インフルエンザ
インフルエンザとは
インフルエンザとは
インフルエンザとはインフルエンザウイルス(鳥インフルエンザの原因となるA型及び新型インフルエンザ等感染症の原因となるインフルエンザウイルスは除く)の感染による急性気道感染症です。強い感染力により流行が短期間に拡大するため、厚生労働省によって「五類感染症」のひとつに定められている感染症で、風邪症候群とは異なるものと位置付けられています。
インフルエンザの特徴
発熱・悪寒・頭痛・喉の痛みなどから始まり、39℃以上の高熱や関節痛や筋肉痛など全身に強い症状が出ます。高熱は3~4日間続き、後期から鼻汁や鼻閉症状が著しくなります。気管支炎やインフルエンザ肺炎などの合併症を起こし、重症化することが多く注意が必要です。65歳以上の死亡率が普段より高いのが特徴です。
感染経路
インフルエンザの主要な感染ルートは「飛沫核感染(=空気感染)」です。咳やくしゃみをした時に飛び散る「飛沫(水分を含んだ微粒子のこと)」は、粒子が大きいためすぐに落下します。しかし飛沫は乾燥して水分を含まない「飛沫核」になり、その直径が2ミクロン以下になると長時間空中を漂っていることができるようになります。そのため同じ部屋で一緒に空気をすっているだけで感染することになります。
流行期とその要因
流行期は1~3月の冬の期間です。要因として以下が挙げられます。
◎インフルエンザウイルスの最も適した気象環境は「温度=20℃前後、湿度=20%前後」といわれ、この環境だとウイルスは長期間空気中に漂っていることが可能となる。
◎一方、寒くなると人間の鼻・喉・気管などの血管は収縮し、腺毛の働きが鈍くなる。腺毛はウイルスや細菌の侵入を少なくする働きを担っているため、腺毛の働きが鈍くなるとウイルスが侵入しやすくなる。
◎寒い時期は密閉した部屋にいることが多い。そのためインフルエンザにかかっている人が一緒にいると、そのウイルスを吸ってしまい感染しやすくなる。
猛スピードで増殖するインフルエンザウイルス
気道粘膜についたインフルエンザウイルスは、16時間後=1万個、24時間後=100万個に増えるといわれています。猛スピードで増殖し、粘膜細胞を破壊していきます。
湿度と温度の関係
インフルエンザウイルスは湿度と温度によってその生存率が大きく異なってきます。最適な「温度は20℃前後、湿度は20%前後」といわれ、湿度や温度が高くなるほど生存率が低くなります。以下表は6時間後のウイルス生存率を示したものです。
湿度 | 温度 | 生存率 |
---|---|---|
20% | 20℃ | 70%近く生存 |
50%以上 | 20℃ | 3%生存 |
20% | 32℃ | 17%生存 |
抗体が効かないインフルエンザウイルス
インフルエンザウイルスには抗体が役に立ちません。これはインフルエンザウイルスが生き延びるために遺伝子の配列を変えているためです。そのため一度罹っても抗体が役に立たず、その都度予防接種が必要になります。
予防法
- 睡眠を十分取り、疲れを取り去る。
- 栄養をしっかり取る=免疫力を高める食生活がウイルスに負けない抵抗力をつけます。
- 人混みを避ける。感染している人と同じ部屋に居ないようにする=主要な感染ルートは飛沫核感染なので、同じ空気を吸わないようにします。
- 加湿器を使い、湿度管理をする=インフルエンザウイルスは湿度が高くなると生存率が低くなります。
- ワクチンを接種する=予防としてあらかじめ予防接種で抗体を作っておくと、罹っても軽症ですむことがありますが、完全とはいえません。
インフルエンザを予防する栄養成分と食べ物
インフルエンザウイルスが原因となるインフルエンザの予防は、ウイルスを体内に侵入させないことです。そのためには侵入を阻止するための抵抗力をつけ、免疫力を高めることが大切です。たんぱく質を筆頭に、抗酸化力の高いビタミン類や硫化アリル、カテキンなどを日常的に取り、免疫力強化に努めましょう。
たんぱく質
たんぱく質は体の構成成分で、生命維持や活動する上で欠かせない栄養成分です。血液・筋肉・各種臓器を作り、免疫細胞の材料となって免疫力を強化し、ウイルスや細菌などを排除し、病気への抵抗力を高める働きを持っています。動物性と植物性があり、アミノ酸バランスに優れた良質なものをバランスよく取ることが大切です。
たんぱく質を多く含む食品:
魚類(アジ、イワシ、サンマ、サバ、鮭、マグロ(脂身)、ウナギなど)、肉、卵、牛乳など
ビタミンC
抗酸化性を持つ水溶性のビタミンで、ウイルス感染や寒さへの抵抗力をつけるのに必要な栄養成分です。①体内に侵入したウイルスなどを攻撃して体外に追いやる ②免疫力を高める ③発がん性物質ニトロソアミンの生成抑制効果がある ④体内でのインターフェロン(抗がん剤)生成を促進しがんを予防する などの働きを持っています。十分に取っていると風邪の予防や回復に役立ちます。発熱時には消耗が激しいので十分に取ることが大切です。
ビタミンCを多く含む食品:
キャベツ、パセリ、じゃがいも、さつまいも、ブロッコリー、いちご、みかん、キウイフルーツ、れんこん、ほうれん草など
ビタミンA
皮膚や粘膜を健康に保ち、眼に栄養を与える脂溶性のビタミンです。ウイルスの侵入口となる鼻や喉の粘膜を丈夫にするので、風邪やインフルエンザ予防に欠かせない栄養成分です。動物性食品に含まれるビタミンAはそのまま体内に吸収され、緑黄色野菜に多く含まれるカロテンは体内に入ってビタミンAの働きをします。カロテンの中でも最も効率よくビタミンAに変化するのはβーカロテンです。カロテンは吸収率が低いのですが、油と一緒に料理すると吸収率がぐんとアップします。
ビタミンAを多く含む食品:
レバー、ウナギ、アナゴ、牛乳、乳製品(チーズ、ヨーグルト、生クリームなど)、卵、小松菜、にんじん、かぼちゃ、春菊、ほうれん草など
ビタミンE
脂肪の酸化を防ぎ、血管を丈夫にして血流をよくする働きを持つ脂溶性のビタミンです。白血球やリンパ球の働きをよくして、免疫力を高めます。冷え性予防や血行をよくする働きもあり、不飽和脂肪酸の酸化を防いで動脈硬化の予防にも有効です。
ビタミンEを多く含む食品:
植物油、大豆、玄米、アーモンド、ウナギ、サンマ、イワシ、かぼちゃ、ブロッコリー、アボカドなど
硫化アリル
ねぎやにんにくなどに含まれる刺激臭のある香気成分で、強い抗菌作用と免疫力を高める働きを持っている成分です。体を温める作用もあり、少量を常食すると滋養強壮につながります。
硫化アリルを多く含む食品:
ねぎ(白い部分)、たまねぎ、にんにく、にら、らっきょうなど
亜鉛
DNAやたんぱく質の合成に係っているため、不足すると免疫機能の低下をもたらします。免疫力の低下により、風邪などに繰り返し罹りやすくなります。糖の代謝にも必要な成分で、植物性たんぱく質と一緒に取ると吸収率が促進されます。
亜鉛を多く含む食品:
レバー、カキ、ウナギ、鶏ササミ、サンマ、切り干し大根、シジミ、アサリ、海苔、大豆、ナチュラルチーズ、ごま、凍み豆腐、小麦胚芽など
カテキン
ポリフェノールの代表的なフラボノイドの「カテキン類」に分類される成分で、強い抗菌作用や抗ウイルス作用を持っています。特に緑茶の渋みのもとであるタンニンには炎症を鎮める働きがあり、お茶でうがいをすると喉の痛みが治まります。
カテキンを多く含む食品:
緑茶、紅茶、ウーロン茶など
βーグルカン
きのこ類や酵母に含まれる多糖類で、免疫細胞を活性化する働きに優れています。食べても胃腸で分解されず、腸の免疫細胞に働きかけて免疫力を高めます。ビタミンCと一緒に取ると吸収率が高まります。
βーグルカンを多く含む食品:
まいたけ、しいたけ、アガクリス、かわらたけなど