片頭痛

片頭痛とは

頭がズキンズキンと痛む片頭痛。疫学調査によると、日本人の8~10%の人が片頭痛に悩まされているといわれています。症状は10~20歳代の始めに現れることが多く、その症状に悩むのは30歳代の女性が多く、詳しい発症メカニズムは今だ、解明されていないという頭痛です。

片頭痛とは

頭の血管が、何らかの原因で過度に拡がり、拡がった血管が近くの感覚神経を刺激することで痛みが起こる症状です。前兆なく突然頭の片側(時には両側)がズキンズキンと脈打つように激しく痛みますが、痛みが止まり次の痛みが起こるまで、全く何の症状もないのが特徴です。

考えられる2つの説

詳しいメカニズムは今だ、解明されていませんが、三叉神経が深く関与しているという説が1980年代から有力視されてきています。また、それ以前の1960年代頃から知られているセロトニン説があります。
◎三叉神経血管説:片頭痛治療薬スマトリブタンの薬理研究に裏付けられた理論で、何らかの原因で三叉神経の末端から血管を拡張する神経伝達物質が放出され、その結果、血管が拡がり、その周囲に炎症が起こって頭痛を引き起こすという説です。
◎セロトニン説:セロトニンは血管を収縮させる働きを持つ物質で、片頭痛発作時に血液中のセロトニン濃度が低下し、一方、発作時にセロトニンを投与すると頭痛が軽快することが示されています。何らかの原因で血中の血小板からセロトニンが放出されると、血中のセロトニン濃度が急激に上昇して血管収縮が引き起こされます。これが片頭痛の前兆で、しばらくして今度はセロトニンが急速に放出されて血中セロトニン濃度が低下すると、血管が拡がり、頭痛を引き起こすという説です。

まずは「冷やすこと」

片頭痛は何らかの原因で血管が拡張することで発症するので、まずは冷やして血管を収縮させ、炎症を鎮めることが大切です。熱いお風呂やシャワーは頭部の血管を拡張させ、痛みを増幅させるので禁物です。逆に頭部の筋肉がかたくなり緊張して起こる「緊張性頭痛」の場合は、温めて緊張をほぐすと痛みが緩和されるので、熱いお湯でリラックスするのが有効となります。

考えられる誘因

体質の遺伝が考えられますが、その体質を持った上で、ストレス、女性ホルモンなどの薬、食べ物、生活習慣など誘因となり引き起こされると考えられます。その中でもストレスが一番大きな誘因とされています。

ストレスから開放された時に起こる

片頭痛はストレスにかかっている最中ではなく、ストレスから開放された時に起こります。ストレスのかかっている時は緊張しており、血管が収縮しているため頭痛は起きません。しかし、ストレスから開放されてリラックスすると一気に血管が拡がるため頭痛がおきます。片頭痛はストレスから開放された時に起こるのが特徴なので、日頃からストレスを溜めないようにすることが大切です。

ピルやホルモン剤の内服も要因となる

ピルを服用すると頭痛が起こりやすくなるといわれています。血中から女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、セロトニンに何らかの影響が与えられ、片頭痛を引き起こしやすくなると指摘されています。一方、妊娠中は起こりにくいといわれています。

低気圧に注意

低気圧が近づくと脳内の血管が収縮するので、頭痛が起こりやすくなります。また、寒さによっても頭痛は誘発されます。冷房している室内で冷気が直接頭にあたったことによって頭痛を発症した経験をお持ちの方も多いと思います。頭に直接冷気が当たらないように気をつけましょう。

血糖値の低下に注意

血糖値の低下は片頭痛の原因になるといわれています。まずは朝ごはんをしっかり食べましょう。血糖値が低下してきたら、飴など糖分を取り血糖値の低下を予防しましょう。

規則正しい睡眠時間

ひと眠りすると痛みが和らぐので、睡眠を取ることは大切です。ただし寝すぎは逆効果。就寝と起床時間を一定にする規則正しい生活が望ましく、普通成人の睡眠時間は6~8時間といわれています。

誘発因子になりやすい食べ物は避ける

一般に赤ワイン・チョコレート・ハム・ソーセージ・インスタント食品などの取り過ぎが誘発因子になりやすいといわれています。特にアルコールは血管拡張作用があるので控えましょう。アルコールの中でも赤ワインが最も片頭痛を起こしやすいといわれています。

片頭痛の症状を緩和する栄養成分と食べ物

マグネシウム

脳血管の緊張を緩和し、脳血管の炎症を起こす物質の合成や放出を防ぐ働きを持っています。また、ビタミンB群の働きを助ける役割があり、脳や神経の興奮を鎮めて精神安定に働き、うつ症状を緩和する働きも持っています。不足すると、血管の痙攣を招き、痛みに敏感になります。1日400㎜gのマグネシウム補充で、片頭痛の頻度が減少するともいわれています。

マグネシウムを多く含む食品:
干しヒジキ、黒豆、大豆、大豆製品(納豆・豆腐など)、ほうれん草、アーモンド、煎りごま、干しエビ、ナッツ類、油揚げ、魚介類など

ビタミンB2

片頭痛の発生を抑えるセロトニンの放出を促す働きを持っています。体内でできる過酸化脂質の分解、成長促進、細胞再生などの働きを持ち、アミノ酸・脂肪・糖質を分解するのに必要なビタミンです。

ビタミンB2を多く含む食品:
ウナギ、レバー、納豆、卵黄、ヨーグルト、牛乳、あま海苔、ドジョウ、タラコなど

セロトニン

痛みに対する感覚を抑える働きがあり、不足すると痛みに関して敏感になります。アミノ酸のひとつであるトリプトファンを代謝する過程で合成されます。

トリプトファンを多く含む食品:
肉類、魚類、牛乳、乳製品、凍り豆腐、納豆、卵黄、ごまなど

ラジカル・スカペンジャー

ラジカル・スカペンジャーのスカペンジャーとは「消去」という意味で、活性酸素の毒性を解毒するものを指します。ビタミンC・A・Eの抗酸化力が、活性酸素除去に働きます。

ラジカル・スカペンジャーを多く含む食品:
◎ビタミンCを多く含む食品:ほうれん草、ブロッコリー、パセリ、菜の花、キャベツ、ピーマン、いちご、緑茶、グレープフルーツ、オレンジなど
◎ビタミンAを多く含む食品:牛乳、乳製品(チーズ・バターなど)、卵、緑黄色野菜(にんじん・ほうれん草など)など
◎ビタミンEを多く含む食品:穀物、大豆、落花生、ウナギ、緑黄色野菜など

片頭痛予防レシピ

片頭痛とは「何らかの原因で脳の内部や周辺の血管が収縮し、その反動で一気に血管が拡張した時、近くの感覚神経が刺激されて痛みを感じる」症状です。その痛みはズキンズキンと脈打つように強く、症状が治まると次の症状が起こるまで全く症状がないのが特徴です。
詳しいメカニズムは解明されていませんが、発生や痛みを抑える予防や対処法は多々伝えられています。痛みが強い時は薬物療法が取られますが、食べ物や生活習慣等で発生や痛みを抑えることができることが分かってきています。誘発する因子になりにくい食べ物を積極的に取ることで、片頭痛の予防に努めましょう。

根菜のヨーグルト漬け

根菜のヨーグルト漬け
ヨーグルトは片頭痛の発生を抑えるセロトニンの放出を促すビタミンB2を豊富に含む乳製品です。抗酸化力のあるビタミンAも豊富に含まれ、消化吸収に優れています。食物繊維が豊富な根菜類と一緒に取ると、整腸作用が高まり、コレステロール値低下や老化防止も期待できます。

ウナギと春菊の白和え

ウナギと春菊の白和え
ウナギはビタミンB2、ビタミンE、良質な脂質とたんぱく質を含んでいる魚です。ビタミンB2がセロトニン放出を促して片頭痛発生を抑え、ビタミンEや脂質が活性酸素の毒性解毒に働きます。豆腐でマグネシウムを、春菊でカロテンをプラスして、片頭痛の痛みを緩和します。

ヒジキとほうれん草のスパゲッティ

ヒジキとほうれん草のスパゲッティ
ヒジキとほうれん草に豊富に含まれるマグネシウムは、片頭痛の炎症を起こす物質の合成や放出に優れた働きを発揮します。ヒジキ・ほうれん草・チーズを一緒に取ると、チーズに含まれるトリプトファンが痛みに対する感覚を抑えてくれるため、片頭痛緩和が期待できる食べ合わせになります。鉄分も豊富に含まれ貧血予防にも優れています。

ヒジキとナッツのさといもコロッケ

ヒジキとナッツのさといもコロッケ
ヒジキに豊富に含まれるマグネシウムは、脳血管の緊張を緩和し、炎症を起こす物質の合成や放出を予防する働きを持っています。同様にマグネシウムを豊富に含むナッツをプラスすることで、その働きがより一層高められます。さといも特有のヌメリには機能性成分がたっぷり含まれます。ヌメリは落とさず調理しましょう。

イワシのヨーグルト漬け

イワシのヨーグルト漬け
イワシは不飽和脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を豊富に含んでおり、良質なたんぱく質がセロトニン合成に働きます。ビタミンB2を豊富に含むヨーグルトと一緒に取ると、血行不良が改善され、セロトニンの放出を促して片頭痛発生を抑える食べ合わせになります。抗酸化力の高いパプリカや粉山椒をプラスして、活性酸素の毒性を解毒します。腸内の環境が整い、体全体の機能が高まる一品です。

豆腐ソテーのミルク餡がけ

豆腐ソテーのミルク餡がけ
豆腐の原料である大豆は、ビタミンB群やマグネシウムを豊富に含んでおり、セロトニンやビタミンB2を含む牛乳と一緒に取ると、片頭痛の痛み緩和が期待できる食べ合わせになります。しいたけ・にんじん・いんげんの抗酸化成分が血行不良予防に働き、胃腸を整え血糖値安定も期待できます。

クリームチーズと煮豆詰めフランスパン

クリームチーズと煮豆詰めフランスパン
黒豆・小豆・うぐいす豆などの豆類はマグネシウムやビタミンB群を豊富に含んでいます。トリプトファンや良質なたんぱく質を含むクリームチーズと一緒に取ると、痛みに関する感覚が抑えられ、片頭痛の緩和が期待できます。フランスパンの糖質がプラスされたエネルギーに優れた一品です。

凍り豆腐としいたけのミルク煮

凍り豆腐としいたけのミルク煮
凍り豆腐はセロトニンを合成するトリプトファンを豊富に含んでおり、痛みに対する感覚抑制に有効な食べ物です。抗酸化力の高いしいたけと一緒に取ると、毛細血管の流れがよくなり、血行不良が原因となる頭痛の緩和に有効な食べ合わせになります。牛乳と卵をプラスすることで栄養価を高め、骨粗鬆症や老化防止も期待できます。

納豆とナッツの信田焼き

納豆とナッツの信田焼き
ナッツはマグネシウムやトリプトファンを豊富に含んでいる食べ物です。納豆にはセロトニンの放出を促すビタミンB2やマグネシウムが豊富に含まれているため、ナッツと納豆は、脳血管の緊張を緩和し、片頭痛の痛みを抑えてくれる食べ合わせになります。ナッツと納豆のビタミンEが過酸化脂質の分解に働き、肩こりや首のこりの予防も期待できます。

シメサバ・ほうれん草・チーズの雑穀海苔巻き

シメサバ・ほうれん草・チーズの雑穀海苔巻き
サバの不飽和脂肪酸、ほうれん草のマグネシウム、チーズのセロトニンを合成するトリプトファンは、活性酸素の毒性を解毒して片頭痛の緩和が期待できる食べ合わせです。雑穀でマグネシウムを、海苔でビタミンB2を、にんじんでカロテンを補い、片頭痛発生を抑えます。エネルギーに溢れた体力強化の一品です。