煮ごめ汁

煮込みがなまって「煮ごめ」と呼ばれる実だくさんの汁物です。材料はどれも小豆よりも少し大きめのサイコロ状に切り、小豆と野菜で作る精進の汁物です。広島県の真言信徒は親鸞聖人の命日の前夜から三日間、煮ごめ汁を食べて寺参りをするといわれています。同様の料理は群馬県にもあり、正月には切り餅を加えることもあります。

黒はんぺん

静岡県の焼津や清水ではイワシを原料にしたはんぺんが作られ、出来上がりの色が黒いことから「黒はんぺん」と呼ばれています。愛知県や三重県など各地でも同様のものが作られています。名の由来は①古く半弁(はんへ)と呼んでいいたのがなまった ②椀のふたや型を用いて半月状に作った ③江戸時代の駿河(現在の静岡県中央部)の料理人はんぺいが創案した、など諸説あります。

鮎の赤煮

赤煮とは皮のかたい魚やクセのある魚を煮る方法で、鮎やイワシなどに向く料理法です。鮎で作る赤煮は、鵜飼の漁法が残る岐阜県の郷土料理で、豆味噌を作る時にできる「たまり」というしょう油に似た調味料を使って作られます。岐阜県では鮎を入れた鮎雑炊も郷土料理として有名です。長良川流域には「海腹川背」の形式が残っており、姿のままの川魚を盛りつける時には、「背側を手前に、頭は左、尾は右」になるようにするのが古来からのものと伝えられています。

おやき(お焼き)

おやきは小麦粉をこねて作った皮に、季節の野菜の味噌和えやごま和え、漬け物、小豆あんなどの好みの材料を包み、焼いたり蒸したりして作る長野県の郷土料理です。米の少ない地方の主食・おやつとして食卓に並びました。地粉の皮生地がおやきの味ともいわれていますが、①重曹を入れてふっくらさせる ②そば粉を混ぜ合わせる ③米粉を使うなど様々です。作り方も焼く、蒸す、揚げるなど多様で、香りのある葉で包んで蒸す作り方もあります。

おねり(御煉り)

じゃがいもやかぼちゃを煮込んだ中にとうもろこしの粉を加え、しるこ状にしたおねりは山梨県の郷土料理です。「朝はおねり、昼は麦飯、夜はほうとう」などとも言われるように、米の少なかった時代の朝の主食として食べられていました。好みでやわらかい方がよければポタージュ状に、かたい方がよければきんとんのように練り上げます。また、かたく練ってフライパンで焼く食べ方もあります。

アイソの南蛮漬け

アイソは春の産卵期のウグイの別名です。ウグイは春の産卵期に雄の腹面に婚姻色と呼ばれる紅色の縦線が現れるため、アカハラ、アカウオなどとも呼ばれています。体長15~30cmほどのコイ科の淡水魚で、生臭さが抑えられた山椒味噌の魚田(ぎょでん=魚の田楽)がポピュラーな食べ方です。

アイソの田楽

アイソは春の産卵期のウグイの別名です。ウグイは春の産卵期に雄の腹面に婚姻色と呼ばれる紅色の縦線が現れるため、アカハラ、アカウオなどとも呼ばれています。体長15~30cmほどのコイ科の淡水魚で、生臭さが抑えられた山椒味噌の魚田(ぎょでん=魚の田楽)がポピュラーな食べ方です。

けんちんそば

けんちんは「捲煎」「巻煎」と書くように中国から伝えられた卓袱(しっぽく)料理のひとつです。けんちん地(にんじんやごぼうなどを油で炒め、その中につかみ崩した豆腐を入れてさらに炒めたもの)を用いた料理を指し、けんちん汁、けんちん煮、けんちん焼きなどの料理があります。茨城県の郷土料理であるけんちんそばは、米の代わりの代用品として古くから親しまれている食べ物で、たっぷり作ってお代わりをするのが慣わしです。

ウジラ豆腐

ウジラは鳥のウズラのことで、出来上がりの形が似ていることからこう呼ばれる「沖縄風がんもどき」です。豆腐は沖縄の食生活に欠かせない食品で、ウジラ豆腐は法事に必ず登場する料理といわれています。ピーナッツバターや黒ごまが、南国らしいコクをかもし出します。

きらずまめし

おからに新鮮な魚をまぶす「きらずまめし」は大分県臼杵地方の郷土料理で、祇園祭に欠かさず登場する料理です。おからはかつて、「料理するのに切る必要がない=きらず」という意味から「きらず」と呼ばれていました。魚はシビマグロ(マグロの大きなもの)の他、ブリ、カツオ、アジなど鮮度のよいもので作ります。