カテゴリー: 発酵食品
発酵食品とは微生物の発酵作用を利用して作った食品で、醸造食品とも呼ばれています。発酵食品は微生物の発育環境を、人為的に制御することによって作り出されたものです。人間にとって有用な微生物を単独、あるいは併用して増殖させることで、原料の成分が分解あるいは合成されて、微妙な香気や複雑で高い栄養価を持つ成分が誕生します。その複雑で深い成分は、人間の手では決して作り出すことのできない産物です。
地球上には実に多くの微生物が生息しています。それに比例するように、多くの発酵食品が各地に存在しています。主要微生物である「ビール酵母、ぶどう酒酵母、清酒酵母、パン酵母、麹カビ、青カビ、納豆菌、乳酸菌」などが、「アルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵」などの発酵で、「酒類、パン類、食酢、大豆発酵食品(味噌、しょうゆ、納豆など)、発酵乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)、塩辛類、漬物類」などの発酵食品を生み出します。
微妙な香味と複雑な栄養成分を持つ発酵食品は、一歩間違えれば人間にとって有害な腐敗食品となります。発酵と腐敗は、いずれも食品に微生物が付着し、増殖する結果起こる物質代謝現象です。つまり、微生物の働きを調整して人類に有益な場合を「発酵」、微生物の作用が調整できず多様な微生物が働くことで食品不可となる場合を「腐敗」と呼んでいるにすぎず、発酵と腐敗はあくまでも人間側からの線引きであり、両者は表裏一体の関係なのです。
日本は平地が20%しかない稲作農耕文化圏の山岳列島で、湿気が多くてカビが発生しやすい風土を持つ島国です。雨が多く、湿度が高い環境は、微生物にとってもっとも好ましい環境のため、日本には多くの発酵食品が存在しています。
日本の風土でイキイキと活動する微生物が生み出す発酵食品の代表格は、大豆発酵食品の味噌、しょうゆ、納豆などでしょう。さらに、日本酒、食酢、甘酒、カツオ節、糠漬け、梅干、たくあん漬けと、発酵食品は日本の基本食「和食」に欠かせない食品として、毎日の食生活に溶け込み、現在に至る長い年月、日本人の健康を支えてきました。
日本が誇る発酵食品をひとつずつ紐解き、その薬効・効能を生かしたレシピを紹介していきましょう。