ぜんそく

ぜんそくとは

ぜんそくとは

正式名称は「気管支ぜんそく」といい、空気の通り道である気道(気管・気管支)が狭くなることで呼吸が苦しくなる症状です。喘ぎ息をすることから喘息(ぜんそく)と呼ばれています。

どうして狭くなるの?

原因は「炎症」です。ぜんそくの患者の気管支断面を見ると、炎症細胞が集まっており、粘膜がむくんでいます。また、粘液の分泌が過剰になっているため痰もたまっています。

炎症の原因は?

いろいろな刺激が原因となります。もっとも多いとされるのが室内のダニのフンや死骸やペットの毛などによるアレルギー反応です。その他、ストレス、気象の変化、冷気、タバコの煙など、さまざまな刺激が発作の引き金になります。

発症する年齢は?

◎子どもの場合は6歳までに発症することが多く、その多く(60~70%)は12~13歳ごろまでに寛解(かんかい)するといわれています。が一方、思春期に持ち越して思春期ぜんそくに移行したり、大人になってから再発する人もいます。
※寛解=長期に亘って薬を使わなくとも無症状の状態をいう。
◎子どもの頃に症状がなくても、大人になって40~60歳代で初めて発症する人もいます。

初めての症状の時に気をつける

発作を初めて起こした時は症状が軽いので、この時期に適正な治療や指導を受けることで、軽い症状のままで治すことが可能です。

発作の起きやすい時間帯や季節

◎時間帯:ぜんそくは副交感神経の影響を受けやすいので、副交感神経の働きが活発な夜中や明け方に強く出ます。そのため、日中はケロッとしていることが多いのが特徴です。
◎季節:ぜんそくの人は気道が過敏になっているため、気象の影響を受けやすくなっています。梅雨時、台風が近づいている時、急に冷え込んだ時などに発作が出やすいので、天気予報を参考にすることも必要です。

冷たいものや刺激の強いものに注意

気道を刺激すると発作を起こしやすくなります。冷たいものや刺激の強い食べ物は気道を刺激するので、避けるようにしましょう。

食べ過ぎにも注意

お腹いっぱい食べると、横隔膜の働きが鈍くなり、そのため呼吸運動の制限につながり呼吸が苦しくなります。腹八分目の食生活はぜんそく予防のみならず、あらゆる病の原因にもなりやすいので気をつけましょう。

食物繊維をしっかり取る

2009年10月29日、英科学誌『ネイチャー』に食物繊維の新たな効能が発表されました。論文を執筆したのはオーストラリア・シドニーのガーバン医学研究所で、「食物繊維は免疫系の働きを高め、炎症性疾患の抑制に力を発揮する」「食物繊維がぎっしり詰まった食べ物には、ぜんそく、糖尿病、関節炎を寄せ付けないようにするためのカギが握られている可能性がある」と述べています。同研究所のチャールズ・マッケイ教授は「西洋のライフスタイルに関連した食生活の変化が、ぜんそくやⅠ型糖尿病などの自己免疫疾患の増加を招いていると考えられる」と述べています。
食物繊維は便秘解消にも必要な成分です。日常的にしっかり取る習慣をつけましょう。

ぜんそくを予防・緩和する栄養成分と食べ物

ぜんそくは炎症により気管支が細くなって引き起こされる症状です。炎症を抑えるビタミンA・C・E、必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸、免疫系の働きを高める食物繊維などをしっかり取る食生活が症状緩和につながります。

オメガ3脂肪酸

体の細胞膜やホルモンを作る原料となる必須脂肪酸のひとつで、体内では作ることができないため食べ物から取らなくてはならない脂肪酸です。オメガ3脂肪酸のうち、DHAやEPAは水中のプランクトンによって合成され、植物では主にαリノレン酸です。EPAは抗ぜんそく効果を持っています。αリノレン酸は加熱すると酸化してしまうので、ドレッシングなど生のまま摂取するのがベストです。

オメガ3脂肪酸を多く含む食品:
イワシ、サバ、サンマ、マグロ、ブリ、鮭、ニシン、亜麻仁油(あまにゆ)、荏胡麻油(えごまゆ)、紫蘇油(しそゆ)など

食物繊維

体内で消化できない炭水化物のためエネルギー源にはなりませんが、腸内の物質を排泄して便秘を解消する、血中コレステロールを下げる、糖の代謝を正常化するなどの働きを持っており、「第6の栄養素」とも呼ばれています。水溶性と不溶性の2種類があり、ともに高い整腸作用を持っています。昨年の研究発表により、抗炎症性のあることが分かってきています。※「ぜんそくとは」の食物繊維参照。

食物繊維を多く含む食品:
水溶性:コンブ・ワカメ・ヒジキ・モズクなどの海藻類、こんにゃく、きのこ、くだものなどに多く含まれている。不溶性:野菜、穀類、豆類、エビやカニの表皮などに多く含まれている。

ビタミンA

皮膚や粘膜を健康に保つ働きを持つ栄養成分で、炎症を抑える働きも持っています。ウナギやレバーに含まれるビタミンAはそのまま体内に吸収されますが、緑黄色野菜に多く含まれるカロテンは体内でビタミンAの働きをします。

ビタミンAを多く含む食品:
ウナギ、にんじん、かぼちゃ、春菊、にら、レバー、全乳、バター、チーズなど

ビタミンC

抗酸化性を持つ水溶性のビタミンで、非常に多岐にわたる生理作用を持っています。免疫活動の主力である白血球の働きを強化するため、免疫力を高める働きに優れています。生理作用は多岐におよび、風邪からがんまで予防するといわれています。

ビタミンCを多く含む食品:
キャベツ、パセリ、じゃがいも、ほうれん草、グレープフルーツ、いちごなど

ビタミンE

脂肪の酸化を防ぎ、血管を丈夫にして血流をよくする働きを持っている脂溶性のビタミンです。抗酸化力で不飽和脂肪酸の過酸化を抑制するため「若返りのビタミン」とも呼ばれています。

ビタミンEを多く含む食品:
植物油、穀類、豆類、アーモンド、落花生、ウナギ、緑黄色野菜など

ぜんそくを予防するレシピ

気道の炎症により空気の流れが妨げられて起こるぜんそくは、まずは炎症を引き起こす原因を遠ざけることが最優先です。食べ物では、気管支狭窄を起こしやすいヒスタミンやロイコトリエンなどを多く含む食品(たけのこ、さといも、鮮度の落ちた魚介類など)の取り過ぎに気をつけ、炎症を抑える働きを持つビタミン類(A・C・E)、魚に多く含まれるEPAやDHA、免疫調整に働くきのこ類などを積極的に取ることが大切です。また、食物繊維を豊富に含む豆類やドライフルーツには自己免疫疾患を抑える働きがあることが発表されています。保存の利く豆類やドライフルーツは通年を通して利用できる食品です。日常的に取り入れる食生活を続けることで、自己免疫力を高め、ぜんそく予防に努めましょう。

きのこのマリネ

きのこのマリネ
きのこ・トマト・オリーブ油は、きのこの持つ免疫調整力と豊富な食物繊維、トマトのビタミンC、オリーブ油のビタミンEの働きで、免疫力が高まって炎症が抑えられる食べ合わせになります。ぜんそくの症状によりレモン汁や酢の量を減らしてください。たまねぎとパセリでビタミンCをプラスします。

しいたけとお麩のシラス入り卵とじ

しいたけとお麩のシラス入り卵とじ
しいたけは強力な抗ウイルス・抗がん作用を持ち、造血作用に働くビタミンB12、造骨作用に働くビタミンDを含有し、免疫力調整に働くきのこです。麩は小麦粉を原料に作られる消化吸収に優れた栄養食品で、小麦グルテンに含まれるグルタミンには免疫機能の低下を防ぐ働きがあります。そのため、しいたけと麩を一緒に取ると、免疫力が高まる食べ合わせになります。卵でビタミンA・E、シラス干しで食物繊維をプラスして、炎症抑制効果を高めます。

ドライフルーツおこわ

ドライフルーツおこわ
ドライフルーツに含まれる豊富な食物繊維は、免疫系の働きを高めて抗炎症性を発揮するため、ぜんそく予防が期待できる食べ物です。さらにドライフルーツの抗酸化力が、免疫力強化に働きます。もち米には胃腸をはじめとする消化器系全般を丈夫にし、体内を温める作用もあるので冷え性改善も期待できます。付け合せにはビタミンCが豊富な野菜をどうぞ。

スジョングァ(水正果)

スジョングァ(水正果)
スジョングァは食後の口直しとして人気の高い韓国の伝統的な飲み物です。甘い干し柿と辛みのあるしょうが、シナモンの香りが調和し、体が温まる飲み物です。干し柿とくるみの食物繊維と抗酸化力が免疫力の働きを高め、咳やぜんそくなどの症状緩和に働きます。胃腸の働きも高まる食べ合わせです。

干し柿のゆで卵巻き

干し柿のゆで卵巻き
柿を干して作る干し柿は、糖分・ビタミンA・食物繊維などの含有量が生柿と比べて倍増し、表面につく白い粉は気管の粘膜を潤す働きを持っています。これらの成分により、干し柿を食べると、炎症が抑えられ、慢性気管支炎の緩和が期待できます。栄養バランスに優れた卵と一緒に取ることで、体力が強化され免疫力の向上につながります。胃腸強化や内臓を温める働きにも優れています。

イワシと乾物のつくね

イワシと乾物のつくね
イワシに豊富に含まれる脂質は、必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)で、EPAには抗ぜんそく効果があります。食物繊維が豊富な切り干し大根、ヒジキ、ホールコーンと一緒に取ると、免疫系の働きが高まり、炎症性疾患抑制に働く食べ合わせになります。糖尿病やがん抑制にも有効な一品です。

そら豆サラダ

そら豆サラダ
そら豆はビタミンやミネラルをバランスよく含み、利尿作用に優れた豆です。トマトや生クリームと一緒に取ると、食物繊維・カロテン・ビタミンC・ビタミンEをバランスよく摂取でき、炎症が抑えられぜんそく症状の緩和が期待できる食べ合わせになります。レタスでビタミンCと食物繊維をプラスします。そら豆のビタミンB群は紫外線にあたると分解してしまうので、購入する時はサヤ入りがおススメです。

呉汁

呉汁
良質な植物性たんぱく質と脂質を持ち、ビタミンやカルシウム、そして豊富な食物繊維を含んでいる大豆は、生活習慣病の予防に有効な食材です。豊富な食物繊維が腸内環境を高めると同時に、免疫系の働きを強化してぜんそく予防に働きます。生味噌使用の時は、有益な微生物が失われてしまうので、沸騰させないように注意しましょう。

大豆とウナギのキツネ揚げ

大豆とウナギのキツネ揚げ
大豆は良質なたんぱく質を始めとする各種栄養成分を豊富に含んでいる豆です。ウナギと一緒に取ると、豊富な食物繊維やビタミンA・Eが炎症緩和に働くため、ぜんそくの症状軽減が期待できる食べ合わせになります。植物性と動物性のたんぱく質と良質な脂質が免疫力の強化に働きます。

にじゃ(小豆の煮込み)

にじゃ(小豆の煮込み)
「にじゃ」は佐賀県白石、有明地方に伝わる郷土食です。寒い季節にいただくスタミナ食ですが、栄養バランスに優れ免疫力を強化する働きに優れているので、季節を問わずその時に収穫される野菜を使って作ってみてはいかがでしょうか。豊富な食物繊維がコレステロール値を下げて免疫力を強化し、ぜんそく予防に働きます。生活習慣病の予防にも有効です。