納豆とヒジキの煮物

納豆とヒジキの煮物

ヒジキはミネラルやビタミンを豊富に含んでいる海藻です。特にカルシウムと鉄分を多く含んでいます。納豆に含まれるビタミンK2は骨にカルシウムを貼り付ける「糊」の役目を持っているため、納豆とヒジキを一緒に取ると骨が強化され、高い骨粗鬆症予防効果が期待できる食べ合わせになります。こんにゃくとコーンの食物繊維が腸内の環境を整えて便秘予防に有効に働きます。

釈迦こごり(釈迦っこごり、釈迦つむり)

釈迦こごり(釈迦っこごり、釈迦つむり)

釈迦こごりはお釈迦さまの誕生を祝う花祭りに作られる山梨県の郷土料理です。米の生産量が少ない山梨県では、「お練り」「ほうとう」など小麦粉を使った料理が多く、この釈迦こごりも小麦粉を使って作るのが一般的です。こごりは「塊」の方言で、「丸める」という意味で、お釈迦さまのゴツゴツした頭を模して小さな団子に丸めます。煎り大豆の香ばしさと食感が後を引く美味しさです。

きらず餅

きらず餅

高知県佐川町尾川で昔から作られていたおから入りの餅です。きらずとはおからのことで、もち米に同量のおからを混ぜ込んで搗き、中に餡を入れて丸め、周りにきな粉をまぶして作ります。佐川地域は江戸時代、土佐藩山内家の筆頭家老深尾和泉重良が豆料理の文化を持ち込んだと伝えられ、納豆や豆腐などの豆料理が日常の食生活に溶け込んでいる地域です。どの家庭でも正月前には必ず豆腐を作り、その時にできるおからで餅を作って豆腐同様、正月に食べていたと伝えられています。きらず餅は3日ほどはやわらかいままで食べ、それ以降は焼いて食べるといわれています。

僧兵鍋(そうへいなべ)

僧兵鍋(そうへいなべ)

肉やにんにく、季節の野菜で作る味噌仕立ての僧兵鍋は、伝教大師が建立したといわれる天台宗山岳寺の僧兵たちが力をつけるために食べたスタミナ食です。山岳寺は戦国時代に武家の侵略に対して戦った寺として有名で、一時は数百人の僧兵がいたといわれています。かつてはイノシシ・シカ・山鳥などの肉で鍋が作られていましたが、今では豚肉や鶏肉が使われています。味噌仕立ての鍋は、寒い時期には体の中から温まる栄養満点の鍋料理です。

焼きサバそうめん

焼きサバそうめん

焼きサバそうめんは滋賀県湖北地方の長浜周辺で古くから食されていた郷土料理です。湖北地方は内陸部ですが、サバの水揚げが多い若狭湾の近くに位置することから、焼きサバは一般的な食材として広く利用されていました。湖北地方には一年で最も忙しい農繁期に焼きサバを送るという「五月見舞い」という風習がありました。この風習は農家へ嫁いだ娘を気遣う親心から誕生したと言われています。親から送られた焼きサバを、娘はそうめんと炊き合わせることで、忙しい農繁期の手軽な料理を生み出したと伝えられています。

いもがらとにんにくの白和え

いもがらとにんにくの白和え

秋田県雄勝町(現湯沢市)で、冬に町内で行われる内神様のお祭りや、観音祭りに作られる伝統的な郷土料理です。内神様のお祭りでは「梅なます」と一緒に、生ものが使われない観音祭りでは「神様へのおもてなし料理」として供される料理です。いもがらはさといもの葉柄を干したもので、「干しずいき」とも呼ばれています。特に冬の長い地方で多く生産され、雪深い季節の貴重な保存食品として利用されている食べ物です。

鶏飯(けいはん)

鶏飯(けいはん)

鶏飯は鹿児島県奄美大島の郷土料理です。琉球王国が薩摩藩の支配下になった当時、時の代官のもてなし料理として供された琉球の宮廷料理「菜飯(セーファン)」が原型といわれています。鹿児島県の鶏飯はごはんの上に具をのせ熱々のだし汁をかけますが、沖縄県では「ケーファン」と呼ばれ、鶏肉を入れた炊き込みご飯にだし汁をかけて食します。薬味としてパパイヤの漬物や島みかんの皮など、南国ならではの食材が使われるのが特徴です。鶏飯は「きびなご料理」「さつま揚げ」とともに鹿児島県を代表する郷土料理であり、学校給食にもよく登場する人気メニューです。

大平(おおひら)

大平(おおひら)

「大平」は山口県東部の郷土料理です。器として直径50cmほどもある大きな平たい椀が使われることから、「大きな平たい椀→大平」と呼ばれるようになったといわれています。野菜や鶏肉、山菜などをたくさん入れて作る汁気の多い煮物です。岩国地方では、「大平」「岩国寿司」「れんこんの酢の物」の三つは祝い膳に欠かせない郷土料理といわれています。かつてはどこの家でも大平椀があり、20~30人分の大平を作るのは力仕事であったため、具材を煮るのは男性の役目であったと伝えられています。

孫茶漬け

孫茶漬け

千葉県勝浦漁業協同組合は初カツオの水揚げ量が全国トップクラスの漁協です。ここの漁師達が新鮮なカツオをヅケにしてごはんにのせ、熱湯をかけて食べていた船上の即席料理が「孫茶漬け」です。漁の合間に手早く食べられる簡単料理ですが、あまりの美味しさに、陸で待っている孫に食べさせたいと思った心情が、その名の由来と伝えられています。カツオの他、アジやタイなど新鮮な魚なら何でもOK。千葉県の他、漁業の盛んな地域なら同様の郷土料理が存在しています。はじめは熱湯をかけて食べていましたが、今ではだし汁やお茶が使われています。

イワシの糠味噌炊き(イワシの糂汰煮)

イワシの糠味噌炊き(イワシの糂汰煮)

糂汰煮(じんだに)とも呼ばれる糠味噌炊きは、北九州小倉に伝わる郷土料理です。糂汰とは「糠床」のことで、糠味噌が大好物であった小倉藩主小笠原忠真公に、城下の民が献上した料理といわれています。玄界灘で豊富に水揚げされる旬のイワシやサバなどを、よく手入れした糠味噌を調味料にして作る煮物で、栄養価も高く、日常食として食べ続けられてきました。糠味噌炊きは発酵を生かした保存食であり、温めなおすほどに味が深まり、夏場でも冷蔵庫で1週間は持つといわれています。