ストレスとは
ストレスとは
ストレスとは、「精神的・肉体的に負担となる刺激が加えられることにより、体の機能に生じる歪み」と解釈され、カナダの心理学者ハンス・セリエによって命名された学術用語です。
ストレスを受けると、イライラ感や精神の不安定が引き起こされます。特に季節や環境の変わる春先には、新陳代謝も活発になり、うまくバランスが取れないと精神が不安定になりがちです。中医学では「春という季節そのものが精神の不安定を引き起こす」と捉えられ、イライラ・不眠・動悸などの症状が出やすくなると考えられています。
お腹が空くとイライラする
お腹が空くとイライラするのは、脳のブドウ糖不足が原因です。脳はブドウ糖しかエネルギー源にすることができないため、ブドウ糖が不足すると脳の働きは鈍り、判断力や集中力の低下を招きます。それを回避するため、脳は肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解してブドウ糖を作るよう指令を出します。指令と同時にアドレナリンという攻撃性のあるホルモンを出すため、アドレナリンの作用でお腹が空くとイライラするのです。
ストレスが続くとビタミンCの消費が高まる
ストレスが続くとビタミンCが大量に消費されます。ストレスがかかると体は副腎皮質ホルモンを分泌して、免疫力や抵抗力を高め、ストレスに対抗しようと働きます。この副腎皮質ホルモンの原料にビタミンCが使われるため、ビタミンCが不足すると副腎皮質ホルモンの分泌が減り、ストレスを解消することができなくなります。ストレスを溜め込む結果になってしまうので、ビタミンCはしっかり取りましょう。
ストレスを繰り返すと、マグネシウムが減少する
ストレスが繰り返しかかると、血液中のマグネシウムが減少します。マグネシウムの約60~65%は骨に含有されており、不足すると骨から放出される仕組みになっており、その時にマグネシウムの約5倍ものカルシウムも同時に放出されます。骨から多量のカルシウムが放出されると骨粗鬆症の促進原因となるので注意が必要です。マグネシウムはリンを多く取ると、体外に排出されて吸収が妨げられるので、リンを多く含む清涼飲料水や加工食品の取り過ぎには気をつけましょう。
イライラ・精神安定に効く栄養素
体調が変わる季節の変わり目や、ストレスの多い現代では、イライラや精神の不安定な状態が多く発生します。ストレス要因を取り除くと同時に、ストレスを予防する有効な栄養成分を含む食べ物を日常的に取り、安定した精神維持に気をつけましょう。
バランスよく食べることが基本ですが、「イライラ気味」「精神が不安定気味」と感じた時は、次のような栄養素を積極的に取り、精神安定を維持しましょう。
トリプトファン
精神安定・催眠・鎮痛などの作用のある神経伝達物質のセロトニンの原料となる必須アミノ酸で、牛乳から発見された。脳に運ばれたトリプトファンは、ビタミンB6やマグネシウムと一緒にセロトニンを作る。
トリプトファンを多く含む食品:
バナナ、カッテージチーズ、牛乳、卵黄、凍み豆腐、落花生、黄な粉、アーモンド、干しゆばなど
カルシウム
骨や歯を作る栄養素であると同時に、神経の伝達機能神経の興奮を抑える働きがある。不足するとイライラするので、カルシウム吸収を高める働きのあるビタミンDも一緒に取ると効果が倍増する。
カルシウムを多く含む食品:
乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)、魚類全般(煮干・イワシ丸干し・チリメンジャコ・ワカサギ・ドジョウなど)、ほうれん草、小松菜、ヒジキ、豆腐など
ビタミンB6
神経伝達物質の合成に欠かせないビタミンで、不足するとイライラや記憶力低下などの中枢神経の障害を引き起こす。たんぱく質の代謝を助け、皮膚をかぶれにくくする働きもある。
ビタミンB6を多く含む食品:
酵母、レバー、胚芽、肉類、牛乳、豆、卵黄、野菜(葉菜類)、マグロ、鮭、サバ、サンマなど
マグネシウム
脳や神経の興奮を鎮め、精神安定に働く。清涼飲料や加工食品に多く含まれるリンの取り過ぎは、マグネシウムの吸収を妨げるので取り過ぎには注意が必要。
マグネシウムを多く含む食品:
アーモンド、カシューナッツ、大豆、納豆、豆腐、干しヒジキ、昆布、ワカメ、カツオ、バナナ、枝豆、ほうれん草など
ビタミンB1
脳にとって唯一のエネルギー源であるブドウ糖の代謝に欠かせないビタミンで、不足するとイライラ・疲労感・記憶力や食欲の低下を引き起こす。
ビタミンB1を多く含む食品:
米ぬか、大豆、落花生、豚肉、ウナギ、枝豆、卵黄、魚卵、じゃがいも、さつまいもなど
ビタミンC
不足するとストレスが解消されずに溜め込まれてしまう。ストレスが出ると体は対抗するため副腎皮質ホルモンを分泌する。ビタミンCは副腎皮質ホルモンの原料として使われるため、ストレスが続くと大量に消費される。
ビタミンCを多く含む食品:
いちご、グレープフルーツ、オレンジ、ブロッコリー、ほうれん草、パセリ、菜の花、ピーマン、キャベツなど
たんぱく質
体の構成成分で、ビタミンCが副腎皮質ホルモンを合成する時に、酵素として働く。
たんぱく質を多く含む食品:
肉類(豚モモ肉・牛モモ肉など)、魚類(アジ・マグロ・紅鮭・ウナギなど)、牛乳、乳製品(ヨーグルト・チーズなど)、豆腐、納豆など
イライラ・精神安定に効くレシピ
ストレスを受けると、イライラや精神不安定などが引き起こされます。そんな時には気持ちを落ち着かせる食べ物を積極的に取り、精神安定に努めましょう。
セロトニンという神経伝達物質があります。別名「ハピネス・ホルモン」と呼ばれ、脳内に増えると、脳はリラックスしてイライラした感情がなくなり精神安定に働きます。
現代人はストレスにさらされる機会が多く、特に季節や環境の変わる春先には精神が不安定になりがちです。そんな時にはセロトニンの原料となる必須アミノ酸のトリプトファンを毎日の食卓に取り入れ、脳内にセロトニンをどんどん増やしましょう。その他、カルシウムやビタミンB群、マグネシウムやビタミンCなども、精神安定に有効に働く栄養素です。
イライラしてきたなと思ったら、精神安定に有効な栄養素を含む食べ物を取り、上手にストレスを回避しましょう。
マグロに含まれる良質なたんぱく質やビタミンB6とワカメのマグネシウムやカルシウムは、神経の伝達機能神経の興奮を抑えて精神安定に働く食べ合わせです。ビタミンB1やB6を含む卵の卵黄はイライラや記憶力低下の予防に働き、ストレスにより大量消費されるたんぱく質を補います。滋養に優れ、生活習慣病予防も期待できます。
菜の花・ブロッコリー・オレンジはストレスを抑える働きのあるビタミンCを豊富に含んでいます。さらに菜の花とブロッコリーはカルシウム含有も高く、豆腐のカルシウムと一緒にイライラ予防に働きます。豊富な食物繊維がコレステロール値を低下させて腸の働きを整え、抗がん作用も期待できる食べ合わせです。
バナナとカッテージチーズには、催眠や精神安定に有効なセロトニンの原料となるトリプトファンが豊富に含まれています。黒豆はマグネシウムやビタミンB6などセロトニンを作る時に欠かせない栄養成分を含有し、ビタミンB1はイライラや疲労感予防に働くため、バナナ・黒豆・カッテージチーズは精神安定に優れた食べ合わせになります。カルシウム含有の高いカッテージチーズが骨の強化に働き、落花生がトリプトファンをさらに増やします。
バナナに豊富に含まれるトリプトファンとマグネシウムはセロトニンを増やして精神を安定させ、カリウムが血圧を安定させ、糖質が即効性のあるエネルギー源として働きます。ビタミンB1を豊富に含む豚肉と一緒に取ると、ストレスが予防され体力が強化される食べ合わせになります。付け合せでビタミンCが豊富な野菜を取ると、ドライプルーンの持つ増血作用が高まります。
良質なたんぱく質を含有する牛肉と、トリプトファンやマグネシウムを含むバナナは、ストレスを予防して精神安定に働く食べ合わせです。付け合せにセロリ・しそ・パセリなどの香り野菜をプラスして血流をスムーズにし、精神安定効果をさらに高めます。増血作用や体力強化にも優れた食べ合わせです。
春菊のビタミンC・ウナギのたんぱく質・枝豆のビタミンB1の食べ合わせは、ストレスを予防しイライラや疲労感を取り除く一品です。カルシウム含有も高く、ストレスによるカルシウム不足を補い、風邪予防や美肌効果、整腸作用に働きます。
凍り豆腐はセロトニンを作るトリプトファンを豊富に含んでいる保存食品です。気の流れをスムーズにして精神を安定させる働きを持つ春菊と一緒に取ると、イライラを予防する食べ合わせになります。タウリンを豊富に含むイカをプラスして、動脈硬化や糖尿病の予防効果を高めます。ダイエットにも有効な一品です。
消化を促進し精神安定に働く三つ葉と、ブドウ糖代謝に欠かせないビタミンB1を豊富に含有する豚肉は、イライラや記憶力低下の予防に効果の高い食べ合わせです。根三つ葉は切り三つ葉よりもカロテンやビタミンCを多く含んでおり、わさびの辛み成分には胃潰瘍や心疾患を予防する働きがあります。
三つ葉特有の香りはミツバエンやクリプトテーネンで、神経を鎮める働きを持っています。良質なたんぱく質を含む紅鮭と、ビタミンCを豊富に含むグレープフルーツと一緒に取ると、ストレス予防に有効な食べ合わせになります。カロテンやビタミンAも豊富に含まれ、ビタミンCと一緒に粘膜強化に働き、風邪予防や美肌効果にも優れています。
セロリのビタミンC、納豆のビタミンB群、チーズのカルシウム、海苔のマグネシウムは、脳や神経の興奮を鎮めて精神を安定させる食べ合わせです。カルシウムも豊富なので骨粗鬆症の予防にも有効です。セロリと海苔のビタミンCが美肌作りに働き、体力強化も期待できます。
気の流れをスムーズにするセロリと、ブドウ糖代謝に欠かせないビタミンB1を豊富に含む豚肉は、イライラ・食欲低下・疲労回復に効果の高い食べ合わせです。リノール酸の豊富なくるみをプラスすることで、脳の働きが高まり、老化防止も期待できます。
セロリ特有の香りはセダノリッドやセネリンという成分で、精神を安定させる働きを持っています。ビタミンB1を含むじゃがいもと一緒に取り入れることで、イライラや疲労感を予防。血圧降下も期待できるスープ煮です。
イライラ予防・精神安定に効く飲み物
現代人を取り巻く環境は、肉体的にも精神的にもストレスを受けやすく、イライラしたり精神が不安定になりがちです。ストレスの要因を取り除くと同時に、精神を安定させる食べ物を日常的に取り入れることで、穏やかな生活維持に努めましょう。
精神安定に働く特有の香り成分を含んだ野菜や果物でジュースを作り、一日一杯飲む習慣をつけることをおススメします。豊富なビタミンCがストレス緩和に有効に働きます。
ほうれん草は精神安定に働くカルシウム・マグネシウム・ビタミンB6・ビタミンCなどを豊富に含んでいる葉菜類の野菜です。牛乳にはトリプトファンやカルシウムなどが豊富に含まれ、水菜のビタミンCと一緒にイライラを予防し精神安定に働きます。骨や歯を丈夫にし、風邪予防や美肌効果にも有効です。
バナナ・きな粉・牛乳はトリプトファンを豊富に含んでいます。トリプトファンは精神安定に働くセロトニンの原料となる成分で、牛乳やきな粉に含まれるビタミンB6・バナナに含まれるマグネシウムと一緒に取ると、セロトニンの生成が高まり、高い精神安定作用が期待できる食べ合わせになります。体力や免疫力強化にも有効なジュースです。
パセリ、三つ葉、グレープフルーツはビタミンCを豊富に含む食材です。抗酸化力も高く、特有の香気が気の流れをスムーズにしてストレス予防に働きます。パセリや三つ葉には体内でビタミンAの働きをするβ‐カロテンが豊富に含まれ、ビタミンCと一緒に粘膜を強化して美肌を作ります。細胞の酸化が予防され免疫力強化にも有効です。