季節性うつ病
季節性うつ病とは
季節性うつ病とは
季節性うつ病とは「ある季節のみうつ病に似た症状が出る」精神疾患をいいます。「季節性情動(あるいは感情)障害」と呼ばれ、1984年、アメリカの精神科医ノーマン・ローゼンタールによって発表された病状で、その後広く知られるようになりました。
光の少ない冬季に多く発症する
私たち人間は、植物と同じようにある程度の光を浴びないと、生体のリズムが乱れ、心身の調子が崩れてきます。そのため、季節性うつ病は光の少なくなる秋から冬の季節に多く発症します。まれに夏季に症状が出る「夏季うつ病」もありますが、特に目立った症状のないのが特徴です。
表れる症状
日照時間が短くなる秋から冬の季節にさまざまな体調の変化が表れます。日常生活での目に見える大きな異変は①睡眠時間が増える ②食事の量が増える などです。睡眠時間が増えるのは体内時計を調整するメラトニンが過剰になることが原因と考えられています。食事の量が増えるのはセロトニンバランスが崩れることが原因と考えられ、特に甘いものが食べたくなり、炭水化物(糖質)を多く取る傾向があるため、体重の増加が見られます。その他の症状として①調子がすぐれず人付き合いも消極的になる ②血圧が低下し冷え症気味になる などが挙げられています。
一般のうつ病とは違う
冬季うつ病は秋から冬に表れるうつ気分。一般のうつ病は不眠や食欲不振を伴いますが、秋から冬に表れる冬季うつ病は過眠や過食といった逆の症状が表れます。気分がすぐれず消極的になるため、一般のうつ症状と診断されて抗うつ薬を処方されることがありますが、効果は期待できません。
季節性うつ病を予防する栄養素と食べ物
光が少なくなる秋から冬にかけて発症する冬季うつ病は、光によって生産されるセロトニン減少が大きな要因となります。セロトニンは目から受ける光の刺激で生産が促されるので、早起きをして朝の光を浴び、セロトニンの生成を高める生活習慣をつけることが予防策のひとつとして挙げられます。
同時にセロトニンを増やす食べ物を多く取る食生活を心がけましょう。セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから作られるので、良質なたんぱく質を十分に取ることが大切です。
トリプトファン
神経伝達物質のひとつであるセロトニンの原料となる必須アミノ酸。良質なたんぱく質に豊富に含まれている。①神経を落ち着かせる ②睡眠を促す などの働きを持っている。
トリプトファンを多く含む食品:
カツオ節、凍み豆腐、大豆、海苔、脱脂粉乳、シラス干し、ごま、マグロ、スジコ、プロセスチーズ、タラコ、肉類、納豆、そば、米、豆乳、ヨーグルト、牛乳、バナナなど
ビタミンB6
トリプトファンの吸収に必要な水溶性のビタミン。たんぱく質の代謝を助け、脳の神経伝達物質の合成にかかわり、興奮を抑える働きを持っている。
ビタミンB6を多く含む食品:
マグロ(赤身)、レバー、にんにく、カツオ、鮭、鶏肉、サンマ、サバ、スモークサーモン、生ハム、イワシ、抹茶、ごま、黒砂糖など
ビタミンB12
精神の安定や集中力を高める働きのある水溶性のビタミン。別名「増血ビタミン」「赤いビタミン」とも呼ばれ、赤血球の生成にかかわり悪性貧血を予防する。微生物によって生成されるので、植物性食品にはほとんど含まれていない。
ビタミンB12を多く含む食品:
青魚(サンマ・イワシ・サバ)、カツオ節、イカ、貝類(シジミ・アサリ・ハマグリ・カキ・赤貝)、レバー(牛・豚・鶏)、海苔、卵、牛乳など
季節性うつ病を予防するレシピ
冬季うつ病は日本ではまだ一般的ではありませんが、緯度の高いヨーロッパでは広く認知されている症状で、対応策として太陽に代わる光療法が取られています。
日照時間が主要因と考えられているので、積極的に太陽の光を浴びる規則正しい生活を心がけると同時に、日射量が減ることで減少するセロトニンを増やす食生活をすることで、予防緩和に努めましょう。
セロトニンの原料となるのは必須アミノ酸のトリプトファン。日照時間が短縮する季節にはトリプトファンが多く含まれている食べ物を努めて摂取する食生活をしましょう。トリプトファンの吸収に必要なビタミンB6や、精神安定に働くビタミンB12などの栄養成分も一緒に取ると効果的。食生活を見直すことで、冬場に発症するうつ症状を緩和することが可能です。