富山県の郷土料理で、味噌に限らず、酒粕を味噌と同量くらい使って作る家もあります。春の訪れの遅い地域では5月までたけのこが食べられており、このたけのことニシンの味噌煮は、昔「たけのこ祭り」と呼ぶ富山市の山王さん祭りに欠かせない一品でした。身欠きニシンはニシンの乾燥品で、山間部の貴重なたんぱく源として利用され、本干しは米のとぎ汁に一昼夜漬けてやわらかく戻してから使います。
栃木県人が郷土料理の代表に挙げる料理ですが、関東一円で作られ、「すみつかれ」「しみづかり」「すむつかり」「つむちかれ」など各地各様の呼び名を持っています。商家で初午か、二の午の日に屋敷内のお稲荷さんに赤飯と一緒に供え、食べると中風にかからないと言い伝えられています。鎌倉時代から作られている料理で、地域により調理法は異なりますが、正月の新巻き鮭の頭と節分で余った炒り大豆が主役で、「鬼おろし」という目の粗いおろしでおろした大根とにんじん、酒粕などを煮込んで作ります。名の由来として①大豆の表面のシワが赤ん坊のむずかる顔に似ている②下野の国の祝い料理「下野嘉例(しもつかれい)」が転訛した③酢の酸味が強烈でむつかる などといわれています。