十日夜(とおかんや)

十日の夜のお祭り。この夜、子どもたちは縄で地面を叩きながら、「とうかんや、十日のぼたもち、なんでもよい」などと大声ではやしたてます。この音で畑のモグラは逃げ出し、大根はあわてて大きくなるといわれています。
この日をもって田の守りを終えた案山子(かかし)は山に帰って山の神様に戻ると考えられ、この時に一升餅を背負った蛙を供にすると伝えられています。旧暦3月16日の「十六団子」は、山から降りてくる田の神様を迎える日。田の神を迎えて田植えが始まる日と、収穫が終わって田の神が山へ帰るこの両日には、16個の団子を供えて神様に感謝をします。田の神様が来る日と帰る日は地方によって異なっており、また一般に田の神様は社に祀られず、像が刻まれることもないといわれています。

十六団子(十日夜)

山へ帰っていく神様にお供えする十六団子は、うるち米を乾燥させてから粉にした上新粉で作ります。うるち米はもち米に比べてアミロースが多い分、ネバリが少なく歯ごたえのある食感になります。胃腸を始めとする消化器系全般を丈夫にする働きに優れ、体に力をつけてくれます。