節分

立春の前日が「節分」で、太陽暦では2月の3日か4日にあたります。この日はちょうど冬から春の節に変わる日で、地方によっては「寒ばなれ」「節替わり」などとも呼ばれています。夜には「福は内、鬼は外」といいながら、鬼の嫌いな豆をまきます。豆は「魔滅(まめ)」に通じ、鬼が象徴する「病気」「災難」を防ぐと考えられています。自分の年齢よりも豆を一つ多く食べることで、来年までの無病息災を祈ります。
また江戸時代の後期に誕生した「巻きずし」から、その年の恵方に向かって巻き寿司を食べる「恵方巻き」の習慣が生まれています。恵方とは歳徳神の在する方位で、その年によって異なり、今年の恵方は東北東にあたります。恵方巻きの作り方や食べ方に関しては諸説ありますが、正確な所は不明です。恵方を敬い威儀を正す習慣に巻きずしが結びつき、「七福神にちなんで七種類の具を巻き込む」「縁を切らないため包丁を入れず、丸ごとかぶりつく」「福が逃げるので無言で食べる」などの決まりごとが後からつき、風習となったと考えられます。

恵方巻き

恵方巻き
好みの具を入れて作る恵方巻きは、たんぱく質・脂質・炭水化物の三大栄養素がしっかりに取れる巻物です。酢めしが食欲増進に働き、食物繊維も豊富に取れるため腸内がスッキリします。桜でんぶは白身の魚肉をほぐして炒り食紅などで色をつけたもので、たんぱく質や糖質を含んでいます。

煎り豆

煎り豆
「畑の肉」と呼ばれる大豆は肉や魚に劣らない良質のたんぱく質と脂質を含んでおり、その豊かな栄養成分が日本人の健康を支えてきたといわれています。節分の豆は「魔滅(まめ)」を意味し、この日に豆を食べることは病気や災いから体を守る食の知恵でもありました。大豆は弱火で長時間煮るほど、有害な成分が失効するといわれています。

しもつかれ

しもつかれ
栃木県人が郷土料理の代表に挙げる料理ですが、関東一円で作られ、「すみつかれ」「しみづかり」「すむつかり」「つむちかれ」など各地各様の呼び名を持っています。商家で初午か、二の午の日に屋敷内のお稲荷さんに赤飯と一緒に供え、食べると中風にかからないと言い伝えられています。鎌倉時代から作られている料理で、地域により調理法は異なりますが、正月の新巻き鮭の頭と節分で余った炒り大豆が主役で、「鬼おろし」という目の粗いおろしでおろした大根とにんじん、酒粕などを煮込んで作ります。名の由来として①大豆の表面のシワが赤ん坊のむずかる顔に似ている②下野の国の祝い料理「下野嘉例(しもつかれい)」が転訛した③酢の酸味が強烈でむつかる などといわれています。