製塩の創始者は宮城県塩釜市の神社に祭られている塩土老翁(しおつちのおきな)であると『古事記』に記されています。1971~1997年の間、塩田を必要としない国による塩専売法で塩は一時99.5%以上の純度の高い塩化ナトリウムとなりましたが、現在はかつてのような海のミネラルを豊富に含有した塩が市場に出回るようになりました。
●世界の塩の種類
岩塩(がんえん):地殻変動で陸に閉じ込められた海水が長い年月をかけて結晶したもの。数億~数千年前の「海の化石」といえよう。無色か白色に近い淡い色が多いが、ヒマラヤで産出する濃い紫色をしたものや、アンデスで産出するピンク色のローズソルトなどもある。
湖塩(こえん):塩湖(えんこ)で取れる塩のこと。塩湖とは陸に閉じ込められた海水が岩塩に変化する途中の姿だと考えられている。
天日塩(てんぴえん):海水などの塩水からつくられる塩のうち、乾燥した気候を利用して天日蒸発だけで結晶させた塩をいう。メキシコのゲレロネグロ塩田が有名。

砂糖

さとうきびから取れる砂糖は、アレキサンダー大王のインド遠征の記録に記されている歴史の古い食材です。仏教典では薬として扱われる貴重品で、日本には奈良時代、中国の僧、鑑真によって伝えられ、奈良の大仏に奉げられたと記録されています。江戸の8代将軍吉宗の時代に沖縄からさとうきびが取り寄せられ、城内で砂糖づくりの栽培試験が実施されました。

ケチャップ

野菜などの材料をピューレー状にして調味したソースのことで、日本ではトマトケチャップを指します。ケチャップの語源は中国福建語の「Kechiap=鮭汁」といわれています。鮭汁は小魚に塩を加えて発酵させた魚醤のようなソースのことで、マレー半島からヨーロッパに伝わり、ケチャップとなりました。トマトケチャップはその後アメリカで誕生し、日本でトマトケチャップがつくられたのは明治41年です。

オイスターソース

元来はカキを塩水に漬けて発酵させた液状調味料ですが、近年は「カキの煮汁を濃縮させた液体」に調味料などを加えた製品が主流になっています。2千年前に編纂された中国の薬物書『 神農本草経』に薬効が記されており、カキは現在も生薬として欠かせない素材のひとつです。韓国や中国ではオイスターソースなどの加工用のカキを多く生産しています。

湯葉

濃い目につくった豆乳を平鍋で沸騰しないように加熱すると表面に皮膜ができます。この皮膜をすくいあげたものが生ゆばです。鎌倉時代に伝来したといわれ、当初は高級食材でした。室町時代の文献に「うば」との記載があり、表面の皮膜をすくい取ることから「うえ(上)」が変化しうばと呼ばれたと推測され、ゆばと呼ばれるようになったのは18世紀の終わりです。

生揚げ

豆腐の加工品で、厚めに切った豆腐に重しをして水気をきり、高温の油で揚げたもので、厚揚げとも呼ばれています。表面は油揚げのようにかたいですが、中はほとんど変化しないで豆腐のままです。大豆の栄養素を引き継ぎ、リノール酸は大豆よりも多いためコレステロールが気になる人におススメです。煮崩れしないため、さまざまな調理に利用されます。

納豆

納豆は日本独特の発酵食品。納豆菌を発酵させてつくる糸引き納豆と、塩を加えて菌の繁殖を抑え成熟させる塩納豆があり、元来は冬の食べ物でしたが、冷蔵庫の普及とともに一年中食べられるようになりました。誕生には諸説あり、大豆もワラもあった弥生時代に食していた可能性が濃厚です。初出文献は藤原明衡の『新猿楽記』(1286年)に記されている塩辛納豆です。

豆腐

豆腐は遣唐使によってその製法が伝わったといわれていますが、朝鮮伝来という説もあります。禅僧の精進料理の中で発展し、庶民の食べ物として広く普及したのは江戸時代の中期。天明2年に刊行された人気書『豆腐百珍』を契機に豆腐は全国に普及していきました。江戸初期には高級食品で、三代将軍・家光によって、農民が製造することは禁じられていました。

豆乳

豆乳は水に漬けてやわらかくした大豆に、水を加えながらすりつぶし、加熱した後に絞ったもので、発祥は中国。中国では豆漿(トウショウ)と呼ばれ朝食時に飲用されていたといわれています。牛乳に比べ脂質が少ないことからダイエットに向く健康飲料として飲用されています。韓国の夏の定番料理「豆乳汁のそうめん」は有名です。

凍み豆腐

外につるしてつくられる凍み豆腐は、天日と寒風がおいしさの条件で、寒さ厳しい地域の冬の風物詩です。凍み豆腐の誕生には諸説あり定かではありませんが、江戸時代前半にはすでに高野山の名物となっていました。つくられる地域ごとに高野豆腐、こごり豆腐などの名称があり、豆腐よりも輸送や貯蔵に適している栄養価の高い保存食です。国内生産は長野県がトップです。