薬効おにぎり
おにぎりの握り方・のりの巻き方
おにぎりの形は、大きく分けて「三角形」「俵形」「丸形」の3種類に分けられます。形は自分の好きな形で握ってOK。一般に関東は三角形あるいは丸形、関西は俵形が多いといわれていますが、特にルールはありません。
初めにちょっと力を入れてキュッと握った後は、力を入れすぎずに握りましょう。こうすることで外はシッカリ、中は米がつぶれずフンワリ仕上がります。
三角形のおにぎり
1)炊き立ての熱々ごはんを器によそう。
2)手に水をつけて塩を振り、手を合わせて塩を手になじませる。
3)左手に器のごはんを取る。
4)右手をかぶせてごはんを包み込み、キュッと力を入れて丸く握る。
5)左手の手の平を「こ」の形にし、右手を「へ」の形にして握る。ごはんを数回、回転させ三角に握る。この時、ごはんの粒をつぶさないよう、力を入れすぎずに握る。
俵形のおにぎり
(1)~(4)は同上。
5)左手を三角形のおにぎりを作る時よりも丸みを持たせた「こ」の形にし、右手の指で押さえながら、俵形に形を整え握る。ごはんの粒をつぶさないよう、力を入れすぎずに握る。
丸形のおにぎり
(1)~(4)は同上。
5)そのまま左手の手の平と、右手の手の平を合わせて軽く押さえ、おにぎりの外側の形を丸く整えていく。ごはんの粒をつぶさないよう、力を入れすぎずに握る。
具を真ん中に入れるおにぎり
(1)~(4)は同上。
5)中央を指で押し、くぼみをつける。
6)くぼみに具を乗せる。
7)具を包み込むように握る。
のりの巻き方
カロテンとビタミンCが特に豊富なのりは、一日一枚食べればシミやソバカスを防ぐといわれています。平安時代の貴族たちは「神仙菜(しんせんさい)」と呼び、不老長寿の食べ物として食していました。
おにぎりをのりで巻くと栄養価はさらに高まり、また食べる時にごはん粒が手につかない利点もあります。
のりの巻き方にルールはありません。全体にのりを貼りつけたり、外側だけに貼りつけたり、細かく切って絵を描くように貼りつけてもOK。栄養素をひとつプラスする気持ちでのりを使ってください。
薬効おにぎりの栄養素と食材
おにぎりは米を握って作ります。主材料が糖質の米なので、脳のエネルギー源となるブドウ糖がたっぷり含まれています。糖質は私たちの活動の源となる三大栄養素のひとつ。だからおにぎりを食べると、元気が出てくるのです。
手で握って作るおにぎりは、容器や箸がなくても、どんな場所でも食べられる究極の携帯食。おにぎりひとつで体が元気になるように、さまざまな具を加えて、栄養価の高いおにぎりを作ってみましょう。
食材に含まれる栄養素を考えながら、色々な具を組み合わせて、オリジナルな薬効おにぎり作りにチャレンジしてください。
「疲れを取る」栄養素
筋肉や眼が疲れるなどが初期の疲労の状態。その状態が進むと、徐々に動作がにぶくなり、精神がイライラして怒りっぽくなるなどの症状が出てきます。十分な休養を取ると同時に、疲れを取り去り体内に溜めない栄養素をしっかり取るようにしましょう。
ビタミンB1
糖質を分解してエネルギーに変え、神経や筋肉の働きをよくして疲労感や倦怠感を取り除く働きがあるため、「疲労回復のビタミン」とも呼ばれている。不足すると食欲不振やむくみなどの症状も現れる。水溶性ビタミンなので、余分な分は体外に排出されてしまうので注意。
ビタミンB1を多く含む食品:
豚肉、落花生、ごま、ウナギ、レバー、ロースハム、豆腐、玄米、胚芽米、豆類、牛乳、魚類など
ビタミンB2
脂肪を燃やして体内の過酸化脂質をできにくくする働きがあり、「発育のビタミン」とも呼ばれている。不足すると成長に必要なたんぱく質やエネルギーを十分に利用できなくなる。
ビタミンB2を多く含む食品:
納豆、卵、牛乳、ウナギ、ドジョウ、サバ、アーモンド、干ししいたけ、緑黄色野菜など
ビタミンB6
たんぱく質や脂質の代謝に欠かせない栄養素。特に現代のようにたんぱく質を多く取る食生活では、不足しがちなので気をつけよう。
ビタミンB6を多く含む食品:
小麦胚芽、魚介類(サンマ、サバ、鮭など)、マグロ(とくに赤身)、レバー、卵、豆、牛乳など
ビタミンC
たんぱく質合成に働く栄養素で、ストレス緩和にも有効。
ビタミンCを多く含む食品:
果物(いちご、グレープフルーツなど)、果物、緑黄色野菜、豆、緑茶など
クエン酸
かんきつ類に多く含まれる有機酸の一種で、新陳代謝を活発にし、疲労物質の乳酸を減少させる働きがある。体内のエネルギーを効率よく燃焼させ、疲労回復を早める。肉の取り過ぎにより疲労の元になるピルビン酸が増えた時に、ピルビン酸をクエン酸に変えてエネルギー源とする働きがある。
クエン酸を多く含む食品:
レモン、キウイフルーツ、パイナップル、グレープフルーツ、梅干、黒酢
マグネシウム
体内でビタミンB群と一緒にエネルギー代謝にかかわる働きを担い、筋肉と神経の働きを正常に保つ。摂取量は微量だが、疲労回復に欠かせない栄養素である。
マグネシウムを多く含む食品:
大豆、豆腐、納豆、小麦胚芽、ひじき、魚類(ホタテ、カツオ、アジなど)、ほうれん草、バナナなど
硫化アリル
玉ねぎやにんにくなどに含まれる特有の香り成分で、アリル化合物とかアリシンとも呼ばれている。ビタミンB1の吸収を高める働きがあり、糖質の代謝を促進するので、疲労回復や神経の高ぶりを抑える。殺菌・抗菌作用があり、水溶性で加熱に弱いが、加熱するとメルカプタンという甘み成分に変わる性質がある。
硫化アリルを多く含む食品:
玉ねぎ、ねぎ類(あさつき、葉ねぎなど)、にんにく、にら、らっきょうなど
「ストレスに負けない」栄養素
たんぱく質、ビタミン、ミネラルは「心の三大栄養素」と呼ばれています。現代はあらゆる面でストレスを抱えやすい時代です。特に春先は入学や就職など、新しい環境に直面する季節で、気づかぬうちにストレスを心に抱えがち。ビタミンやミネラルは体の栄養バランスを保ち、健康維持に欠かせない栄養素です。精神を安定させるカルシウムや、カルシウム吸収を高めるビタミンDなどをしっかり取るように心がけましょう。
たんぱく質
アミノ酸の重合体で、体から水分を除いた重量の約1/2以上を占める栄養素。
たんぱく質を多く含む食品:
魚類(ウルメイワシ、シラス干し、マグロ、カツオ、鮭など)、肉類、豆類、卵、牛乳など
ビタミンD
神経伝達物質の合成を促し、脳の働きを活発にして精神を安定させる働きがある。
ビタミンDを多く含む食品:
キノコ類、鮭、カレイなど
ビタミンC
ストレスを緩和する働きがある。ストレス状態になると抵抗力を高めるために副腎皮質ホルモンが分泌される。その時にビタミンCを多く必要とするので、ストレスにビタミンCは欠かせない。
ビタミンCを多く含む食品:
いちご、レモン、グレープフルーツ、菜の花、キャベツ、小松菜など
カルシウム
脳細胞の興奮を抑え、精神を安定させる働きがある。
カルシウムを多く含む食品:
牛乳、チーズ、イワシ丸干し、干しエビ、シラス干し、ひじき、小松菜など
マグネシウム
抗ストレスホルモンを作り出す副腎皮質機能を助ける働きがあるので、双方をバランスよく取ることが必要。リンを多く取るとカルシウムやマグネシウムの吸収が妨げられるので取り過ぎに注意。
マグネシウムを多く含む食品:
アーモンド、落花生、ひじき、わかめ、きな粉などリンを多く含む食品:加工食品、清涼飲料水
「脳の働きを高める」栄養素
脳は知能や記憶、神経系に大きく影響を与える器官です。脳のエネルギー源はブドウ糖だけなので、規則正しくブドウ糖を補給することが大切です。脳の組織はたんぱく質と脂質でできているので、これらの栄養素をバランスよく、なおかつ良質なものを取ることが大切です。
糖質
脳のエネルギー源であるブドウ糖は、糖質が分解されて作られる。
糖質を多く含む食品:
米、麦、豆類、イモ類など
レシチン
脂質の一種で、脳内の情報伝達物質の原料となる。脳細胞を活性化し、記憶力を高める働きを持つ。
レシチンを多く含む食品:
卵黄、大豆、穀類、ごま油、レバー、ウナギなど
DHA
魚油中に含まれる脂肪酸で、脳細胞膜を作る原料となる。脳や神経細胞の発達を促し、物忘れを予防する。
DHAを多く含む食品:
マグロ、ブリ、サバ、サンマ、イワシ、ウナギ、鮭、アジ、タイなど
ビタミンB1
ブドウ糖代謝に働く栄養素なので、脳のエネルギー補給に役立つ。
ビタミンB1を多く含む食品:
レバー、豚肉、胚芽米、落花生、ごま、豆腐など
ビタミンB6
神経伝達物質を合成する働きを持つ栄養素。
ビタミンB6を多く含む食品:
酵母、小麦胚芽、レバー、マグロ、にんにく、卵など
「健康美肌を作る」栄養素
健康な美しい肌とは、皮膚のバリアがしっかり保たれた状態をいいます。たんぱく質、脂質、炭水化物の三大栄養素をバランスよく取った上で、コラーゲン生成に欠かせないビタミンCや皮膚に潤いを与えるビタミンB2などのビタミン類を欠かさずに取りましょう。
ビタミンA
皮膚や粘膜を強化する栄養素で、不足すると乾燥肌になる。
ビタミンAを多く含む食品:
全乳、バター、チーズ、卵黄、緑黄色野菜など
ビタミンC
コラーゲン生成に欠かせない栄養素。肌にハリを持たせ、メラニン色素の生成を抑えてシミを予防する。
ビタミンCを多く含む食品:
いちご、レモン、グレープフルーツ、菜の花、パセリ、緑茶など
ビタミンB2
皮脂の分泌を正常にし、皮膚に潤いを与える。
ビタミンB2を多く含む食品:
レバー、胚芽、牛乳、卵黄、緑黄色野菜、肉類など
ビタミンB6
皮膚をかぶれにくくする働きを持つ。
ビタミンB6を多く含む食品:
酵母、小麦胚芽、レバー、肉類、マグロ、卵、にんにく、牛乳など
ビタミンE
血液の循環をよくして、細胞に栄養素を行き渡らせ、若々しさを保つ栄養素。
ビタミンEを多く含む食品:
穀類、胚芽油、豆類、緑黄色野菜など
「免疫力を高める」栄養素
免疫力とは、動物が自分の体を守るために持っている「自分自身を守る力」です。その力で、体内に入った病原菌や、体内で増殖していく異物を撃退し、健康を維持しています。免疫力が低下するとあらゆる病気の発症の要因となるので、常日頃から免疫力を高める食生活を心がけましょう。三大栄養素を基本にビタミン類やミネラル類、食物センイ、抗酸化力の高い食品などを組み合わせて食べるようにしましょう。
たんぱく質
アミノ酸の重合体で、体から水分を除いた重量の約1/2以上を占める栄養素。良質なアミノ酸を含有したたんぱく質を取ることが大切。
たんぱく質を多く含む食品:
魚類(ウルメイワシ、シラス干し、マグロ、カツオ、鮭など)、肉類、豆類、卵、牛乳など
炭水化物
動物ではグリコーゲン、植物ではでんぷんとして存在している。適量は体力を強化し、体脂肪蓄積を低減する働きがある。
炭水化物を多く含む食品:
米、雑穀、薄力粉、砂糖、とうもろこし、豆類、イモ類(さつまいも、じゃがいもなど)
脂質
健康維持や生活習慣病予防に重要な栄養素。質が健康に大きく影響するので、良質な脂質を取ることが大切。
脂質を多く含む食品:
飽和脂肪酸(肉類、卵、乳製品など)不飽和脂肪酸(植物油、魚介類、海藻類、大豆など)
ビタミン類
栄養バランスを保ち、健康を維持する。欠乏すると免疫力低下などを引き起こす。
ビタミン類を多く含む食品:
野菜、果物、肉類、卵、豆類など
ミネラル類
体の生理機能を円滑にする働きがある。
ミネラル類を多く含む食品:
魚類、肉類、乳製品、卵など
おいしいおにぎり作り ここがポイント!
炊き立ての温かいごはんを両手で握って作るおにぎりは、場所を選ばすどこでも食べることのできる携帯食。冷めてもおいしいのが身上です。いくつかのポイントを押さえておけば、手軽においしいおにぎりを作ることができます。
ネバリの強い米を、やや硬めに炊くとよい
冷めてから食べるおにぎりは、ネバリの強いジャポニカ米で作るのが一番です。ジャポニカ米は、ネバリの少ないアミロースというでんぷん含有量が少ないため、冷めてもおいしく食べることができます。炊き方はやや硬めに。軟らかいと、握った時に米の表面が崩れやすいので気をつけましょう。
炊き立ての熱々の米を握る
炊き立てのごはんには保水膜があり、この膜があると冷めてもおいしく食べることができます。炊けたごはんはまずしゃもじでほぐし、余分な水分を飛ばしてから作りましょう。
使う具は、しっかり水分をとばしてから
芯に詰めたり、ごはんに混ぜたりする具は、水分を取り除いてから入れましょう。水分が多いとベタベタになり、上手に握ることができません。
塩はミネラルを含んだ天然塩がよい
おにぎりのおいしさは塩の味に大きく影響されます。にがりを含んだ塩は味がまろやかで、米のツヤもよくしてくれます。ミネラルを含有した天然塩がおススメです。
手水に白梅酢を使うと、防腐効果が高まり疲れにも効果的
握る時に手に米がつかないように使う手水は、水の代わりに白梅水(赤じそで漬けていないもの)を使うと腐敗を防ぐ働きが高まり、酸味が疲れにも効き効果的です。白梅酢がないときは米酢と塩を合わせて使うとよいでしょう。
握る時にサランラップは使わない
手が汚れる、あるいは清潔だからということで、ラップに包んで作ることがありますが、これは止めましょう。手は握る前にきちんと洗えばよいことで、手になじんだ塩がおにぎりのおいしさを引き立てるのです。熱々のごはんを直接ラップに接触させることは、ラップに使われている溶剤が溶け出る危険性もあり、味も大きく損ないます。
握ったばかりのおにぎりは、竹ザルの上に並べる
握ったばかりのおにぎりは、お皿の上に置くと汗をかいてしまうので、竹ザルか白木の上に並べるとよいでしょう。汗をかくとごはんがべチャとした感じになり、味が損なわれます。
おにぎりは竹の皮で包む
おにぎりを包む包装材には竹の皮が一番です。通気性がよいためごはんが蒸れず、乾きにくいという利点があります。また、竹の皮には防腐作用の高いサルチル酸という成分が含まれているため、食中毒予防にも優れています。
薬効おにぎりレシピ
ルーツは平安時代の「屯食(とんじき)」。「屯」には「手で握ったり押さえたりする」という意味と、「間に合わせ」の意味があり、饗宴に参列した下級役人に与えた食べ物であったと伝えられています。そして戦国時代には携帯食として大活躍。信長も常に腰にぶら下げ携帯していたといわれています。
ここで紹介するおにぎりは、おにぎりの主成分である糖質に、その時の体の状態に合わせてさまざまな栄養素をプラスして作る薬効おにぎりです。疲れた時、ストレスを感じている時、脳を元気に働かせたい時、健康でなめらかな肌を作りたい時、病気を寄せつけない健康な体を作りたい時…。そんな時には、それぞれの症状に効く栄養素を含んだ食品を、おにぎりに詰め込んで「健康薬効おにぎり」を作ってみましょう。握る形はお好みでどうぞ。