小アジの桃山漬け

小アジの桃山漬けは桃山時代からの歴史を持つ和歌山県の郷土料理です。和歌山県は江戸時代、紀州徳川家が治めていた影響で、県北部は京都や大阪の食味が伝わり伝承されています。一方、南部は黒潮が影響し南方系の料理が残されているといわれています。

奈良の茶粥

茶粥は各地にありますが、「大和の朝は茶粥ではじまる」といわれるように、特に奈良の茶粥は有名です。香りよく煎った大豆やそら豆を加えて作る茶粥は、米の量を増やすための暮らしの知恵から生まれた郷土料理。サラッと粘りのないのが奈良の茶粥の特徴です。

手こね寿司

すし飯にタレに漬けたカツオを手で混ぜ合わせて作る「手こね寿司」は、三重県志摩に伝わる郷土料理です。その昔、沖に出た漁師の忙しい仕事の合間の食事として誕生したといわれる荒削りな料理です。カツオを漬けるしょう油は煮ておくと、寿司飯と混ぜる時に身がベタ付かず、防腐効果が高まります。

大根の輪切り汁

甘みが増した冬場の大根とイワシを一緒に煮て作る大根の輪切り汁は、お正月料理にも登場する千葉県の郷土料理です。イワシの他にサンマを使うこともあります。冬のサンマは脂が少ないので煮崩れの心配がなく、大量に作る時にはサンマが使われることもあります。

そぼろ納豆

茨城県は納豆生産が日本一の県で、そぼろ納豆は冷蔵・冷凍技術がなかった時代に誕生した保存食です。塩漬けした切り干し大根を納豆に加えて調味することで、かつては1日しか保存できなかった夏場の納豆を日持ちのする保存食品にしました。1週間ほど寝かすことで塩分がなじみ、風味が出てきます。麹を加えて作ることもあり、酒の肴にも供されます。

冷や汁(山形)

冷や汁は米沢藩の陣中食ともいわれている郷土料理です。宮崎県の郷土料理「冷や汁」は熱いごはんや麦飯にかけて食べる冷たい汁物ですが、山形県の冷や汁は「三杯漬け」ともいうようにお浸しの部類に入る料理です。季節によって食材は変わりますが、必ず入れるのが「凍りこんにゃく」です。

ずんだばっと

「ずんだ」は茹でた枝豆をすり鉢でつぶしたもので、「じんだ」「じんだん」などと呼ぶ地方もあります。「はっと」は小麦粉で作る薄くのばしたすいとんのようなもので、米の代用品として古くから親しまれている食品です。ずんだをはっとでからめたものが「ずんだばっと」で、餅でからめたものが「ずんだ餅」です。

おくずかけ

おくずかけは、お盆やお彼岸、特に仙台七夕祭りに欠かせない宮城県の郷土料理です。季節により中身の野菜はいろいろ変わり、またうどんやそうめんを入れることもあり、日常生活でもよく作られます。中国の普茶料理の献立のひとつである「雲片(ウンペン)」が由来の料理だといわれています。

ミヌダル(豚肉の黒ごま蒸し)

沖縄県の郷土料理で、首里独特の御殿料理だったといわれています。黒ごまを使っているので出来上がりが真っ黒になるため、「黒肉(くろじし)」とも呼ばれています。沖縄県では豚肉が多種多様な料理に使われ、このミヌダルは前菜や酒の肴に供されます。

サンマ寿司

和歌山県紀南地方の郷土料理で、サンマの細長く黒っぽい姿を鉄砲に見立てたところから、「サイラ(サンマの地方名)の鉄砲寿司」とも呼ばれています。11月中旬から熊野灘で水揚げされるサンマは、房総半島のサンマよりも脂肪分が少なくあっさりしていることから、寿司種に利用されます。