発症の時期だけではなく、日常的に花粉症を軽減する食品を取り、ゆっくりと穏やかに体質を改善し、症状の緩和につなげていくことが大切です。年間を通して入手しやすい「青魚」「ヨーグルト」「ハーブ」で花粉症緩和を期待しましょう。
花粉症を軽減する青魚・ヨーグルト・ハーブの効能
青魚
青魚に含まれる脂質は、α―リノレン酸のイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)で、免疫の働きを正常にしてアレルギー症状を抑える働きを持っています。アレルギー症状を引き起こすロイコトリエンという物質があります。ロイコトリエンは細胞膜の脂肪酸が変化して発生する物質で、EPAやDHAを多く取ることで発生を抑えることができると考えられています。EPAやDHAがロイコトリエンの原料となる脂肪酸(アラキドン酸など)に置き換わり、ロイコトリエンができにくくなるからです。EPAやDHAを有効に取り入れるには刺身や寿司で食べるのが有効で、その時には一緒にわさびを取りましょう。わさびの一時的に鼻詰まりを改善するが働きにより、花粉症緩和がより期待できるからです。
EPAは①血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを増やす。②血管の弾力性を維持し、血栓をできにくくするなどの働きにより、動脈硬化・心筋梗塞・脳血栓などの予防に有効に働きます。
DHAは①悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす。②脳の活性化し、神経組織の発育を促進するなどの働きにより、脳の老化防止に効果を発揮します。
ヨーグルト
花粉症は腸内環境と深くかかわっています。腸内環境を整えるヨーグルトの乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やして便通を改善し、腸の免疫細胞(Th1、Th2)に働きかけて免疫バランスを整える働きを持っています。Th1は細菌やウイルスを攻撃する働きを持ち、Th2は人間の粘膜に異物の侵入を防ぐ細胞のひとつで、これらの細胞の働きにより免疫バランスが改善され、花粉症になりにくい体質を作ることができるといわれています。
腸内環境を整える乳酸菌ですが、特に2種類の乳酸菌(L-92株、KW乳酸菌)は臨床実験でその効能が確認されています。L―92株(正式名称は「ラクトバチルス・アシドフィルスー92株」)はカルピス社が2006年に、KW乳酸菌はキリンビール社が2002年に発見した乳酸菌で、L-92株は臨床実験により「眼と鼻のかゆみが軽減された」と報告されています。
乳酸菌は酵素なので加熱に弱く、最も活動が活発になるのは温度が35~40℃といわれています。加熱する時は適温にすると乳酸菌の効能を有効に取り入れることができます。加熱し過ぎると乳酸菌は死滅しますが、乳酸や乳糖は失われずに生き続け、腸内を酸性にして悪玉菌を減らし善玉菌を増やしてくれます。
ハーブ
ハーブが花粉症に有効と考えられる所以は、抗酸化力の高いポリフェノールを豊富に含んでいるからです。ポリフェノールとはほとんどの植物に含まれている光合成によってできた色素や苦みなどの成分で、強い抗酸化作用を持っています。ポリフェノールは神経を刺激するヒスタミンなどの発生を抑える働きと同時に、活性酸素を抑制する働きを持っているため、炎症を緩和すると考えられています。アレルギー反応により炎症が起こると、そこに大量の活性酸素が発生します。その活性酸素の大量発生により症状がさらにひどくなりますが、その時にポリフェノールの強い抗酸化作用が活性酸素除去に働き、症状を緩和してくれます。ハーブの中でも特にペパーミントが有効といわれています。ペパーミントに限らずハーブは全体に抗アレルギー作用があるので、日常的に取ることで花粉症を軽減するのに有効です。
ハーブは種類にもよりますが、一般に神経疲労、神経の高ぶりを抑える、リラックス効果、抗炎症、殺菌作用など多くの効能を持っています。ハーブは医薬品ではありませんが、医療的効能が実証されている植物であり、その効果が期待できるには時間がかかりますが、逆に副作用の少ないという利点を持っています。
青魚・ヨーグルト・ハーブで花粉症を予防する
花粉症は原則的に自然治癒ができないといわれています。しかし、体質を改善することで、症状を軽減することは可能です。事実、花粉症を軽減する食品が疫学調査などにより発表されています。食べ物で体質を改善していくことは体に負荷を与えませんが、即効力は期待できません。花粉症発症の時期だけではなく、日常的に花粉症を軽減する食品を取り、ゆっくりと穏やかに体質を改善し、症状の緩和につなげていくことが大切です。
花粉症予防レシピ(1)では、年間を通して入手しやすい「しそ」と「緑茶」を取り上げました。花粉症予防レシピ(2)では、やはり年間を通して入手しやすい「青魚」「ヨーグルト」「ハーブ」を取り上げました。
●青魚
青魚に含まれる不飽和脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、α―リノレン酸に分類される油脂で、アレルギー症状を抑える働きを持っています。EPAやDHAを多く取ると、アレルギー症状を引き起こすロイコトリエンができにくくなることが発表されています。EPAやDHAは中性脂肪や悪玉コレステロールの減少に働いて血液をサラサラにし、脳細胞の活性化にも有効に働く成分。日常的に取ることは、花粉症軽減と同時に健康維持にもつながります。
●ヨーグルト
花粉症は腸内環境と深く係わっているといわれています。ヨーグルトの乳酸菌が腸内の善玉菌を増やして便通を整え、腸内の免疫細胞に働きかけて免疫バランスを改善する働きを持っているからです。乳酸菌が最も活動しやすいのは温度が35~40℃の時。軽く加熱するとより有効に効能を取り入れることができます。
●ハーブ
ハーブに含まれるポリフェノールには、神経を刺激するヒスタミンなどの発生を抑えると同時に、体内の細胞を酸化させる活性酸素を抑制する働きがあります。そのためアレルギーの炎症緩和が期待できます。花粉症予防のみならず、若さの維持にも有効なので日常的に取るようにしましょう。
グレープフルーツはビタミンCや食物繊維のペクチンなどを豊富に含んでいるポリフェノールの高い果物です。イワシの良質な脂質と一緒に取ると、抗酸化力が高まって細胞の酸化が予防され、免疫力の働きを正常化・強化します。免疫力の正常化によりアレルギー症状が抑えられるため、花粉症の軽減が期待できます。
イワシ・しょうが・ハーブ・たまねぎは、ともに免疫力の強化に働くため、花粉症に有効な食べ物です。しょうがの温性の性質は体を温めて花粉症軽減に、ハーブやたまねぎのポリフェノールが抗アレルギー作用に働きます。
良質なたんぱく質や脂質を含むイワシは、免疫力の働きを正常にしてアレルギー症状を抑える働きを持つα―リノレン酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を豊富に含んでいます。トマトに含まれるポリフェノールのナリンゲニンカルコンと一緒に取ると、花粉症症状の緩和が期待できる食べ合わせになります。ナリンゲニンカルコンは果皮の部分に多く含まれているので、トマトは皮ごと使うのがベストです。
アジとごぼうはたんぱく質・脂質・食物繊維・ミネラルなどがバランスよく取れる食べ合わせです。卵の良質なたんぱく質と三つ葉のカロテンやミネラルがプラスされることで、体力が強化されて免疫力が高まり、ごぼうや三つ葉のポリフェノールが花粉症軽減の効果をより一層高めます。
アジ・しめじ・にんじん・銀杏は、αーリノレン酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)・食物繊維・ビタミン・ミネラル・ポリフェノールなどをバランスよく取ることのできる食べ合わせです。免疫力が高まり、腸内の環境が整えられ、花粉症軽減が期待できます。コレステロール値低下や便秘解消、ヘルシーなダイエット食としても優れています。
アジは不飽和脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)を豊富に含んでいる青魚です。EPAは血中コレステロールを下げて血栓をできにくくする働きに優れ、免疫力を正常化してアレルギー症状を抑える働きを持っています。じゃがいもには免疫力を高めてアレルギー体質の改善に働く作用があり、一緒に取ることでより高い効果が期待できます。
しょうがは、体を温め、胃腸の働きを高める作用を持っており、抗凝血作用もある薬味です。抗酸化力に優れており、α―リノレン酸が豊富なサバと一緒に取ると、免疫力の働きが正常に保たれ、アレルギー症状の抑制に効果のある食べ合わせになります。血管が強化されて血栓が予防され、食欲増進効果も期待できます。冷蔵庫で約1週間保存が可能です。
サバには血栓予防に働くEPA(イコサペンタエン酸)が多く含まれています。ヨーグルトと一緒に食べ合わせると、腸内の善玉菌が増加されて免疫バランスが改善されるため、花粉症になりにくい体質を作ることができます。ブロッコリーのβ-カロテンが花粉症の軽減にさらに有効に働きます。
サバのEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)とポリフェノールが豊富なれんこんは、免疫力の働きを正常にしてアレルギー症状を緩和する食べ合わせです。れんこんに含まれる豊富な食物繊維は、腸内菌のバランスを整えて花粉症対策に有効に働きます。
サンマとはと麦はともに花粉症予防に有効な食べ物です。サンマの脂質がアレルギー症状の緩和に働き、はと麦はアレルギーによる炎症を抑えて症状の緩和に働きます。サフランの黄色い色素成分のクロシンは抗酸化力の高いポリフェノール。サフランをプラスして花粉症予防効果をさらに高めます。体を温め体力がつく一品です。
サンマをにんにくやねぎなどと一緒に取ると、免疫力が強化され、体が温まり、花粉症の予防に有効な食べ合わせになります。唐辛子やしょうの体を温める作用が冷え症改善に有効に働くため、花粉症軽減の効果がさらに期待できます。血栓予防効果にも優れている一品です。
「サンマが出ると、あんまが引っ込む」という諺があるほど、サンマは滋養強壮に優れた魚として庶民に親しまれています。EPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれる不飽和脂肪酸を豊富に含み、その良質な脂質が免疫力の正常化に有効に働き、アレルギー症状の緩和に働きます。食物繊維が豊富な昆布やポリフェノールを含む山椒と一緒に取ることで、花粉症軽減に優れた食べ合わせになります。
ポリフェノールの高いハーブと食物繊維の豊富なそばは、ポリフェノールの炎症を緩和する働きと、食物繊維の腸内の免疫バランスを整える働きにより、花粉症緩和が期待できる食べ合わせです。ポリフェノールは活性酸素を抑制する働きにも優れており、日常的に取ることでアレルギー発症を抑えることができます。サンマのかば焼で良質な脂質をプラスします。
抗アレルギー作用のあるハーブと抗酸化力の高いごまを一緒に取ると、豊富なビタミンやミネラルの作用で花粉症軽減に有効な食べ合わせになります。ごまに含まれる豊富なカルシウムは吸収を高めるマンガンの働きで無駄なく吸収され、骨粗鬆症予防に働きます。腸内環境も整えられ、コレステロール値低下や便秘解消にも有効です。
ペパーミントは独特のメントール臭を持つシソ科のハーブで、抗酸化力の高いポリフェノールを豊富に含んでいます。αーリノレン酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を含むブリ、ポリフェノールを含むごまやにんじんと一緒に取ると、花粉症症状軽減に有効な食べ合わせになります。カルシウム吸収にも優れており、骨の強化も期待できます。