脳梗塞

脳梗塞とその予防

脳梗塞とは

脳梗塞とは脳卒中のひとつで、脳卒中の約60%以上を占めている症状です。脳に血液を送る血管が、
①血栓が詰まる
②流れが極端に悪くなる
などの理由で脳細胞に血液が流れず、そのため脳細胞が壊死して意識障害を起こす病状です。

脳梗塞の種類

脳梗塞には脳血栓と脳塞栓があります。
脳血栓は脳の血流が次第に悪くなり血管壁に血液の塊(血栓)ができて詰まることで起こります。ラクナ梗塞とアテローム血栓性梗塞があり、日本人に一番多いのは脳の深部の直径1㎜以下の毛細血管が詰まるラクナ梗塞です。
一方、脳塞栓は心臓や頚動脈などの他の部位から血の塊が飛んできて詰まることで起こります。突然発症する危険な脳梗塞で、50~70代に多い症状です。

脳梗塞の原因

高血圧、糖尿病、脂質異常が危険因子とされています。特に日本人に一番多いラクナ梗塞は高血圧が原因といわれています。また、喫煙は多血症(赤血球が異常に増える)となり血液がドロドロの状態になりやすいので注意が必要です。アルコールの摂取過多は血圧上昇につながるので、飲み過ぎにも気をつけましょう。

脳梗塞の予防

脳梗塞は睡眠中と朝の起床時に集中して起こります。血栓は明け方にできやすいので、寝る前に水をコップ1~2杯飲む習慣をつけましょう。また、炎天下を避け、汗をかいたら十分な水分補給に気をつけましょう。優れた血栓溶解の働きを持つナットウキナーゼ(納豆に含まれる酵素)は、食べてから8時間ほど効力があるので、夜に食べるとより効果的です。

脳梗塞を予防する食べ物

脳梗塞を予防するには、血中コレステロールを低下させ血流をよくする栄養成分を有効に取り入れることが大切です。代表的な栄養成分として、不飽和脂肪酸、タウリン、硫化アリル、食物繊維などが挙げられます。また納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓予防効果が強力なので、日常的に取り入れたい食品です。

EPA・DHA

不飽和脂肪酸で、コレステロールや中性脂肪を減らす働きに優れ、動脈硬化を予防する。血液が凝固するのを防いで血栓を予防する。

EPA・DHAを多く含む食品:
白身魚よりも青背の魚に多く、深海魚よりも海の表層を回遊する魚に多い。アジ、サバ、サンマ、イワシ、マグロ、ブリなど

タウリン

魚介類に多く含まれる遊離アミノ酸の一種で、血中コレステロール値や血圧を下げる働きを持っている。動脈硬化を予防し、眼の網膜に働き視力の衰えを予防する。

タウリンを多く含む食品:
イカ(特にスルメイカ)、カニ、タコ、カキ、アサリ、ホタテ貝など

ナットウキナーゼ

納豆から発見された酵素(たんぱく質)。血栓を溶かす働きに優れ、人間が生まれながらにして持っている血栓溶解酵素プラズミンよりも強力に働く。納豆菌の繁殖によって粘りの中に作り出されるので、十分に糸を引かせて食べるとよい。酵素なので加熱に弱く、70℃で失活(効力を失う)してしまう。

ナットウキナーゼを多く含む食品:
納豆

硫化アリル

ねぎやにんにくなどに含まれる刺激臭のある香気成分。血液凝固を遅らせ、血液をサラサラにして血液中の脂質を減らす働きがある。硫化アリルの一種のアリシンには、ビタミンB1の吸収を高める働きがあり、疲労回復に効果がある。

硫化アリルを多く含む食品:
にんにく、玉ねぎ、しょうが、ねぎ、にら、らっきょうなど

食物繊維

体内で消化されない炭水化物。水溶性と不溶性があり、腸管からコレステロールが吸収されるのを防ぎ、コレステロールを体外に排出する。

食物繊維を多く含む食品:
きのこ類、海藻類、こんにゃく、野菜類、穀類など

オレイン酸

不飽和脂肪酸のオメガ9系(一価不飽和脂肪酸)の脂質で酸化しにくい。血中のLDL(悪玉コレステロール)を低下させ、一方でHDL(善玉コレステロール)を低下させない働きを持つ。肝臓に働きかけてインスリンの効き目を改善する作用がある。

オレイン酸を多く含む食品:
オリーブ油、ごま油、菜種油など

ナットウキナーゼで脳梗塞を予防する

納豆は日本生まれの発酵食品です。消化に優れ、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいます。数多くの栄養素を含んでいる納豆ですが、その中でも納豆にしか含まれていない「ナットウキナーゼ」という酵素には、血栓を溶かすという優れた働きがあります。その効力はすでに証明済みで、血栓予防には安全で安価な納豆がおススメです。
酵素は熱に弱いので、効率よく取り入れるには加熱しない食べ方がベスト。また、血栓は明け方に発症しやすいので、血栓予防のために納豆を食べるなら、夜食べると効果的です。

納豆味噌とマグロの大根そば

納豆味噌とマグロの大根そば
納豆と味噌はともに大豆を原料とした発酵食品で、活性酸素を除去して腸の働きを整える・コレステロールを低下させる・肌や粘膜を保護するなどの働きを持っています。納豆・味噌・マグロ・大根を一緒に取ると、マグロのEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が血栓を予防し、大根の食物繊維がコレステロールを低下させるので、脳梗塞の予防に有効な食べ合わせになります。

納豆・青じそ・梅干しのサラダパスタ

納豆・青じそ・梅干しのサラダパスタ
血栓予防効果の高い納豆と青じそ・にんにく・梅干しを一緒に取ると、良質なたんぱく質と高い抗酸化力が血管を強化し、血液サラサラに働く食べ合わせになります。にんにくのアリシンは加熱するとアホエンという物質が生成され血栓予防に働きます。さらにオリーブ油のオレイン酸が血中の悪玉コレステロール低下に働き、食欲も増進される一品です。

納豆・トマト・とうもろこしの黒酢和え

納豆・トマト・とうもろこしの黒酢和え
納豆のナットウキナーゼ、トマトのリコピンやカリウム、とうもろこしのリノール酸や食物繊維は、血管をしなやかにして血栓を予防しコレステロールを低下させる食べ合わせです。黒酢のクエン酸が血流をよくし、高血圧や便秘予防にも優れた効果を発揮します。

納豆とキムチの白滝サラダ

納豆とキムチの白滝サラダ
納豆には血栓予防に優れているナットウキナーゼや、コレステロールを洗い流すレシチンなどが含まれています。納豆・キムチ・白滝は、腸の働きが整えられコレステロール値が低下する食べ合わせです。豊富な食物繊維がコレステロール値低下を高め、血栓予防や糖の代謝正常化に働きます。

納豆とさやいんげんの白和え風

納豆とさやいんげんの白和え風
納豆・豆腐・さやいんげん・にんじんは、納豆と豆腐に含まれるレシチンがコレステロールを洗い流し、さやいんげんとにんじんの食物繊維がコレステロール排出に働くため、血栓を予防し、脳梗塞の予防に優れた食べ合わせになります。

脳梗塞を予防するレシピ

脳梗塞は夏に多く発症する病気です。主たる原因は暑さのせいで汗を多くかくため脱水症状を起こし、血液がドロドロになりやすいからです。流れが滞った血液は詰まりやすいので、水分補給に気をつけると同時に、血液を凝固させない食べ物を日常的に取り入れ、血液の流れをよくする事が大切です。
血中のコレステロールや中性脂肪を減らす働きに優れた食べ物には、不飽和脂肪酸のEPAやDHAを豊富に含む青魚、タウリンが豊富なイカ・カニ・タコなどの魚介類、血栓を強力に予防する納豆などがおススメです。同時に血液をサラサラにする玉ねぎやにんにく、クエン酸を含む梅干しやレモン、食物繊維が豊富な海藻類やきのこ類も十分に取るように心がけましょう。

カニ・しいたけ・セロリの薄焼き卵蒸し

カニ・しいたけ・セロリの薄焼き卵蒸し
カニは高たんぱくで低脂肪なダイエット食品です。コレステロールを下げるタウリンを豊富に含んでいるため、動脈硬化を防いで脳梗塞予防に働きます。セロリと食べ合わせると高血圧改善に、しいたけと食べ合わせるとがん予防に有効です。カニ詰を使う場合は、汁にタウリンが溶け出ているので汁ごと使うとよいでしょう。

タコときゅうりの豆板醤和え

タコときゅうりの豆板醤和え
タコは高たんぱくで脂質や糖質が少ない低カロリー食品です。血中コレステロール値を低下させるタウリンを豊富に含み、血栓予防や血圧安定に優れた働きを発揮します。豆板醤・ごま油・松の実の抗酸化力が細胞の酸化予防に働き、タコと一緒にインスリン効果を高める作用も期待できるので、糖尿病の改善にも有効です。みょうがと食べ合わせると門脈系の血流がよくなり、痔の症状改善に働きます。

イカ・オリーブ・さやいんげんのマリネ

イカ・オリーブ・さやいんげんのマリネ
イカにはアミノ酸の一種であるタウリンが豊富に含まれています。タウリンは強い抗酸化力を持ち、血中コレステロールを下げて中性脂肪を減少させる働きに優れ、イカの中でも特にスルメイカに多く含まれている成分です。オリーブ・さやいんげん・たまねぎと一緒に取ると、オリーブの一価不飽和脂肪酸のオレイン酸がHDL(善玉コレステロール)の働きを高め、さやいんげんの食物繊維とたまねぎの硫化アリルが血流をよくして、血栓予防に有効な食べ合わせになります。

マグロの甘辛ライス

マグロの甘辛ライス
消化のよいマグロは体力の落ちた時に食べて欲しい魚です。良質な脂質は不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(イコサペンタエン酸)で、加熱しても成分変化はありませんが、脂肪量が減少しない生食がベストな食べ方です。抗酸化力の高いにんにく、しょうが、ごま、味噌をプラスすると血栓予防効果が高まり、脳梗塞の予防効果が高まります。コチュジャンを加えることで食欲が高まり、力の出る一品です。

ブリの梅肉はさみ焼き

ブリの梅肉はさみ焼き
ブリは良質なたんぱく質と脂質を持ち、ビタミンDやEを豊富に含んでいる魚です。脂質は良質な不飽和脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)で、血中コレステロールを下げて脳梗塞予防に働きます。ビタミンEが豊富なごまをプラスすることで不飽和脂肪酸の酸化が抑えられ、細胞の若さが維持されます。梅干しやレモンのクエン酸が強力な抗酸化力を発揮し、血液サラサラに働きます。

サバのピカタ

サバのピカタ
サバに含まれる不飽和脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)・ピーマンやにんじんのβ―カロテン・しいたけの食物繊維を一緒に取ると、血管をしなやかに保ち、コレステロールの低下に働く食べ合わせになります。消化吸収のよいサバは体力を強化する働きに優れ、うずらの卵をプラスすることで栄養バランスが高まり、体力がない時の滋養食としておススメです。

サンマのカレー煮

サンマのカレー煮
サンマに含まれるEPA(イコサペンタエン酸)は、コレステロールや中性脂肪を減らし、血液の凝固を防いで血栓を予防する働きに優れているため、脳梗塞予防に有効な魚です。トマト、カレー粉、にんにく、しょうがなどの抗酸化力作用がプラスされ、脳梗塞予防効果がさらに高まります。食欲増進効果も高く、夏バテ気味の時におススメです。

サンマの白ワインマリネ

サンマの白ワインマリネ
EPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を豊富に含むサンマ・オレイン酸が豊富なオリーブ・にんじんのβ―カロテン・たまねぎの硫化アリルは、血中コレステロールを下げて血栓を予防し、血管を強化して脳梗塞予防に働く最強の食べ合わせです。酢のクエン酸が強力な抗酸化力を発揮し、血液サラサラに働きます。

アジと黒豆のライスサラダ

アジと黒豆のライスサラダ
アジの持つ独特のクセのないうまみは、グリシンやグルタミン酸などの遊離アミノ酸によるものです。良質な脂質が血栓を予防し、カリウムや食物繊維が豊富なセロリと一緒に取ると、コレステロール値が低下し糖尿病予防にも有効な食べ合わせになります。黒豆、レモン、パセリの抗酸化力が脳梗塞予防効果をさらに高めます。

アジとオリーブのトマト煮

アジとオリーブのトマト煮
アジは不飽和脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)を豊富に含んでいる青魚です。EPAは血中コレステロールを下げて血栓予防に働き、トマトやにんにくの抗酸化力と一緒に脳梗塞予防に働きます。オリーブとオリーブ油をプラスして血中の悪玉コレステロール(LDL)を低下させ、動脈硬化予防効果を高めます。