脳出血

脳出血とは

脳出血とは

脳出血は脳の血管が破れ、出血することで脳内に血の塊ができ、それによって脳障害が起こる脳血管疾患です。出血を起こしやすい部分は大脳85%、小脳10%、脳橋5%といわれ、脳の表面にある軟膜とクモ膜の間に出血した場合はクモ膜下出血と呼びます。
脳血管疾患:血管が破れて出血する「脳出血」と、血管が詰まる「脳梗塞」をあわせたものをいいます。ともに突然症状が出るのが特徴で、症状が慢性的に続く時は違う病気が考えられます。

原因の多くは高血圧

血圧は心臓が送り出す血液によって血管の壁にかかる圧力のことで、高血圧とは血管の壁にかかる圧力が強い状態をいいます。高血圧が慢性的に続くと、脳の細い血管にコブのように小さなふくらみ(脳動脈瘤=のうどうみゃくりゅう)がいくつもできます。その小さなふくらみに高血圧の強い圧力がかかると、ある日突然にその一部が破裂して血管が破れ出血を起こします。高血圧は常に血管壁に強い圧力がかかっている状態なので、血管が破れやすいのです。

脳動脈瘤に注意

高血圧が長く続くと動脈硬化が進み、血管が脆くなっていきます。動脈は体の隅々にまで血液を送り続ける働きをしており、その動脈が硬化する動脈硬化になると、血液の流れが悪くなり、血管は脆くなって破れやすくなります。

発症しやすい季節・時間帯

◎季節:冬季に多く発症し、夏期は減少します。
◎時間帯:朝7時と夕方5時に多く発症するといわれています。

クモ膜下出血は女性に多い

脳出血の発症は男性の方が多いのですが、クモ膜下出血の発症率は女性の方が高いという数値が出ており、発症率は男性の2.3倍と報告されています。

脳出血になりやすい人

最たる要因の高血圧や、動脈硬化の他に以下も危険因子になるので気をつけましょう。
◎悪玉コレステロールや中性脂肪が高い高脂血症の人:血液中に溜まっている脂質が酸化するため、動脈硬化が進行しやすくなります。
◎糖尿病の人:高血圧や高コレステロール血症を合併していることが多く、動脈硬化が進行しやすくなります。
◎肥満気味の人:肥満は動脈硬化を促進させます。
◎タバコを吸う人:ニコチンが血管の内膜を傷つけるため、コレステロールが血管に入りやすくなり、血液中の善玉コレステロールが破壊されます。血圧が上昇し、動脈硬化が進行します。
◎ストレスの多い人:免疫力が低下し、血液中のリンパ球が減少します。その結果、血管内に老廃物が溜まって血流が悪くなり、高血圧や動脈硬化の要因になります。
◎過度の飲酒をする人:アルコールを飲むと血圧が上がります。禁酒すると血圧が下がることが証明されており、適量を守ることが大切です。
※適量のアルコールとは、①日本酒1合 ②ビール中瓶1本 ③ワイン200㎜l ④焼酎70㎜lといわれています。

予防する食養生

◎「血圧を下げる」「血管を強くする」「動脈硬化を予防する」食生活をする。
◎肥満に気をつける。(食べ過ぎ=カロリー過多に気をつける)
◎コレステロールを控える。(動物性脂質の取り過ぎに注意。動物性たんぱく質は魚で取る)
◎アルコールの飲みすぎを控える。

脳出血を予防・緩和する栄養成分と食べ物

脳の血管が破れて起こる脳出血は、高血圧が原因となることが多い脳血管疾患です。また、老化に伴い血管が老化していく動脈硬化も危険因子となるため、高血圧と動脈硬化を予防する成分を積極的に取ることが大切です。

カリウム

取り過ぎたナトリウムを排泄し、血圧を下げる働きを持つミネラルです。体内の水分やアルカリ度を正常に保ち、老廃物排出に働きます。
溶けやすくて吸収のよいミネラルですが、調理法によって損失量が異なります。一般に煮ると約30%損失するといわれているので、煮汁を利用できるような調理法にするなど、無駄なく取り入れる工夫をすることが大切です。2005年、一日の摂取量が2000mgから3500mgに増量された成分です。

カリウムを多く含む食品:
柑橘類、緑黄色野菜(かぼちゃ、パセリ、明日葉、モロヘイヤなど)、トマト、バナナ、アボカド、大豆類(納豆・きな粉など)、さといも、じゃがいも、さつまいも、にんにく、にらなど

たんぱく質

たんぱく質は血管を作る材料となる重要な栄養成分です。脳の血管壁を強くして出血を起こりにくくする、血圧上昇を抑え低下させる、などの働きを持っています。特に魚類に含まれる良質なたんぱく質は動脈硬化の予防に有効に働きます。

たんぱく質を多く含む食品:
魚類(アジ、イワシ、サンマ、サバ、鮭、マグロ(脂身)、ウナギなど)、肉、卵、牛乳など

カルシウム

体内に最も多く存在するミネラルで、血管の細胞をしなやかにする働きを持っています。不足すると、骨だけではなく血管の細胞からもカルシウムが放出され、その結果血管のしなやかさが維持できなくなり、血圧上昇を起こします。

カルシウムを多く含む食品:
牛乳、乳製品(チーズ、ヨーグルト、生クリームなど)、大豆食品(納豆・豆腐・凍み豆腐・きな粉など)、海藻類(ヒジキ・昆布・ワカメなど)、緑黄色野菜(にんじん・パセリ・春菊・にら・モロヘイヤ・ほうれん草など)、トマト、切り干し大根など

ルチン

フラボノイド化合物の一種で、ビタミン様物質の働きがあることからかつてはビタミンPとも呼ばれていましたが、ビタミンではありません。毛細血管を強くし、浸透圧を正常に保って高血圧予防に働きます。ビタミンCを安定させてサポートするので、ビタミンCと一緒に取ると効果的です。昨今の研究で、変形性関節症や花粉症の炎症抑制効果など、様々な効能の報告がされている成分です。

ルチンを多く含む食品:
アスパラガス、そば、なす、ほうれん草、ピーマン、パセリ、ブロッコリーなど

脳出血を予防するレシピ

脳出血の大きな要因は高血圧です。高血圧は塩分過多により引き起こされるので、塩分を取り過ぎない食生活を心がけることが大切です。同時に
①血管を強くして破れないようにする
②動脈硬化を予防するために、たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維をバランスよく取る
食生活を心がけましょう。コレステロール摂取量が少な過ぎると脳出血が起きやすくなるので、良質なたんぱく質や脂質はきちんと取ることが大切です。特に魚に含まれる良質のたんぱく質には脳の血管壁を強くする働きがあるので、積極的に食べるようにしましょう。

鶏ムネ肉の紅茶煮

鶏ムネ肉の紅茶煮
鶏肉のたんぱく質は良質でやわらかく、牛肉や豚肉に比べて消化のよいのが利点です。ビタミンAが豊富でお腹を温める作用を持っているため、病後の体力回復に有効な食べ物です。キウイフルーツとトマトと一緒に取ると、カリウムや食物繊維の働きで高血圧の予防に有効な食べ合わせになります。紅茶は茶葉を製茶の段階で発酵させて作られるお茶で、高い抗酸化力を持っています。

揚げ鮭のマリネソース

揚げ鮭のマリネソース
鮭はビタミンB群をバランスよく含み、カルシウム吸収を高めるビタミンDを豊富に含んでいる魚です。良質なたんぱく質が血圧低下に働き、硫化アリルを含むたまねぎやビタミンPを含むピーマンと一緒に取ると、高血圧や動脈硬化を予防する食べ合わせになります。水溶性の食物繊維を含むワカメを一緒に取ると、血圧上昇の抑制効果がさらに高まります。

サバのワインレモン煮

サバのワインレモン煮
サバは消化吸収に優れ、良質なたんぱく質と脂質、ビタミンB群やDを豊富に含んでいる栄養魚です。たまねぎやレモンと一緒に取ると、たまねぎの硫化アリルとレモンのクエン酸の血圧を降下する働きがプラスされるため、高血圧予防に優れた食べ合わせになります。白ワインの抗酸化力がサバのたんぱく質と一緒に、動脈硬化の予防に有効に働きます。

サンマと昆布の黒豆煮

サンマと昆布の黒豆煮
サンマのたんぱく質はアミノ酸価が100%と良質で、豊富に含まれる多価不飽和脂肪酸のEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は動脈硬化や高血圧などの予防に有効に働きます。昆布・こんにゃく・黒豆と一緒に取ると、カリウム・カルシウム・食物繊維がたっぷり取れるため、脳出血予防に優れた食べ合わせになります。しょう油の量を減らして酢を多くすると、塩分摂取量を減らすことができ、さらに消化吸収も高まります。

イカとチーズのそば海苔巻き

イカとチーズのそば海苔巻き
イカは高たんぱくで低脂質な低カロリー食品です。豊富に含まれるアミノ酸の一種であるタウリンが血圧を正常に保ち、動脈硬化や糖尿病の予防に有効に働きます。そばのルチンと海苔のカルシウムやカリウムが血管強化に、チーズのたんぱく質やカルシウムが血圧安定に働きます。