みょうが

みょうがとは

みょうが

渡来は古く、野菜としての栽培は日本だけ

みょうがは熱帯アジア原産で、ショウガ科の多年草です。3世紀に著された中国の史書『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』に「薑(ショウガ)、橘(タチバナ)、椒(サンショウ)、襄荷(ミョウガ)あるも似て滋味となすを知らず」(ショウガ、タチバナ、サンショウ、ミョウガはあっても(古代日本人は)滋味とすることを知らない)との記載があることから、3世紀にはすでに大陸より渡来していたと推測されています。ただし、この記載内容は中国史官の誤認と考えられています。古代日本人はこれら植物の高い利用価値を知っているゆえ、これらの作物を家の周りで栽培していたと解釈されています。
みょうがは北海道から沖縄にわたる広い地域の山野に自生し、栽培も行われていますが、野菜として栽培しているのは日本だけで、食用しているのは日本と韓国・台湾一部だけと言われています。

みょうがの名の由来

3世紀にはすでに大陸から渡来していたと推測されるみょうがですが、一緒にしょうがも持ち込まれたと言われています。みょうがとしょうがは、ともに独特の香りを持つ香味野菜ですが、しょうがの方が香りの強いことから、しょうがを「兄香(せのか)」、香りの弱いみょうがを「妹香(めのか)」と呼んでいたと文献に残っています。時を経て、「めのか」と呼ばれたこの呼び名が「みょうが」に転じていったと伝えられています。

「夏みょうが」と「秋みょうが」

みょうがは夏に根茎から卵形の短い花穂(花蕾)が出ます。この花穂が「花みょうが」「みょうがの子」と呼ばれ食用されます。花穂が発生する時期によって、「夏みょうが」「秋みょうが」と分類され、夏みょうがは6~7月、秋みょうがは8~10月に多く出回ります。ともに実が丸みをおび、身が締まって色つやのよいものが良品で、秋みょうがの方が形がふっくらしています。蕾があったり花が咲いていると、中がブカブカとなり味が落ちていきます。

「みょうがたけ」

光を遮って軟化栽培した若芽の茎は「みょうがたけ」と呼ばれ、花みょうが同様に食用されています。形がたけのこに似ていることからこの名が付けられ、花みょうがができない冬から春にかけて多く出回ります。収穫前に光を当てて紅つけをし、酢漬けや浸し物などに利用されています。

みょうがに含まれる主な成分

成分の90%以上が水分

みょうがは古来より滋味に溢れた香味野菜として食されてきました。花も茎も食用になりますが、薬効に優れているのは花みょうがと呼ばれる卵形の花穂の部分です。成分の90%以上が水分ですが、α‐ピネン、カリウム、食物繊維、アントシアニンなどを含んでいます。

香りのもとはα‐ピネン(アルファピネン)

みょうがの特有の香りのもとは、α‐ピネンなどの精油成分です。α‐ピネンは大脳皮質を軽く刺激して覚醒を促す作用を持っているため、眠気が襲ってきた時や気分を高揚させる効果に優れています。また、発汗や呼吸の調整、血液の循環を改善する作用にも優れています。
α‐ピネンは揮発しやすい性質を持っているため、高温での調理を避けるとその効能を無駄なく取り入れることができます。また長時間水にさらすと香りが抜け、薬効も半減してしまうので、水のさらし過ぎにも注意が必要です。

冷え性予防に働くα‐ピネン

α‐ピネンの血液循環を改善する働きは、血行をよくして体を温め、冷え性予防に働きます。体を冷やすものを食べる時にみょうがを一緒に取ると、体の冷やし過ぎを防止し、胃腸の働きを整えて食欲増進に有効です。

辛み成分の持つ効能

みょうがの辛み成分には強い抗菌作用、解毒作用、消炎作用があります。それにより、口内炎や舌炎、風邪による喉の痛み、扁桃腺炎、熱による体の不調などが緩和され、風邪予防にも有効です。

血圧低下やむくみ解消に働くカリウム

みょうがにはカリウムが含まれています。カリウムは体内のナトリウムを正常に保つ働きに欠かせない水溶性の成分で、主に小腸で吸収されて腎臓から排泄されます。カリウムはあらゆる食品に含まれており、通常の食生活をしていれば欠乏することはありませんが、欠乏すると脱力感、食欲不振、吐き気などを起こすことがあり、まれに不整脈や心停止などをもたらすこともあります。体内の余分なナトリウム排泄に働いて血圧を下げ、高血圧予防に働き、むくみ解消にも有効なミネラルです。

目の機能向上や血圧上昇の抑制に働くアントシアニン

みょうがの赤紫の色はポリフェノールの一種のアントシアニンです。アントシアニンはブルーベリーやなす、さつまいもの皮などに含まれている色素成分で、高い抗酸化力を持ち、目の機能向上や血圧上昇を抑制する働きを持っています。活性酸素の抑制や動脈硬化などの生活習慣病の予防などにも効果があると言われています。

女性の体調不良に有効に働く

古く中医学(中国伝統医学)では、みょうがは「血を活かし、経をととのえる」効能があると考えられています。その薬理作用から、みょうがは特に月経不順や更年期障害、女性の冷えなどに有効と利用されています。

みょうがレシピ

独特の香りと香味を持つみょうがは、うどんやそばの薬味や酢のもの、汁の実などに利用される和食に欠かせないハーブ(香味野菜)です。薬味として利用されることが多いのですが、肉・魚・大豆製品との相性もよく、良質なたんぱく質、脂質、ビタミン類などと一緒に取ると、栄養バランスやホルモンバランスが整い、免疫力が高まる食べ合わせになります。
α‐ピネンは揮発しやすい性質を持っているため、高温での調理や水のさらし過ぎなどを避けると、その効能を無駄なく取り入れることができます。

みょうがのナッツ入り味噌焼き

みょうがのナッツ入り味噌焼き
味噌とナッツをのせて焼くみょうが料理は、みょうがの優れた精油成分α‐ピネンの効能を無駄なく取り入れられる一品です。味噌とナッツにはリノール酸・オレイン酸・ビタミンEなどの良質な脂質が多く含まれており、血管壁についた悪玉コレステロールを取り除き、動脈硬化や心臓疾患などの予防に有効に働きます。血行がよくなり、胃腸の働きが整えられて食欲増進にも有効です。

みょうが・アジ・じゃがいもの南蛮漬け

みょうが・アジ・じゃがいもの南蛮漬け
アジはたんぱく質・脂質・ビタミンB1やB2、グルタミン酸やイノシンなどの遊離アミノ酸を多く含み、高い栄養価と独特のうまみを持つ青魚です。みょうがと一緒に取ると、アジの血栓予防に働くEPA(イコサペンタエン酸)とみょうがの精油成分α‐ピネンの血液循環の改善効力により、脳卒中や動脈硬化の予防に有効な食べ合わせになります。酢を加えることで血流促進がさらに高まり、高血圧予防や疲労回復効果も倍増します。

みょうがとサンマのぬた

みょうがとサンマのぬた
江戸時代の諺に「サンマが出るとあんまが引っ込む」とあるように、サンマは良質なたんぱく質と脂質、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいる栄養魚です。塩を振って酢に漬けたサンマには良質の脂質が損なわれずに含まれており、抗菌・解毒・消炎作用を持つみょうがの辛み成分と一緒に取ると、血栓予防や胃腸の働きを活発にして免疫力を強化する優れた食べ合わせになります。味噌がプラスされることで脳の老化防止効果が高まり、細胞の酸化予防にも有効になります。

みょうがと鶏ササミ肉の梅肉和え

みょうがと鶏ササミ肉の梅肉和え
鶏肉の良質なたんぱく質は淡泊でやわらかく、消化のよいのが特徴です。特に必須アミノ酸のメチオニンを多く含んでいるため、肝臓に脂肪が溜まる脂肪肝予防に有効です。黒きくらげはミネラルを豊富に含み、高い血液浄化作用を持っています。みょうが・鶏肉・きくらげを一緒に取ると、血流がよくなり、心臓病や脳卒中の予防に優れた食べ合わせになります。みょうがのα‐ピネンときくらげの血液浄化作用は、月経不順や月経痛、女性の冷えなど女性の体調不良に有効に働きます。

みょうがとタラのチーズ入り春巻き

みょうがとタラのチーズ入り春巻き
タラは平均寿命が13~14年とも言われる生命力の強い魚です。良質なたんぱく質やカルシウムを豊富に含み、肝臓には脂溶性ビタミンのAやDが多く含まれ、肝油の原料にも使用されています。発汗・呼吸の調整・血液循環の改善などの効能を持つみょうがと一緒に取ると、動脈硬化や脂質異常などの予防に有効な食べ合わせになります。タラとチーズのカルシウムとビタミンDが丈夫な骨や精神安定に働き、風邪予防の効果も期待できます。