アユの姿寿司

アユの姿寿司

酢じめの鮎にすし飯を詰め、柿の葉で巻く鮎の姿寿司は鳥取県の郷土料理です。柿の葉で巻くのは毒消しの意味があり、中風にならないと言い伝えられています。鮎は日本全国の清流に棲む川魚で、1年しか生きないといわれることから「年魚(ねんぎょ)」、特有の香りを持つことから「香魚(こうぎょ)」などと呼ばれています。鮎の香味は酢との相性がよいことから鮎寿司は多くの地域で作られていますが、柿の葉を巻く鮎寿司が鳥取県の特徴です。

ウナ茶漬け

ウナ茶漬け

浜名湖周辺では水質や温度が適していることから、ウナギの養殖が盛んに行われています。養殖の始まりは明治30年代。ウナギには特に旬はありませんが、夏に多く出回り、秋になると海に下る産卵直前の天然ウナギが美味とされ珍重されています。浜名湖辺りまでが関東風の焼き方で、背開きのウナギを素焼きにしてからタレをつけて焼きます。

浜焼きサバと新じゃがいもの煮物

浜焼きサバと新じゃがいもの煮物

とれたてのサバを「若狭の一本グシ」と呼ぶ太く長い竹グシに刺して焼き上げたのが「浜焼きサバ」です。若狭には数多くのサバ料理が伝わっており、その中でもこの浜焼きサバは代表的な郷土料理です。昔、若狭湾で水揚げされた魚介類は18キロ離れた京都に運ばれて京の食文化を支え、天皇の食べ物を供給することから、福井は「御食国(みけつくに)」と呼ばれていました。特に腐敗を防ぐために塩をしたサバは人気で、京へサバを運ぶ若狭街道は「鯖街道」とも呼ばれていました。福井県内では田植えの後や半夏生(はんげしょう)には必ず食べるのが習わしといわれています。

ケンサ焼き

ケンサ焼き

焼いたおむすびに甘味噌を塗って焼いたケンサ焼きは新潟県の郷土料理です。そのまま食べたり、熱い番茶を注いでお茶漬けにします。中越や下越での小正月によく食べられ、夜食や酒宴の後に出される料理です。ケンサキ焼き(剣先焼き)、ケンサン焼き(献残焼き)、味噌のつけ焼きなどとも呼ばれています。名の由来として①上杉謙信が出兵の際、雑兵が冷たくなった握り飯を剣の先に刺して焼いた「剣先焼き」がなまった ②献上品の残り物を使った など諸説あります。

タコ飯

タコ飯

タコ飯は愛媛県今津の名物料理です。漁師が取れたてのタコをぶつ切りにして、船上でご飯に炊き込んで食した漁師飯で、うまみと風味に溢れ、タコから出る色素でほんのり桜色に炊き上がります。瀬戸内海のタコは春の訪れとともに身が締まり、春先には「木の芽ダコ」と呼ばれるうまみの高い小ダコが収穫されます。タコは北海道から九州に至る各地の浅瀬の岩礁に棲んでおり、同様の料理は瀬戸内海周辺の海岸地域や茨城県などでも作られています。

煮ごめ汁

煮ごめ汁

煮込みがなまって「煮ごめ」と呼ばれる実だくさんの汁物です。材料はどれも小豆よりも少し大きめのサイコロ状に切り、小豆と野菜で作る精進の汁物です。広島県の真言信徒は親鸞聖人の命日の前夜から三日間、煮ごめ汁を食べて寺参りをするといわれています。同様の料理は群馬県にもあり、正月には切り餅を加えることもあります。

おやき(お焼き)

おやき(お焼き)

おやきは小麦粉をこねて作った皮に、季節の野菜の味噌和えやごま和え、漬け物、小豆あんなどの好みの材料を包み、焼いたり蒸したりして作る長野県の郷土料理です。米の少ない地方の主食・おやつとして食卓に並びました。地粉の皮生地がおやきの味ともいわれていますが、①重曹を入れてふっくらさせる ②そば粉を混ぜ合わせる ③米粉を使うなど様々です。作り方も焼く、蒸す、揚げるなど多様で、香りのある葉で包んで蒸す作り方もあります。

ウジラ豆腐

ウジラ豆腐

ウジラは鳥のウズラのことで、出来上がりの形が似ていることからこう呼ばれる「沖縄風がんもどき」です。豆腐は沖縄の食生活に欠かせない食品で、ウジラ豆腐は法事に必ず登場する料理といわれています。ピーナッツバターや黒ごまが、南国らしいコクをかもし出します。

手こね寿司

手こね寿司

すし飯にタレに漬けたカツオを手で混ぜ合わせて作る「手こね寿司」は、三重県志摩に伝わる郷土料理です。その昔、沖に出た漁師の忙しい仕事の合間の食事として誕生したといわれる荒削りな料理です。カツオを漬けるしょう油は煮ておくと、寿司飯と混ぜる時に身がベタ付かず、防腐効果が高まります。

ずんだばっと

ずんだばっと

「ずんだ」は茹でた枝豆をすり鉢でつぶしたもので、「じんだ」「じんだん」などと呼ぶ地方もあります。「はっと」は小麦粉で作る薄くのばしたすいとんのようなもので、米の代用品として古くから親しまれている食品です。ずんだをはっとでからめたものが「ずんだばっと」で、餅でからめたものが「ずんだ餅」です。