刺身の塩麹和え

刺身の塩麹和え

サーモンとブリは不飽和脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を豊富に含んでいる魚です。EPAは血小板の凝集を抑えて血を固まりにくくし、DHAは老化を防止し脳の機能を高める働きを持っています。イカには強い抗酸化作用を持つ遊離アミノ酸の一種であるタウリンが豊富に含まれています。塩麹に漬けることで魚の持つ栄養成分の体内吸収が高まり、免疫力が強化され、動脈硬化や脂質異常の防止に働きます。魚の良質な脂質は、生食すると無駄なく取り入れることができます。

納豆の塩麹漬け

納豆の塩麹漬け

納豆の麹和えは山形県の米沢市を中心とした置賜地方が発祥といわれ、「五斗納豆(ごどなっとう)」とも呼ばれる納豆に麹と塩を混ぜて熟成させた食べ物です。名の由来は「納豆一石に麹と塩を五斗混ぜて作る」「上杉鷹山が五斗瓶で作ることを奨励した」などと伝えられています。納豆菌によって消化の高まった納豆と、切り干し大根、きくらげ、にんじんを一緒に取ると、体の生理機能が整えられ、免疫力が高まる食べ合わせになります。高血圧・動脈硬化・脂質異常の予防に有効な保存食品です。

こんにゃくと大根のねぎ味噌

こんにゃくと大根のねぎ味噌

こんにゃくはグルコマンナンという水溶性の食物繊維を多く含み、腸内の老廃物・血液中や肝臓内のコレステロールの上昇を抑える働きを持っています。大根はがん細胞の発生を抑制するリグニンと呼ばれる食物繊維を多く含み、加熱すると胃腸を温めて消化吸収が高まります。味噌に含まれる多種多様の微生物が体内で免疫力強化に働き、こんにゃくや大根と一緒に取ると、抗酸化力が高まり健康体を作る食べ合わせになります。長ねぎのビタミンAとCがプラスされることで、抗がん作用がさらに高まります。

にんにく入り大豆味噌

にんにく入り大豆味噌

にんにくは体や脳の機能を十分に発揮させる成分を豊富に含んでいる食物です。にんにく特有の強い刺激臭は硫化アリルのアリシンで、加熱すると血液をサラサラにして血栓予防に働きます。大豆と味噌に含まれるリノール酸やビタミンE、レシチンはコレステロール値低下に働くため、にんにく・大豆・味噌を一緒に取ると、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防に有効な食べ合せになります。免疫力が強化され、新陳代謝が活発になり、健脳・老化防止にも有効です。

鶏の水炊き

鶏の水炊き

骨付き鶏肉で作る水炊きは福岡県博多の郷土料理です。一般に水炊きは調味しない湯で煮る鍋物をいいますが、博多の水炊きは生後5~6ヶ月のオスか、産卵前のメスの骨付き肉をやわらかく茹で、この茹で汁を使ってこってりとうまみの強いスープを作りそれで煮るのが特徴です。明治時代、九州縦断鉄道開通により鹿児島・宮崎産の地鶏が博多に集まり、それに中国の鶏ガラスープを使った調理法が加味され、博多独特の鶏の水炊きが誕生したといわれています。博多では「水だき」と濁るのが正式です。

どどめせ

どどめせ

どどめせは瀬戸内市長船町に伝わる郷土料理です。炊き込みご飯に酢を混ぜた炊き込み寿司で、備前ばら寿司(岡山寿司、祭寿司)の元祖といわれています。鎌倉時代末期、町内の渡しの船頭たちが作っていた昼食用の炊き込みご飯に、酔っ払った武士が酸っぱくなったどぶろくをかけたのが起源といわれています。どぶろくをかけられた炊き込みご飯を、もったいないと食べたところ、あまりの美味しさに評判となり、いつの間にか「どぶろくめし」が「どどめせ」と呼ばれるようになったといわれています。誕生起源が日本で酢が醸造される以前のため、どどめせが備前ばら寿司に発展していったと考えられています。

朴葉味噌

朴葉味噌

朴の葉に味噌といろいろな食材をのせ、火にかけて焼きながら食べる朴葉味噌は、岐阜県飛騨地方に伝わる郷土料理です。三年続けて食べると身上がつぶれるといわれるくらい、食が進む名物料理です。飛騨地方の山林ではうちわほどの大きさ朴の木が自生しており、これを陰干しにして保存し使用します。冬の寒さが厳しい飛騨では、漬物樽の漬物が凍ることもしばしばで、本来は凍った漬物を朴の葉にのせ、囲炉裏で焼いたのがはじまりと伝えられています。漬物を焼いて食べるという食文化は飛騨地方限定といわれ、今では居酒屋のメニューとしても登場するほどポピュラーになりつつあります。

笹寿司(謙信寿司)

笹寿司(謙信寿司)

笹寿司は長野県に伝わる郷土料理です。①川中島に出陣の謙信勢の兵糧だった、②謙信が遠征してきた時に住民が献上したなどの言い伝えから、別名「謙信寿司」とも呼ばれています。一口大にまとめたすし飯に具をのせて笹で包む(あるいは笹の葉の上にのせる)形と、箱寿司風に作る形があります。使われる具はさまざまですが、卵や生の青み野菜は日持ちが悪いため、すぐに食べる時だけに使うのが無難です。殺菌作用に優れた笹の香りがほのかに漂う保存性のあるお寿司です。

僧兵鍋(そうへいなべ)

僧兵鍋(そうへいなべ)

肉やにんにく、季節の野菜で作る味噌仕立ての僧兵鍋は、伝教大師が建立したといわれる天台宗山岳寺の僧兵たちが力をつけるために食べたスタミナ食です。山岳寺は戦国時代に武家の侵略に対して戦った寺として有名で、一時は数百人の僧兵がいたといわれています。かつてはイノシシ・シカ・山鳥などの肉で鍋が作られていましたが、今では豚肉や鶏肉が使われています。味噌仕立ての鍋は、寒い時期には体の中から温まる栄養満点の鍋料理です。

のっぺい汁

のっぺい汁

のっぺい汁は全国各地に古くから伝わっている郷土料理です。季節の具材を煮てから葛粉などでトロミをつけます。そのため汁が粘ってぬるりとすることから、「ぬっぺい→のっぺい」と呼ばれるようになったといわれています。しかし、新潟県の「のっぺい汁」は葛粉などを使わずにさといもで自然にトロミをつけるのが特徴です。汁と呼ばれていますが、汁物というよりも煮物に近く、冷ましてから食すこともあります。新潟特産の鮭を入れるなど、具材は新潟県内でも多彩なバリエーションがあり、盆や正月などのハレの日には必ず作られる家庭料理です。