アチャール

アチャールとは

アチャール

アチャールはオイルと香辛料で作る漬物

アチャールはにんじんやしょうがなどの野菜、マンゴーなどの果物に、マスタードオイルをベースにした香辛料を加えて作る漬物です。インドやネパールで広く作られ、使う材料や香辛料の種類によって味も種類もバリエーション豊かで、家庭ごとに好みのアチャールが作られています。インドやネパールの人々にとって、アチャールは「お袋の味」的な漬物です。

発祥はインド?

アチャールはインドやネパールで日常的に作られている漬物で、特にインドではカレーに欠かせない食べ物です。和食の漬物や韓国料理のキムチのように、カレーの定番料理のため、アチャールの発祥はインドと考えられています。しかしネパールなどの周辺諸国でも同様なアチャールが作られているため、はっきりしたルーツは分かっていません。また、ネパールではアチャールの他にからし菜などの葉を、塩を使わずに乳酸発酵させて作る「クンドルック」という漬物が作られています。

「浅漬けタイプ」と「発酵タイプ」がある

アチャールには「浅漬けタイプ」のものと「発酵タイプ」のものがあり、どちらもオイルと香辛料を使うのが特徴です。浅漬けタイプはオイルと香辛料にさっと和え数時間後に食すことができます。一方、発酵タイプのアチャールはマスタードオイルと香辛料に浸け2週間ほど発酵させ、酸っぱくなったものを食べます。ともに酵素の働きが生きており、発酵タイプのアチャールは常温で1~2年の保存が可能です。

どんな食材でも作ることができる

アチャールに使われる食材は実に豊富です。大根、じゃがいも、にんじん、たまねぎ、マンゴーなどがよく利用されていますが、基本的にどんな野菜でもアチャールを作ることができます。浅漬けタイプのアチャールの場合、和え物感覚で食すことができるので、身近な野菜や果物でオリジナルアチャールを作ってみてはいかがでしょうか。

アチャールに含まれる主な成分

アチャールには、使用されているそれぞれの香辛料の持つ有効成分が豊富に含まれています。香辛料は抗酸化力が高いため、アチャールを日常的に取る食生活は、細胞の酸化が予防され、免疫力の強化や老化防止に有効です。

マスタードシード

マスタードは「からし」、シードは「種子」の意味で、ホール状のマスタードは「マスタードシード」と呼ばれています。からしには和がらしもありますが、マスタードと言う場合には洋がらし(「黒がらし」と「白がらし」)を指すのが一般的です。黒がらしはアブラナ科二年草カラシナの種子で、色付く直前の未熟な実をそのまま天日乾燥させたもので、辛み成分はイソチオシアン酸アリル。一方、白がらしはアブラナ科一年草のシロカラシナの種子で、完熟して赤くなった実を水に浸して発酵させ、果皮を取り除いて天日乾燥したもので、辛み成分はイソチオシアン酸オキシベンジル。辛みや刺激性は和がらしや黒がらしよりも、白がらしの方が温和です。
マスタードシードの優れた効能はファイトケミカルと呼ばれる辛み成分で、高い抗酸化力を持っています。また、鉄分やマグネシウム、カリウムなどのミネラルも豊富に含まれているため、体の生理機能を保ち健康維持に有効です。健胃、腸内ガスの排出、食欲増進、強精などの効果があり、漢方では発汗や感染症に用いられています。

チリパウダー

マスタードは「からし」、シードは「種子」の意味で、ホール状のマスタードは「マスタードシード」と呼ばれています。からしには和がらしもありますが、マスタードと言う場合には洋がらし(「黒がらし」と「白がらし」)を指すのが一般的です。黒がらしはアブラナ科二年草カラシナの種子で、色付く直前の未熟な実をそのまま天日乾燥させたもので、辛み成分はイソチオシアン酸アリル。一方、白がらしはアブラナ科一年草のシロカラシナの種子で、完熟して赤くなった実を水に浸して発酵させ、果皮を取り除いて天日乾燥したもので、辛み成分はイソチオシアン酸オキシベンジル。辛みや刺激性は和がらしや黒がらしよりも、白がらしの方が温和です。
マスタードシードの優れた効能はファイトケミカルと呼ばれる辛み成分で、高い抗酸化力を持っています。また、鉄分やマグネシウム、カリウムなどのミネラルも豊富に含まれているため、体の生理機能を保ち健康維持に有効です。健胃、腸内ガスの排出、食欲増進、強精などの効果があり、漢方では発汗や感染症に用いられています。

チリパウダー

チリパウダーは辛い唐辛子のチリペッパーに、オレガノやディルなど数種類の香辛料を混合した赤色粉末状の香辛料です。ビタミン類やミネラル類が多く含まれ、さらにロスマリン酸やカプサイシン、β-カロテンなどの抗酸化物質を豊富に含んでいるため、免疫力強化や老化防止、脂質異常などの生活習慣病の予防に有効です。唾液や胃液の分泌を促進して消化を高めるため食欲が増進され、カプサイシンは脂肪を燃やして発汗作用を促す作用があるため、ダイエット効果があると言われています。メキシコ料理のチリコンカーンやソース、シチューなどによく用いられ、ブレンドの仕方によって、「ホット」「マイルド」などの辛さで表現され、量が多いほど辛さが増します。数千種ともいわれる品種があり、温暖な気候で育つものほど辛みが強いと言われています。

ターメリック

ターメリックはインドをはじめとする熱帯アジアを原産とするショウガ科の多年草で、和名は「うこん」。しょうがによく似た植物で、地下に肥大した濃黄色の根茎を持っています。香辛料のターメリックは、この根茎を水洗いしてから皮をむき、5~6時間煮た後に十分乾燥させ、細かく砕いて作られる香辛料です。じゃ香のような芳香とかすかな辛みを持ち、カレー粉やたくあん漬けなどに用いられます。黄色い色素はクルクミンで、高い抗酸化力を持つポリフェノールの一種です。細胞の酸化予防や抗炎症作用、殺菌作用に優れ、薬用植物としても有名です。古来より肝機能を強化する働きに優れているとされ、胃腸や肝臓の薬や止血薬として利用されてきました。スリランカでは布の染色にも利用されています。

フェヌグリークの種(メティ)

フェヌグリークはマメ科の一年草で、ギリシャから西アジア地域が原産と言われています。古代エジプトの墳墓からも発見されるほどに古い栽培歴史を持ち、日本への渡来は江戸時代と伝えられています。和名はコロハ(胡廬巴)で、インドではメティと呼ばれています。草全体に強い芳香を持ち、6~8月に花が咲いた後に細長いさやがなり、その中に入っている種がスパイスとして用いられています。種はカラメルの香りと快い苦味を持っており、チャツネの原料やメープルフレーバーの代用、薬用としても用いられ、また、中近東では豆類として食用され、葉も調理して食されています。
たんぱく質、ビタミン、ミネラルが豊富なスパイスで、主成分はトリゴネリンやコリン。トリゴネリンは植物に多く含まれるアルカロイドの一種で、昨今の研究で脳の老化防止に効果があると発表されています。トリゴネリンはコーヒーの生豆に多く含まれていますが、熱に弱いため、特殊な技術でトリゴネリン成分を多く含むコーヒーが販売されています。コリンは脳細胞に欠かせないレシチンの基本成分で、ビタミンB12と併用するとアルツハイマー型の認知症予防や、脳機能の改善に働くと言われています。

アチャールの作り方

オイルと香辛料に浸けるアチャールは、好みの野菜で作ることができます。ここではポピュラーな大根とにんじんを使ったアチャールの作り方をご紹介しましょう。食材やオイル、香辛料の分量は漬ける容器にちょうど入る位の量を目安にし、自分なりの分量を見つけてください。野菜をしっかり日干しにすると、食感はかたくなりますが、かみしめるほどにうま味がにじみ出てきます。軽く日干ししてオイルと香辛料で和える浅漬け感覚もまた違った食感が楽しめます。発酵タイプのアチャールは、瓶に詰めてから太陽の下に数日置いておきます。その間に中で発酵が進み、徐々に酸味が生まれ、好みの酸っぱさになったら出来上がりです。

所要時間:30分(野菜を日干しする時間は除く)
寝かせる時間:太陽の当たる場所で約2週間

材料

大根(小さめのもの)2本
にんじん1本
しょうが1片
にんにく1個
青唐辛子好みで適量
サラダ油170ml
フェヌグリークの種(メティ)少々
スパイス (A)マスタードシード(炒ってすったもの)
マスタードシード
40g
大さじ1
チリパウダー小さじ1と1/3
ターメリック小さじ1/3

作り方

  1. 大根とにんじんは拍子切りにする。
  2. しょうがは細切り、にんにくは薄い輪切りにする。
  3. 大根、にんじん、しょうが、にんにくを、1~2日間、天日干しにする。青唐辛子を入れる時はそのまま干す。
    アチャールの作り方 アチャールの作り方
  4. 油を熱し、香り付けのメティを入れ、黒くなったら火を消し、そのままおいて置く。
  5. ボウルに天日干しした野菜とAのスパイスを入れる。
    アチャールの作り方
  6. ⑤に④の油を加え、よく混ぜ合わせる。
    アチャールの作り方 アチャールの作り方
  7. 清潔な容器に入れる。この時に上から押し付けるように詰め、上にガーゼをかぶせてしっかり押さえつけ、フタをする。
  8. 日当たりのよい場所に2~3週間置く。発酵が進み、好みの酸っぱさになれば出来上がり。常温で保存する。
    アチャールの作り方

アチャールレシピ

様々なスパイスとオイルで作るアチャールには、スパイスの持つ抗酸化力がたっぷり含まれています。副菜としてそのまま食べるだけでも高い抗酸化力を取り入れることができますが、料理の食材として利用することで、より一層栄養価の高い料理を作ることができます。アチャールはインドやネパールでカレーに定番の一品であるゆえ、カレーとの相性は抜群ですが、カレーのみならず、酢や味噌など和食の調味料との相性にも優れています。抗酸化力の高いアチャールを日常的な食生活に取り入れ、細胞の酸化を予防しましょう。アチャールを利用することで塩分過多の予防にも有効です。

アチャール入りドライカレーのいなりずし

アチャール入りドライカレーのいなりずし
カレー粉はさまざまなスパイスで作られる香辛料で、発汗・健胃・抗酸化作用に優れ、同時に高い殺菌作用を持ち、食べ物の腐敗防止に有効に働きます。黄色い色はターメリックで、豊富に含まれるクルクミンが肝機能を強化します。麹菌で発酵して作る酢には有機酸が豊富に含まれ、体の代謝機能を高めて疲労回復や生活習慣病に働くため、カレー粉と酢を一緒に取ると、食欲増進、血中コレステロール値低下、疲労回復などに優れた食べ合わせになります。豚肉のビタミンB1が疲労回復効果をさらに高めます。

アチャールとサバ水煮缶の餃子

アチャールとサバ水煮缶の餃子
サバ水煮缶はサバを蒸してから缶詰にした食品で、サバの持つたんぱく質や不飽和脂肪酸を豊富に含んでいる保存食品です(メーカーによっては蒸した時に出る液汁(ドリップ)を捨て、化学調味料を添加してうま味を出しているものもあるので要注意)。アチャールの香辛料、にらのβ―カロテン、キャベツのインドール化合物には高い抗酸化力があり、サバと一緒に取ると、エネルギーに溢れた細胞の酸化予防に有効な食べ合わせになります。餃子の原材料は小麦粉で、主成分の糖質の他にたんぱく質やカルシウムなどを含んでおり、気力を増して水分代謝をよくする働きに優れています。豊富な食物繊維がコレステロール値低下に働きます。

アチャールとナッツの豆腐味噌チーズ焼き

アチャールとナッツの豆腐味噌チーズ焼き
豆腐は原料の大豆と同様の栄養価を持つ消化吸収に優れた食品です。押し固めて作る木綿豆腐は絹ごし豆腐よりも植物性たんぱく質やカルシウム、鉄分などが多く含まれています。高い抗酸化力を持つアチャールとナッツ、良質な動物性たんぱく質や脂質に優れているチーズを一緒に取ると、免疫力強化や生活習慣病予防に有効な食べ合わせになります。豆腐と味噌のレシチンが脳細胞に活性化に働き、ナッツのビタミンEがその働きをさらに高めます。

アチャールとタラの蒸し煮

アチャールとタラの蒸し煮
タラは生命力が強く、良質なたんぱく質やカルシウムを豊富に含む白身魚です。高い抗酸化力と豊富な食物繊維を含むアチャールと一緒に取ると、健康な血や肉が作られダイエット効果の高い食べ合わせになります。たまねぎの硫化アリルが新陳代謝を盛んにし、パプリカのビタミンPが毛細血管の強化に働きます。脂質異常や糖尿病などの生活習慣病予防やダイエット食として優れています。

アチャール入り納豆の生春巻き

アチャール入り納豆の生春巻き
ライスペーパーは吸水させた米をすりつぶして作る乾燥保存食品です。納豆は消化酵素の働きで消化吸収が促進され、食物繊維を豊富に含んだ整腸作用に優れた日本生まれの発酵食品です。混ぜると出る糸に含まれるナットウキナーゼという酵素は、血栓を溶かす作用に優れ、脳血栓や心筋梗塞などの予防に有効に働きます。アチャール、納豆、レタス、トマトを一緒に取ると、高い抗酸化力が細胞の酸化を予防し、血流をサラサラにする食べ合わせになります。加熱に弱いナットウキナーゼとビタミンCの効能を無駄なく取り入れることのできる一品で、酢醤油が栄養成分を無駄なく体内に吸収してくれます。