おはっすん

おはっすん

野菜や魚介などの山海の食材で作る煮物「おはっすん」は、広島県の郷土料理です。安芸門徒(あきもんと:広島県西部地域の浄土真宗門徒)の多い地域の郷土料理として有名で、慶弔を問わず人の集まる時には必ず作られる料理です。具材の数は祝儀の時は奇数、不祝儀の時は偶数にするといわれています。客は他の料理は持ち帰り、おはっすんを何倍でもお代わりして酒やごはんをいただきます。出来上がった料理を直径が八寸(24cm以上)もある器に盛ることから、この名で呼ばれ、余った時は、何度も煮返して食べます。

こんちん

こんちん

ささがきしたごぼうをおやきのように焼いて作るこんちんは、高知県大豊町に伝わる郷土料理です。砂糖が入っているためほんのり甘く、子どもの代表的なおやつとして、また軽食としても日常的によく作られていました。えごまを入れて作られますが、昔は麻の実を入れていたといわれています。

いもぼた(いもぼたもち)

いもぼた(いもぼたもち)

いもぼたは鳥取県弓浜半島の郷土料理です。水田に恵まれない弓浜半島では、1780年にさつまいもが境港に伝来して以来、米の代用食として日常的に食べられ、様々なさつまいも料理が誕生しました。いもぼたはそのひとつで、喉ごしをよくするためにさといもを加えて作られることもあります。弓浜半島では現在でも地域の特産品としてさつまいもが栽培され、「浜かんしょ」と呼ばれています。

がね

がね

出来上がりの形がカニに似ていることから「がね」と呼ばれるようになった都城地方の代表的な郷土料理です。精進料理として不祝儀の席に必ず登場し、お惣菜としても売られているポピュラーな料理です。さつまいもやごぼう、にんじんの他、その時どきの旬の野菜が使われ、お袋の味として日常の食卓に登場する揚げ物です。

五平餅

五平餅

五平餅は長野県南部の木曾や下伊那地方に伝わる名物の郷土料理で、今では妻篭宿などで一年中売られていますが、新米やくるみの採れる頃がもっとも美味しいといわれています。五平というきこりが弁当に持参した味噌をつけた平らな握り飯を、焼いて食べていたことから五平餅と呼ばれるようになったと伝えられています。太くて長い竹の串に刺すものと、薄い板や割り箸に貼り付ける五平餅があり、たれも味噌、しょう油、両方を混ぜるなどの秘伝があります。

鬼まんじゅう

鬼まんじゅう

小麦粉にサイコロ状に切ったさつまいもを混ぜて作る田舎風のおやつです。「いもまんじゅう」ともいいますが、デコボコした表面が鬼面や鬼の金棒を連想させることから「鬼まんじゅう」と呼ばれています。名古屋市千種区の覚王寺日泰寺の山門の前にこれを名物にする菓子屋が並び、毎月20日頃の弘法様のお参りに多くの参拝客がお土産として買い求めます。

七色汁

七色汁

西三河の禅家の家ではお盆の16日の朝、野菜たっぷりの「七色汁」を作り、精霊を送る慣わしがあります。7種類の材料を使うことからこの名で呼ばれる健康食で、この時期に取れる旬の野菜をたっぷり使い、ご先祖への感謝の気持ちを表します。油揚げの他にれんこん、ごぼう、しいたけ、じゃがいもなどもよく使われます。

ケンサ焼き

ケンサ焼き

焼いたおむすびに甘味噌を塗って焼いたケンサ焼きは新潟県の郷土料理です。そのまま食べたり、熱い番茶を注いでお茶漬けにします。中越や下越での小正月によく食べられ、夜食や酒宴の後に出される料理です。ケンサキ焼き(剣先焼き)、ケンサン焼き(献残焼き)、味噌のつけ焼きなどとも呼ばれています。名の由来として①上杉謙信が出兵の際、雑兵が冷たくなった握り飯を剣の先に刺して焼いた「剣先焼き」がなまった ②献上品の残り物を使った など諸説あります。

煮ごめ汁

煮ごめ汁

煮込みがなまって「煮ごめ」と呼ばれる実だくさんの汁物です。材料はどれも小豆よりも少し大きめのサイコロ状に切り、小豆と野菜で作る精進の汁物です。広島県の真言信徒は親鸞聖人の命日の前夜から三日間、煮ごめ汁を食べて寺参りをするといわれています。同様の料理は群馬県にもあり、正月には切り餅を加えることもあります。

おねり(御煉り)

おねり(御煉り)

じゃがいもやかぼちゃを煮込んだ中にとうもろこしの粉を加え、しるこ状にしたおねりは山梨県の郷土料理です。「朝はおねり、昼は麦飯、夜はほうとう」などとも言われるように、米の少なかった時代の朝の主食として食べられていました。好みでやわらかい方がよければポタージュ状に、かたい方がよければきんとんのように練り上げます。また、かたく練ってフライパンで焼く食べ方もあります。