むくみ

むくみのメカニズムと原因

むくみとは

むくみとは、「細胞と細胞の間に余分な水分が残ってしまう状態」をいいます。

細胞と細胞の間に存在する水分を「間質液」という

私たちの体は約60%の水分と40%の様々な栄養成分で構成されています。水分の約70%は細胞内に含まれ、約30%は細胞外に存在しています。
細胞外に存在する約30%の水分の内訳ですが、25%が血液。残り75%が細胞と細胞の間に存在しており、「間質液」と呼ばれています。

健康だと間質液は静脈に戻る

間質液は健康な状態の場合、リンパ管に入ってリンパ液になり、静脈の血管に排泄されます。しかし、①リンパ液の流れが滞る ②リンパ液が血管に戻らない ③間質液がリンパ液に代謝されない など何らかの原因が発生すると、細胞と細胞の間に過剰な水分が溜まり、むくみを引き起こします。

原因の多くは生活習慣

過剰な間質液の原因として、「水分の取過ぎ」「塩分の取過ぎ」「冷え」「運動不足」「睡眠不足」などの生活習慣が考えられます。しかし、心臓病・腎臓病・肝硬変などが原因でむくみが起こることもあるので、むくみが続く場合は病気を疑ってみることも大切です。

アルコールの飲み過ぎに注意

また、アルコールの飲み過ぎもむくみの原因になるので気をつけましょう。アルコールは血管を膨らませる働きがあるため、通常よりも水分が細胞間に多く出されます。しかし静脈やリンパ管は通常を越えた過剰な水分を運ぶことができないため、細胞間に余分な水分が溜まってしまい、むくみの現象として表れます。

むくみを予防する食べ物

むくみは体の中に水分が溜まってしまうことにより引き起こされるため、予防には水分を排出する利尿作用の高い食品を取ると効果的です。
体の水分代謝には、カリウムとナトリウムが深く関係しています。体内にナトリウムが過剰になると余分な水分を溜め込みむくみが生じますが、カリウムを取ると、余分なナトリウムが尿として排泄され、むくみ解消に有効に働いてくれます。
特に日本の6~8月の高温多湿な時期には、体に水分が溜まりやすいので、日々の食事に利尿作用の高い食品を積極的に利用し、余分な水分を体内に溜めないようにしましょう。

小豆

小豆
カリウムとサポニンが豊富に含まれている。カリウムが余分な塩分や老廃物を排泄し、水分代謝をよくする。サポニンは血液中の脂肪を洗い流す働きがある。疲労回復に有効なビタミンB1を多く含んでいる。

緑豆

緑豆
カリウム・サポニンを含み、利尿作用や解毒作用に優れている。豆類の中で一番多くカロテンを含んでいる。

大豆・黒豆

黒豆
「畑の肉」と呼ばれるように良質なたんぱく質と脂質を含んでいる。レシチンやサポニンがコレステロールを洗い流し、利尿作用に働く。

はと麦

穀類の中でもっとも栄養価が高く、体内の新陳代謝を活発にする働きに優れている。体内の老廃物を排泄し、腎臓の働きを高めて利尿作用を発揮する。シミやシワを予防し美肌効果も高い。

そら豆

カリウムを豊富に含み、胃腸を丈夫にする。腎臓の機能を高める働きに優れており、尿の出をよくしてむくみを予防する。ビタミンやミネラルをバランスよく含み、特にビタミンB2は「成長・美容ビタミン」と呼ばれ、子どもの成長を促し健康な皮膚や髪を作る働きを持っている。

冬瓜

成分の96%が水分で、利尿、解熱、解毒などの作用があるとして古くから利用されてきた。中医学では「体を冷やす性質」があるといわれ、水太り気味の予防に効果が高い。

とうもろこし

カリウムが体内の余分なナトリウムを排泄し、血圧を下げ利尿作用を高める。特にヒゲ部分は利尿作用に優れ、中医学では慢性腎炎の治療に利用されている。

きゅうり

成分の96%が水分で、カリウムを含んでいる。血圧を正常に保つと同時に、手足のむくみを解消し、「煮る」と効果がより一層高まる。

海苔

豊富なカリウムが利尿作用に働き、むくみを予防する。ビタミンAの含有量は海藻中ではトップクラスで、たんぱく質は大豆に匹敵する量を含んでいる。

アサリ

喉の渇きを癒し、利尿作用に優れている。豊富に含まれる鉄やビタミンB12が貧血を予防し肝臓強化に働く。

むくみを予防する生活

適度な水分補給をしましょう

水分の取り過ぎはむくみの原因になりますが、必要以上に水分を取らないでいると、リンパの老廃物がろ過されなくなり、むくみを悪化させる原因にもなります。適度な水分補給は、むくみを解消する基本です。

塩分の取り過ぎに注意し、カリウムを取りましょう

塩分の取り過ぎで体内にナトリウムが過剰になると、余分な水分を溜め込み、むくみが生じてきます。ナトリウムを排出するにはカリウムを取ると効果的です。カリウムは余分な塩分を尿として排出し、むくみ解消に働きます。インスタント食品などの取り過ぎにも注意しましょう。

クーラーのかけ過ぎに気をつけましょう

気温や湿度が上がると汗を多くかきます。汗をかいたままでクーラーにあたると体が冷え、血液の循環が悪くなり、心臓機能の低下につながります。新陳代謝も悪くなりむくみやすくなるので、クーラーのかけ過ぎに注意しましょう。

低めの温度のお風呂に入りましょう

低めの温度のお風呂に入り、血行をよくしましょう。クーラーなどで体が冷えると全身をめぐる血液の循環が弱まり、特に下半身の血液が滞留しやすくなります。低めの温度のお風呂に浸かることで、血行がよくなり、足のむくみ解消に効果的です。

適度な運動をしましょう

運動不足もむくみの大きな原因のひとつになります。体を動かさないと血行が悪くなり、特に足がむくみやすくなってきます。体を動かすことで全身の血液循環をよくして、むくみを予防しましょう。

むくみ予防に効くお粥

気温や湿度の高い梅雨期は、食欲が落ちやすい時期です。食欲不振のままで夏を迎えると、疲れが溜まり、夏バテになりやすくなります。また梅雨期は不眠にもなりやすいため、胃腸に負担をかけないお粥がおススメです。
米の炭水化物やビタミンB群に、利尿作用に優れた食べ物を組み合わせ、むくみを予防して胃腸を整えましょう。

そら豆とはと麦のお粥

そら豆とはと麦のお粥
そら豆とはと麦を一緒に取ると、利尿作用を持つそら豆のカリウムと老廃物排泄作用を持つはと麦の働きで、腎臓の機能が高められ、むくみ予防に優れた食べ合わせになります。そら豆に含まれるビタミンB2は健康な肌を作る作用を持ち、シミやシワを予防する作用を持つはと麦と一緒に美肌を作ります。

緑豆のお粥

緑豆のお粥
緑豆はカリウムやサポニンを豊富に含み、利尿作用や熱を取り去り解毒作用にも優れています。抗酸化力の高いカロテンや腸の働きを整える食物繊維の含有にも優れ、体力強化や便秘予防にも有効です。

冬瓜と小豆のはと麦入りお粥

冬瓜と小豆のはと麦入りお粥
冬瓜・小豆・はと麦は、利尿作用に優れ、腎機能低下によるむくみ予防に有効な食べ合わせです。小豆とはと麦は体内の新陳代謝を活発にして美肌を作り、豊富な食物繊維が腸の働きを整えてコレステロール値低下に働きます。

むくみ予防に効くスープ

高温多湿の梅雨期は、一年の中でもっとも体調を崩しやすい時期です。ジメジメした暑さで不快感が増し、水分の取り過ぎや睡眠不足などで体内に水が溜まりやすくなります。胃腸の働きも低下しやすいので気をつけましょう。
胃腸を労わりながら栄養バランスを整えるには、スープがおススメです。利尿作用の高い食べ物で作るスープは、むくみを解消し胃腸の働きを高め、体力強化にも有効です。

丸ごととうもろこしとアサリのスープ

丸ごととうもろこしとアサリのスープ
とうもろこしは利尿作用を持つカリウムを豊富に含み、丸ごと利用することで効能を無駄なく取り入れることができます。とうもろこしとアサリを一緒に取ると、アサリの喉の渇きを止めて利尿に働く作用がプラスされ、むくみや水太り解消に有効な食べ合わせになります。糖尿病予防やダイエットも期待できます。

そら豆・かぼちゃ・ベーコンのスープ

そら豆・かぼちゃ・ベーコンのスープ
そら豆とかぼちゃは、ビタミンやミネラルをバランスよく含んでいる野菜です。そら豆とかぼちゃはともに利尿作用を持ち腎臓機能を高め、むくみ予防に働きます。豊富な食物繊維が腸内の環境を整えて便秘を予防し、そら豆のビタミンB2とかぼちゃのβ‐カロテンが美肌を作ります。

緑豆スープ

緑豆スープ
緑豆はカリウムやサポニンを豊富に含む豆で、コレステロール値低下や抗ウイルス作用を持つしいたけと一緒に取ると、利尿や解毒・動脈硬化や心臓病の予防に有効な食べ合わせになります。緑豆のカロテンが抗酸化力を高め、しいたけのビタミンDと牛乳のカルシウムが骨の強化に働きます。

むくみを取るレシピ

梅雨から夏にかけて、高温多湿の日本の気候は、肌に潤いを与えるメリットがある一方、体内に水分を溜めやすい季節です。気温が上昇するにつれて汗をかくことが多くなりますが、そのままクーラーなどで体を冷やすと体内の血液循環が悪くなり、むくみを引き起こしやすくなります。利尿作用の高い食べ物を積極的に取り、体内に溜まった余分な水分を排出して、むくみを予防しましょう。
旬を迎えるそら豆、冬瓜、きゅうり、とうもろこしなどの野菜や、小豆や緑豆などの豆類やはと麦などがおススメです。

緑豆・冬瓜・豚バラ肉の煮物

緑豆・冬瓜・豚バラ肉の煮物
緑豆と冬瓜は解毒や利尿作用を持ち、一緒に取るとむくみや水太り予防に効果的な食べ合わせになります。豚バラ肉で良質なたんぱく質やビタミンB1を補い、栄養バランスを整え、疲れを取り去ります。冬瓜の利尿作用は加熱するとより一層高まります。

緑豆と鶏肉のハンバーグ

緑豆と鶏肉のハンバーグ
緑豆のカリウムやサポニンは利尿作用、鶏肉が水分代謝の調整に働くため、緑豆と鶏肉を一緒に取ると利尿作用に優れむくみを予防する食べ合わせになります。緑豆の良質な植物性たんぱく質と鶏肉の動物性のたんぱく質が体力を高め、鶏肉の不飽和脂肪酸がコレステロール低下に働きます。

緑豆・アサリ・キムチのチヂミ

緑豆・アサリ・キムチのチヂミ
緑豆は利尿や解毒作用に優れ、豆類では抗酸化作用のあるカロテンを一番多く含んでいます。アサリは肝臓を強化すると同時に利尿作用を持っており、緑豆とアサリを一緒に取ると、利尿作用が高まりむくみ予防に働く食べ合わせになります。キムチやにらをプラスして、免疫力を高めます。

大豆・とうもろこし・小エビの明太和え

大豆・とうもろこし・小エビの明太和え
大豆に含まれるカリウムやサポニンはコレステロールを洗い流し、血圧安定やむくみ予防に働きます。とうもろこしのカリウムをプラスすると、利尿効果や高血圧予防効果がさらに高まります。大豆ととうもろこしのレシチンや、エビのタウリンが脳細胞を活性化し、老化予防も期待できます。

小豆ととうもろこしの炊き込みごはん

小豆ととうもろこしの炊き込みごはん
小豆ととうもろこしのカリウムは、むくみを取り、血圧を安定させる食べ合わせです。ともに含まれるビタミンB1が疲労回復に働き、豊富な食物繊維が、腸内の有害物質や老廃物を排泄して便秘予防に働きます。小豆の煮汁にはサポニンなどの有効成分が含まれているので、無駄なく利用しましょう。

はと麦と鶏ひき肉の揚げ肉団子

はと麦と鶏ひき肉の揚げ肉団子
体内の新陳代謝を活発にするはと麦は、利尿や鎮痛作用に優れ、古くから薬として利用されてきました。含有するたんぱく質はアミノ酸バランスに優れ、鶏肉と一緒に取ると、胃腸を強化し疲労回復に優れた食べ合わせになります。湿気の多い梅雨時のむくみを取り、体力強化に有効です。

はと麦と小豆の薄焼きお焼き

はと麦と小豆の薄焼きお焼き
たんぱく質が豊富で利尿作用のあるはと麦と、糖質が豊富でカリウムが豊富な小豆を一緒に取ると、むくみを予防する優れた食べ合わせになります。はと麦と小豆はともに食物繊維を豊富に含んでいるため便秘解消にも働きます。小豆のビタミンB1が疲労回復に、はと麦が美肌効果を発揮。はちみつを添えておやつにも向く一品です。

冬瓜ときゅうりのカレースープ煮

冬瓜ときゅうりのカレースープ煮
冬瓜ときゅうりは、ともに利尿作用に優れ、その作用は加熱することでより一層高まります。豚ひき肉をプラスすることで栄養価が高まり、疲労回復やダイエットにも有効な一品になります。香辛料のカレーが食欲増進に働き、疲労回復力がさらに高まります。

そら豆ととうもろこしの海苔酢

そら豆ととうもろこしの海苔酢
カリウムが豊富なそら豆・とうもろこし・海苔は、利尿作用に優れむくみを取る食べ合わせです。食物繊維も豊富に含まれ、腸の働きを整え便秘解消に働きます。カリウムは体内のナトリウムを調整し、血圧を安定させ、そら豆と海苔の豊富なビタミンCが美肌を作ります

そら豆と牛肉の和え物

そら豆と牛肉の和え物
そら豆はビタミン類やミネラル類をバランスよく含み、食物繊維も豊富に含んでいます。カリウムは利尿作用に優れ、ビタミンB2は細胞の再生を助け、食物繊維は血中コレステロール低下に働くため、むくみや動脈硬化などの予防に有効に働きます。そら豆の植物性たんぱく質と、牛肉の動物性たんぱく質を一緒に取ることで、体力の強化や回復が期待できます。

そら豆・きゅうり・白身魚のマリネ

そら豆・きゅうり・白身魚のマリネ
そら豆・きゅうり・白身魚は、利尿作用を高めてむくみを取り去る食べ合わせです。そら豆は腎臓の機能を高めてむくみを取る作用に優れ、きゅうりのカリウムがその働きをさらに高めます。白身魚やマリネ液の不飽和脂肪酸が、コレステロール低下に働きます