乙子の朔日・川渡りの朔日

乙子は「末子」という意味を持ち、陰暦12月を指します。朔日は「1日」なので、「乙子の朔日」は「12月1日」のことで、この日に餅をついて食べると水難を免れるという俗習がありました。餅をつく習慣はいつ頃から始まったか定かではありませんが、この水神を祭る風習は全国的に行われており、「川浸りの朔日(かわびたりのついたち)」「川渡りの朔日(かわわたりのついたち)」「水こぼしの朔日」などとも呼ばれています。この日には、小豆を食べないうちに橋を渡ると祟りがあるといわれ、朝から小豆餅(あるいは小豆団子)を食べます。そのためこの小豆餅は「乙子の餅(おとこのもち)」「川浸り餅」「川渡り餅」などと呼ばれています。
また、この日の早朝、茄子の漬け物を食べると、例え借金があっても「返済(なす)」が早まるともいわれています。

小豆餅

小豆餅
12月という一年で最後の月の始めの日には、小豆餅や小豆団子を食べる習慣があります。材料の小豆と米は、古来より先人たちが滋養のために食してきた食べ合わせです。小豆と米は双方を一緒に取ることで、双方に不足気味の必須アミノ酸を補うことができ、労働で疲れた体を癒して体力の強化に働きます。小豆は疲れを取り去るビタミンB1、腸内環境を整える食物繊維、抗酸化力の高いポリフェノール、利尿作用に優れたサポニンなどを含んでおり、疲労回復やむくみ取りに優れた効果を発揮します。