桃の節句(雛祭り)
「雛祭り」とか「女の節句」とも呼ばれ、雛人形を飾り、ひし形にした餅を飾ります。古代中国の上巳節(じょうしせつ:3月最初の巳の日に厄払いをする行事)が起源とされ、3月3日に制定(691年の文献にある)されたことと、平安時代のお姫様の遊びの「ひいな遊び」が合わさり、誕生した行事といわれています。雛人形が飾られるようになる前は、自然の霊気に触れるために山や海に出かけ、山遊びでは桃の花の下で白酒を飲み、磯遊びでは貝拾いをするなどして、一日中遊ぶという集落の行事でした。やがて雛人形の誕生を機に、雛壇に桃の花や白酒を飾り、その前で行事が行われるようになりました。飾られる菱餅は通常は下から緑・白・赤の順に重ねて作られますが、白・緑・赤の順に重ねて作る所もあります。赤は桃の花、白は雪あるいは白酒、緑は雪解け後の芽吹きと解釈されています。色付けにはくちなし(赤)やよもぎ(緑)が使われ、ともに邪気を祓い薬効が高い植物です。餅の形がひし形になったのは江戸時代といわれ、ひし形は「心臓」あるいは「女性の性器」を表しているともいわれています。いずれも邪気を払い娘の成長を願う心情の現われと考えられます。