嘉定喰い(かじょうぐい)・嘉祥食(かじょうじき)
旧暦の6月16日は16個の餅あるいは菓子を神様に供え、後におろしてから家族揃って食べ、招福・厄除けを願う「嘉定喰い」の日です。「嘉定」とは「おめでたいしるし」の意味で、一家の無病息災が何よりの宝という意味合いが込められています。平安時代の仁明天皇(にんみょうてんのう 第54代天皇)により始まり、6月16日に執り行われるようになったのは室町時代、広く一般庶民に普及したのは江戸時代といわれています。年号の嘉祥(848~851年)や、室町時代に用いられた宋銭(嘉定通宝)が名前の由来と推測され、嘉定通宝は約して「嘉通」と呼ばれ、武士たちはこれを「勝つ」に通じる吉兆銭としていました。特に江戸幕府では「嘉定喰い」は重要な行事と位置付けられ、江戸城の大広間に饅頭・羊羹などの菓子が約2万個並べられ、将軍から大名・旗本へ菓子が配られたと、『嘉定私記』(1809年)に記録が残っています。民間ではこの日に16文で菓子を買い、笑わないで食べるという風習も行われていました。