バジル

シソ科の一年草で、原産は熱帯アジア、アフリカ、太平洋諸島。学名の「Ocimum(=匂いがする)basilicum(=王の)」の由来から、「ロイヤル・ハーブ」とも呼ばれています。古代ローマでは優れた薬草としてさまざまな効能が記され、中国では有益な薬剤として利用されていました。日本には江戸時代に伝来し、目を洗うのに使用していたため、「めぼうき」とも呼ばれています。

ちんぴ

香辛料の一種で、みかんやだいだいなどかんきつ類の皮を乾燥させたものをいいます。古いものほど効能がよいとされ、未成熟の青い皮を干したものは「青皮(じょうひ)」、完熟して黄色くなったものは「橘皮(きっぴ)」、さらに古いものが「陳皮」と呼ばれています。中華料理によく使われ、七味唐辛子の原料のひとつになっています。

セージ

シソ科の多年草で、原産は地中海沿岸。ヨモギに似た香りを持ち、ヨーロッパに紅茶が普及する前はお茶として飲まれていました。賢者が人々に伝えた植物といわれ、「Sage=賢者」と名付けられたといわれています。古代ローマから万能薬として珍重され、「庭にセージを植えると不老不死」「5月に食べると長生きする」などのことわざが残されています。日本には1890年ごろに伝来し、薬用として栽培されました。

シナモン

クスノキ科の樹木の樹皮をはぎ取り乾燥させたもので、スリランカ特産の植物。セイロンニッケイとも呼ばれ、上品な甘みと香りを持っています。近縁種にカシア、ニッキがあり、日本で一番売られているのはカシアです。日本には8世紀前半に伝来したといわれて、正倉院には乾燥したシナモンが保存されています。江戸時代に中国から樹木として入ってきました。

山椒

ミカン科の落葉低木で、北海道や九州までの山野に自生し、ゆずと並ぶ日本料理の二大香辛料です。縄文時代にその存在が発見されている古い歴史を持ち、「ハジカミ」とも呼ばれています。若葉は「木の芽」、熟す前の青い実は「青ざんしょう」と呼ばれ、ともに料理に利用されます。朝鮮半島から兵庫県に伝来した「朝倉ざんしょう」は実が大きく香りも高く、、現在栽培されているもっとも多い品種です。

こしょう

コショウ科の熱帯性常緑つる植物で、原産地はインド。唐辛子、辛子と並ぶ世界三大香辛料のひとつで、「スパイスの王様」「天国の種子」などと呼ばれています。2500年ほど前に薬として登場し、アーリア人によってヨーロッパに普及し、古代ローマでは高値で扱われ、その保有量が財力の証であったと伝えられています。日本には遣唐使を通じて奈良時代に伝来し、「胡(シルクロード)椒(ヒリヒリ辛いもの)」の意味からこの名がつけられました。
●こしょうの種類
黒こしょう(ブラックペッパー):熟していない緑の実を果皮ごと天日で乾かしてつくる。
白こしょう(ホワイトペッパー):赤く熟した実を水に漬けて皮を取り除いてつくる。
グリーンペッパー:熟していない緑の実を塩漬けしたり、乾燥機を使って短期間で乾燥させてつくる。
ピンクペッパー:赤く熟した実を塩漬けしたり、乾燥機などを使って短期間で乾燥させてつくる。

月桂樹

クスノキ科に属する常緑小高木で、原産は地中海沿岸地方。芳香のある葉をローリエ、べイリーフといいます。ギリシャ神話にちなみ、古代オリンピックでは勝者の頭に月桂樹の小枝や茎を編み込んだ冠をかぶせて健闘を称えました。また、中世のヨーロッパではバレンタインの夜に月桂樹の小枝を敷いて寝ると願いがかなうと伝えられていました。日本に伝来したのは明治の末期。庭木や記念樹として広まりました。

クローブ

フトモモ科の熱帯常緑高木で、原産はインドネシアのモルッカ諸島。木全体に特有の香りがあり、とくに蕾に芳香性の精油を含んでいるため、別名「百里香」と呼ばれています。釘に似た花蕾のため、中国では釘を意味する「丁」、仏語では「Clou=釘」、英語では「Clove=釘」が当てられ語源となっています。日本には5~6世紀に伝来し、正倉院に当時の丁子が残されているといわれています。

カレー(粉)

インド南部のタミール語「kari(カリ)」が語源で、ソースや汁を意味する言葉です。インドではその地域や家庭、材料によって10種類以上のスパイスを使ってつくられます。18世紀、東インド会社のイギリス人によってヨーロッパに伝わり、日本には日米修好通条約が締結された後、イギリスから伝来しました。1872年、初めて出版されたカレーの本『西洋料理指南』では、長ネギが使われていました。

からし

アブラナ科のカラシナ類の種子から取れる香辛料で、和がらしの主産地は中国や日本、インドで、洋がらしは中部ヨーロッパ、イギリス、アメリカが主産地です。和がらしは奈良時代から使われていたとの記載が残っており、洋がらしは有史以前からレバノン近辺で栽培され、香辛料として普及したのは、1720年にイギリスのクレメンツ夫人が粉末加工に成功してからといわれています。