おはっすん

おはっすん

野菜や魚介などの山海の食材で作る煮物「おはっすん」は、広島県の郷土料理です。安芸門徒(あきもんと:広島県西部地域の浄土真宗門徒)の多い地域の郷土料理として有名で、慶弔を問わず人の集まる時には必ず作られる料理です。具材の数は祝儀の時は奇数、不祝儀の時は偶数にするといわれています。客は他の料理は持ち帰り、おはっすんを何倍でもお代わりして酒やごはんをいただきます。出来上がった料理を直径が八寸(24cm以上)もある器に盛ることから、この名で呼ばれ、余った時は、何度も煮返して食べます。

イカにんじん

イカにんじん

イカにんじんは、かつては晩秋から冬にかけてどの家庭でも作られていた福島県の郷土料理です。北海道の郷土料理「松前漬け」の原型ともいわれ、昆布を入れないのが特徴です。酒、しょう油、みりんで味をつけた保存食品であり、お正月にはどの家庭でも登場する一品です。味つけは家庭ごとに調味され、定番おかずとしてお惣菜としても売られています。

ウジラ豆腐

ウジラ豆腐

ウジラは鳥のウズラのことで、出来上がりの形が似ていることからこう呼ばれる「沖縄風がんもどき」です。豆腐は沖縄の食生活に欠かせない食品で、ウジラ豆腐は法事に必ず登場する料理といわれています。ピーナッツバターや黒ごまが、南国らしいコクをかもし出します。

奈良の茶粥

奈良の茶粥

茶粥は各地にありますが、「大和の朝は茶粥ではじまる」といわれるように、特に奈良の茶粥は有名です。香りよく煎った大豆やそら豆を加えて作る茶粥は、米の量を増やすための暮らしの知恵から生まれた郷土料理。サラッと粘りのないのが奈良の茶粥の特徴です。

おくずかけ

おくずかけ

おくずかけは、お盆やお彼岸、特に仙台七夕祭りに欠かせない宮城県の郷土料理です。季節により中身の野菜はいろいろ変わり、またうどんやそうめんを入れることもあり、日常生活でもよく作られます。中国の普茶料理の献立のひとつである「雲片(ウンペン)」が由来の料理だといわれています。

しもつかれ

しもつかれ

栃木県人が郷土料理の代表に挙げる料理ですが、関東一円で作られ、「すみつかれ」「しみづかり」「すむつかり」「つむちかれ」など各地各様の呼び名を持っています。商家で初午か、二の午の日に屋敷内のお稲荷さんに赤飯と一緒に供え、食べると中風にかからないと言い伝えられています。鎌倉時代から作られている料理で、地域により調理法は異なりますが、正月の新巻き鮭の頭と節分で余った炒り大豆が主役で、「鬼おろし」という目の粗いおろしでおろした大根とにんじん、酒粕などを煮込んで作ります。名の由来として①大豆の表面のシワが赤ん坊のむずかる顔に似ている②下野の国の祝い料理「下野嘉例(しもつかれい)」が転訛した③酢の酸味が強烈でむつかる などといわれています。

納豆汁(山形)

納豆汁(山形)

山形県の郷土料理で、雪が深く春の七草を揃えることが困難だったことから、七草粥の代わりに納豆汁を食べたといわれています。具は各家庭で異なりますが、必ず入るのが「いもがら」です。いもがらはさといもの葉柄(ようへい:葉や茎の部分)を乾かしたもので、「干しずいき」とも呼ばれています。低エネルギーでカルシウム・カリウム・食物繊維などが豊富に含まれ、骨や歯の強化、血圧安定やコレステロール低下に有効な食材です。

貝焼き味噌

貝焼き味噌

貝焼きとは主にホタテ貝の殻を鍋代わりにして、魚介類や野菜を煮たものをいい、青森津軽地方では、この「貝焼き味噌」を産後の女性や子どもが風邪をひくと必ず食べさせたといわれています。卵が貴重だった昔は、栄養化の高い貴重な料理で、おもてなしにも出されていました。温かいごはんにのせて食べたり、肴にしたり、また好みで味噌の中に酒や砂糖を入れたり一味とうがらしを加えたりなど、いろいろな食べ方で親しまれています。

じゃっぱ汁(雑端汁)

じゃっぱ汁(雑端汁)

タラを丸ごと一匹使った青森県津軽地方の郷土料理で、「ざっぱ汁」「じゃっぱ汁」とも呼ばれています。じゃっぱとは「魚のアラ」をいい、タラの頭、中骨、白子などの材料をぶつ切りにし、凍り豆腐、ねぎなどを加え、酒、塩、味噌で味付けします。大鍋で作り、一晩置いて煮返すと味が染みこんで美味しさが増していきます。タラは鮭と同様、捨てる所のない魚で、津軽地方では正月に必ず食べる習慣があり、暮れにはその支度のためにタラを買い、タラの頭に縄を結び雪道を引いて帰路についたといわれています。

けの汁

けの汁

青森県の郷土料理で、「きやの汁」とも呼ばれています。小正月(1月16日)を祝う七草粥のようなもので、米が貴重だった昔、山菜や野菜を細かく刻んで米に見立てたといわれています。小正月は「女正月」とも呼ばれるように、嫁いだ女性が実家で骨休めをする里帰りの日で、その際、残した家族が食べるものに困らないように大鍋いっぱいに「けの汁」を作ったといわれています。精進料理のひとつであったため、使われる食材は根菜、山菜、焼き豆腐、油揚げ、こんにゃくなどの精進物で、具材を弱火で煮込み味噌で調味し最後にずんだを加えて仕上げます。山の芋やいんげん豆を入れる地域もあり、おいしさのコツは大量に作ることで、何日も温めなおして食べます。