風邪
風邪とは
風邪とは
正式には「風邪症候群」といい、細菌やウイルスが鼻や喉などに侵入することで感染し、急性の炎症を伴う症状です。風邪のもとである細菌やウイルスは非常に多くの種類があるため、風邪に対する免疫ができても、何度でもかかってしまうのが特徴です。また、風邪の症状は炎症を起こす場所により異なります。]
炎症を起こす場所と症状
◎鼻の粘膜:ここにウイルスが付いて炎症が起こると、くしゃみや鼻水がでる症状になります。粘膜に付いたウイルスを外に出すために鼻水がたくさん出ます。
◎喉の粘膜:ここにウイルスが付いて炎症が起こると、咳・痰・喉の痛みなどの症状になります。咳や痰は粘膜に付いているウイルスを外に出すために出ます。
◎喉の下・気管・気管支・肺:この部分に炎症を起こると、声がれ・咳や痰が出る・呼吸困難などの症状が出ます。
感染の原因
感染経路は「飛沫感染」「飛沫核感染」「接触感染」の3つに分けられます。
◎飛沫感染:咳やくしゃみで飛び散る水分を含んだ直径5ミクロン以上の微粒子を「飛沫」といいます。この飛沫によって感染した場合を飛沫感染といいます。5ミクロン以上の微粒子なので、大きいためすぐに落下します。飛沫感染の場合は近距離で飛沫を直接浴びた時に感染します。
◎飛沫核感染:咳やくしゃみで飛び散った飛沫が、空中でそのまま乾燥したり、一旦他のものに付いた後に乾燥して水分を含まない直径5ミクロン以下の微粒子になったものを「飛沫核」といいます。この飛沫核によって感染した場合を飛沫核感染といいます。2ミクロン以下の飛沫核は長時間空中を漂っているため、同じ空間に一緒にいるだけで感染します。
◎接触感染:ウイルスが付着したもの(ドアノブ、つり革など)に触れた手で、鼻を触ったり握手したりと直接触れることで感染した場合を接触感染といいます。普通感冒の代表的なライノウイルスは、この接触感染で感染することが一番多いといわれています。
感染を予防するために気をつけること
まず一番は風邪をひいている人の傍に近寄らず、人ごみを避けることです。そして帰宅したら手洗い・うがいをすることでかなり予防することができます。
ナノマスクは感染予防が期待できる
飛沫感染や飛沫核感染は、マスクをすることである程度予防することができます。ただし、一般のガーゼマスクには飛沫を防ぐ能力はなく、一方、超微粒子をも通さないナノマスクは効果があるといわれています。咳1回でウイルスを含んだ飛沫物は約10万個(2メートル先まで飛ぶ)、くしゃみ1回で約200万個(3メートル先まで飛ぶ)放出されるといわれています。
手洗いも効果的
普通感冒のライノウイルスは、付着した物の上で数時間から数日間、生存できるといわれています。ライノウイルスは接触感染ルートでの感染率が高いので、手を洗うことは感染予防に効果的です。
風邪をひいてしまったら「安静」「保温」「栄養と水分」
◎安静にすること:風邪をひいて熱が出ると体がだるくなります。これは体の中でウイルスと白血球が戦っているためです。ウイルス退治には体のエネルギーの全てを使うことが必要です。余計なエネルギーを他に使われないようにするため、体をだるくしたり、ふらふらさせたりします。安静にしていることで、エネルギーの全てをウイルス退治に使うことができます。
◎保温すること:寒いと鼻・喉・気管などの血管は収縮し、線毛の動きが鈍くなります。線毛は外からの細菌やウイルスの侵入を防ぐ働きを持っており、この線毛の動きが鈍くなると細菌やウイルスが侵入しやすくなってしまいます。
◎栄養と水分を取ること:熱が出ると発汗作用によって熱を放散させようとするため、体内の水分が失われていきます。同時に発熱によって栄養の損失も著しくなるので、栄養価の高い食べ物を取ることが大切です。熱が出た後にはたくさんの汗が出ます。この時、体を冷やさないように手早く体をふき清潔な肌着に着替えることが大切です。
強いストレスに注意
強いストレスは免疫力低下につながります。これは免疫と深い関係がある自律神経がストレスによってバランスを崩しやすくなるためです。
季節の変わり目に注意
季節の変わり目は温度の変化が激しいことが多く、体温調整を司る自律神経が狂いやすくなります。自律神経の狂いは免疫力の低下につながるため、風邪をひきやすくなります。
低温度・低湿度に注意
一般にウイルスは温度や湿度が低いと活動が活発になる性質を持っています。冬に流行するインフルエンザウイルスは特に湿度に弱いので、加湿器などで空気が乾かないようにすると効果的です。
風邪にかからない・初期の風邪を予防する栄養素と食材
風邪の原因の多くはウイルスです。健康体なら多少のウイルスが体内に入り込んでも、抵抗力がウイルスを撃退してくれるので風邪にかかることはほとんどありません。しかし体調が悪く抵抗力が落ちていると、体はウイルスに負けて風邪を引いてしまいます。そのためにも、風邪予防の第一歩は「免疫力を高める」ことが大切です。
ファイトケミカル
ファイトはギリシャ語で「植物」の意味で、植物の持つ化学的な物質をいいます。免疫機能を調整してフリーラジカル(体を酸化させる活性酸素)を無毒化する働きを持っています。約9割が野菜や果物に含まれる「色」「香り」「辛み」「苦み」などの成分です。
ファイトケミカルを多く含む食品:
にんじん・かぼちゃなどのβカロテン、トマトや柿などのリコピン、小豆・赤ワイン・ブルーベリーなどのアントシアニン、緑茶のカテキン、大豆胚芽に含まれるイソフラボン、ごまのリグナン、ウコンのクルクミン、ブロッコリーやケールなどのルティン、硫化アリル(ねぎ、たまねぎ、にんにく、にら)など
ビタミン類
バランスのよいビタミン摂取が免疫力の強化に大切ですが、特に免疫力を高める働きに優れているビタミンCと粘膜を強化するビタミンAはしっかり取りましょう。
ビタミンCを多く含む食品:
果物(グレープフルーツ、いちご、レモンなど)、キャベツ、パセリ、ブロッコリー、青じそ、ほうれん草、春菊、じゃがいも、さつまいも、大根、海苔、緑茶、豆など
ビタミンAを多く含む食品:
レチノール=牛乳、卵黄、ウナギ、レバー、バターなど
カロテン=緑黄色野菜(にんじん、にら、しそ、春菊など)、果物(柿、みかんなど)
発酵食品
発酵食品は腸内に棲む有益な腸内細菌を増やす働きを持っています。有益菌は、腸内の有害菌の増殖を抑えて免疫力の活性化に働きます。
発酵食品を多く含む食品:
納豆、味噌、糠付け、ヨーグルト、チーズ、甘酒など
風邪を治す栄養素と食材
風邪を治すには何よりも抵抗力をつけてウイルスを撃退することが大切です。ウイルスと戦っている体はエネルギーの消耗が激しいので、たんぱく質をはじめとする各種栄養素をしっかり取ることでエネルギーの消耗を防ぎましょう。風邪の時こそしっかり食べてエネルギー補給をすることが大切なのですが、熱のある時は食欲が低下気味です。喉越しがよく、消化のよい栄養価の高い食べ物を取り、体の抵抗力を高めましょう。またウイルスによってお腹の調子も悪くなっているので、生ものや冷たいものは避けましょう。
たんぱく質
アミノ酸の重合体で、人間の体から水分を除いた残り重量の約半分を占める体の基本的な構成成分です。生命維持や活動する上で必要不可欠なエネルギーとなり、欠かすことのできない成分です。たんぱく質の栄養価は構成されているアミノ酸の種類と量によって決まるので、アミノ酸バランスに優れたたんぱく質を含有する食品を取ることが大切です。
たんぱく質を多く含む食品:
多くの食品に含まれているがアミノ酸バランスに優れているのは、肉、魚介類、卵、乳製品、豆類など
ビタミンC
毛細血管・骨・軟骨・結合組織を丈夫にし、抗酸化性を持つ水溶性のビタミンです。白血球の働きを強化して免疫力を高めるため、風邪をひきにくくなり、また回復を早めます。風邪などの発熱時には大量に消耗されるので十分に補給することが大切です。
ビタミンCを多く含む食品:
果物(グレープフルーツ、いちご、レモンなど)、キャベツ、パセリ、ブロッコリー、青じそ、ほうれん草、春菊、じゃがいも、さつまいも、大根、海苔、緑茶、豆など
ビタミンA
皮膚や粘膜を健康に保ち、視神経の働きをよくする脂溶性のビタミンです。ウイルスの侵入を防ぐ働きがあり、動物性食品ではレチノール、緑黄色野菜ではカロテンの形で含まれています。
ビタミンAを多く含む食品:
レチノール 牛乳、卵黄、ウナギ、レバー、バターなど カロテン 緑黄色野菜(にんじん、にら、しそ、春菊など)
風邪を予防する薬効スープレシピ
風邪を予防するお粥レシピ
風邪を予防する鍋レシピ
風邪を治すレシピ
風邪を治すには何よりも抵抗力をつけてウイルスを撃退することが大切です。人間は体温が1度上がると基礎代謝量が13%増えるので、たんぱく質をはじめとする各種栄養素をしっかり取り、エネルギーの消耗を防ぎましょう。風邪の時こそしっかり食べてエネルギー補給をすることが大切なのですが、熱のある時は食欲が低下気味です。喉越しがよく、消化のよい栄養価の高い食べ物を取り、体の抵抗力を高めましょう。良質なたんぱく質を含む肉・魚・魚介類・乳製品、ビタミンやミネラルを含む緑黄色野菜・くだものなどがおススメです。