどうを搾ってから皮や種子を取り除き、果汁だけを発酵させてつくる。
ロゼワイン:赤ワインと同じ作り方で、発酵時間を短くしてつくる。

うこっけい卵

別名絹糸鶏と呼ばれ、頭部に冠のように毛冠がついています。体格は鶏よりも一回り小さくて足の指が1本多く、皮膚や骨、肉が紫黒色のため、骨までカラス(烏)のように黒いということでこの名で呼ばれています。原産地は中国といわれ、宮廷で薬膳料理として食されていました。日本には江戸初期に持ち込まれ、観賞用とされていたといわれています。

ピータン

中華料理の前菜に必ず登場するピータンは、アヒルやうずら、鶏などの卵をアルカリ性の泥や特殊調合液に漬けてつくられる加工卵で、中国生まれの保存食です。アヒルの卵でつくられる事が多いのですが、近年はうずらの人気が高まっています。卵白部分にできた松葉模様の結晶ができたものが美味。中国では消化がよいので下痢の時に食べるとよいといわれています。

鶏卵

一番多く流通している卵で、価格の安定した食材です。卵殻の白色が主流で、色のついた有色卵には褐色の赤玉、薄赤玉があり、珍しいものでは、南米チリ産のアローカナ種という鶏が産む青い卵があります。平安時代には縁起が悪いと遠ざけられていた卵ですが、江戸時代にはすっかり定着し、料理集『卵百珍』も出版され、江戸の町には卵売りも登場しています。
●卵の白身と黄身
卵白:濃厚卵白と水様卵白、カラザから成立ち、古くなるに従って水様卵白が増加していく。卵白たんぱくには細菌の増殖を防ぐ成分があり、卵を腐敗から守っている。
卵黄:卵黄膜で包まれた中に円状に位置し、中央の表面には胚盤がある。卵の脂質のほとんどが卵黄に含まれており、カルシウム、鉄、ビタミン類などが豊富に含まれている。

うずら卵

うずらは尾の短い丸い体型をしたキジの仲間で、最も長距離を渡る鳥といわれています。卵は殻が薄く褐色の斑点があり、小型にもかかわらず栄養価に優れています。古くから世界各地に生息しており、中国漢方薬の古書『本草網目』でその効能が評価されています。江戸時代には豪快な鳴き声を楽しむために飼育され、採用卵として飼育されたのは明治中期といわれています。

マーガリン

バターの代用品として1869年、フランスで誕生。当時戦争中だったフランスでは必需品であったバターが不足し、ナポレオン3世によって代用バター懸賞募集が実施され、メージュ・ムーリエによって発明されました。ギリシャ語の「margarite=真珠」にちなんで命名されました。日本には在住欧米人のために明治中期に輸入され、「人造バター」としてつくられ、1952年にマーガリンの名称に統一されました。
●マーガリンの種類
マーガリン:油脂80%以上のもの
ファットスプレット:油脂80%未満のもの

バター

牛乳やクリームからつくられる乳製品のひとつで、文献に登場するのは紀元前15世紀ごろのインドの経典。当時は髪や体に塗る潤滑油として扱われ、食用とされるようになったのは6世紀、フランス貴族の間で広まったといわれています。日本には4~6世紀ごろ、中国から「酪」という形で伝来し、江戸時代中期にバターの試作が実施されたと文献に残っています。「醍醐味(だいごみ)」という言葉は乳製品が由来といわれています。
●バターの種類
発酵バター:乳酸菌を用いてクリームを発酵させてつくる。ヨーグルトのような酸味があり、芳香も高い。ヨーロッパで製造されている
非発酵バター:発酵させないでつくる。ミルクの香りとほのかな甘みがある。日本やアメリカ、オーストラリアで製造されている
加塩バター:食塩を1~2%添加したバター
無塩バター:食塩を添加していないバター