氷の朔日・鬼の朔日
朔日(ついたち)とは毎月の第1日のこと。平安時代、「氷室(ひむろ)」の氷が宮中の人々に配られるという慣わしから、「氷の朔日」という年中行事が誕生しました。「氷室」とは冬の氷を夏まで保存しておく場所で、地下などのひんやりした涼しい所に作られ、宮中ご用達の氷室が各地に作られていました。ここで貯蔵されていた氷は夏に宮中や幕府に献上され、口にすると夏やせしないと信じられていました。また元旦の節会の時に、氷室の氷の溶け具合でその年の農作物の豊凶を占ったといわれています。当時、水は貴重品。まして氷はとても手に入るものではありません。氷を口にすることができない民間では、この日に氷の代わりに正月の鏡餅を小片に割って食べ、行事を祝いました。正月の鏡餅を小さく割って作る割り餅は固く、割った形状が鬼の牙のように見えることから、この日は別名「鬼の朔日」とも呼ばれています。鏡餅の割り餅・あられ・入り豆などの固いものを食べることで、「歯固め」と称し、歯がますます丈夫になり長生きできるように祈願しました。