秋の薬効果物レシピ
果物の効能
果物は特有の香りや色を持ち、水分や甘み、酸味などを含んでいます。ビタミンやミネラルを豊富に含む反面、脂肪をほとんど含んでいないのが特徴です。
昨今の研究により、脚光を浴びている「ファイトケミカル」の宝庫であり、その色や香りに抗酸化力が多く含まれています。
一時期、果糖やショ糖を多く含む果物は、肥満や糖尿病の原因になると敬遠されたことがあります。しかし、脂肪を含まない果物は体内に脂肪を溜め込まず、逆にビタミンやミネラルの貴重な供給源となります。糖類=肥満という風潮を懸念して、FAOとWHOは、「ショ糖などの糖類の摂取が肥満を促進するという考えは誤りである」と発表しています。
生活習慣病を予防し、健康を維持するためにも、野菜同様に果物も欠かさず豊富に食べましょう。果物には次のような栄養効能があります。
豊富な水分
果物の多くは豊富な水分を含んでおり、水分は純粋な水(H2O)ではなく、各種ミネラルやビタミンなどが溶け出ている。体内の水分補給に適した成分であり、喉や粘膜を潤す働きを持っている。
ファイトケミカル
果物の色や香りに含まれる抗酸化物質。活性酸素の働きを抑制し、抗がん作用に優れている。
ビタミンC
抗酸化力の高いビタミン。水溶性で、加熱に弱い。生食の多い果物からは、無駄なく効率よく取ることができる。
カリウム
体内のナトリウムを排泄して、血圧を安定させる働きを持つミネラル。しょうゆや味噌などを多く取る日本型の食生活は、塩分過多になりがちのため、カリウム摂取が欠かせない。カリウムは調理法によって損失量が異なり、一番好ましいのは生食。煮ると約30%損失するといわれているので、煮汁も利用するとよい。
食物繊維
ペクチンやセルロースなどの食物繊維は、糖分の吸収速度を緩やかにし、血中コレステロール値を減少させ、腸内の有害物質を体外に排出する働きを持っている。
糖分
単糖類のブドウ糖や果糖が多く、即効力のあるエネルギー源として有効に働く。ブドウ糖は脳のエネルギーであり、イキイキした脳の働きに欠かせない。
クエン酸
クエン酸は、エネルギー生成をスムーズにする働きを持っている。生鮮食品では果物以外には、ほとんどクエン酸を摂取することができない。
果物のおいしい・安全な食べ方
程よく冷やすほど、甘みが出ておいしい
果物が含む果糖には、α果糖とβ果糖があります。甘みが強いのはβ果糖で、温度が低いと多く生成される性質があります。そのため、果物は程よく冷やすと甘みが出るので、食べる1~2時間前に冷蔵庫で冷やすとよいでしょう。逆に冷やしすぎると甘みが飛んでしまうので気をつけましょう。
表面の白い粉はブルーム、農薬ではない
果物には自分の身を守るために、ブルーム(果粉)というロウ状の物質を発生させます。農薬と間違えられることが多いのですが、これは果物自身が出す成分が粉になったもの。
表面にブルームを発生させることで、果肉からの水分の蒸発を防いで鮮度を保ち、病気から自分の身を守っているのです。多くの果物に見られますが、表面が滑らかなぶどうやりんごなどがハッキリ確認できます。ぶどうはブルームが多く付いているものほど新鮮ですので、選ぶ時の目安にしましょう。
一日200gの目安はりんご1個
ビタミンやミネラルの補給源として必要な果物は、一日200gを摂取するとよいといわれています。200gの目安は、りんごなら1個、ぶどうなら1房、みかんなら2個。高血圧気味の場合は300gに、糖尿病や血中コレステロールが気になる場合は、倍の400~450gを目安に取るとよいでしょう。
ぶどうは「種あり」が当たり前
簡単便利の風潮で、種のない果物や皮をむかない果物が大人気。ぶどうも種なしが主流となっています。しかし、種をなくすには人工的な処置をしなければならず、その時に使われるのが「ジベレリン」などのホルモン剤です。ジベレリンは農薬に分類されている成分。簡単便利よりも安全なものを食べたいものです。
丸ごと食べると効果的
果物に含まれる有効な成分として食物繊維があり、特に多く含まれるペクチンは、糖分の吸収速度を穏やかにし、血中コレステロールを低下させ、整腸作用を高めるなどの有効成分です。皮の部分にも多く含まれているので、果物は皮ごと食べると効果的です。さらに抗酸化力の高い果物特有の色も皮の部分に集中しています。安心して丸ごと食べることができる有機栽培のものを選ぶとよいでしょう。