ヘルシー野菜のスイーツ

スイーツに使う食材と栄養素

ヘルシーなスイーツを作るには、お菓子作りに欠かせない食材を賢く選ぶことが大切です。たっぷり使う粉や砂糖には、ビタミン類やミネラル類が豊富に含まれているものを選んで不足しがちな栄養素を補い、コレステロールが気になる時はバターをマーガリンに代えるなど、食材の一つひとつを自分の健康に照らし合わせて考え選ぶ習慣をつけましょう。
お菓子作りに欠かせない食材の性質や栄養素を知り、より栄養価の優れたケーキやクッキーを作ってください。甘いスイーツは心を穏やかにしてくれます。

小麦粉・全粒粉

小麦粉は小麦を製粉したもので、外殻や胚乳組織を破砕・ふるい分けして分離し、薄力粉、中力粉、強力粉に分類される。分類しないで全部混合した粉を全粒粉という。
弾力性に富み粘着性があるグルテンは、たんぱく質含有が高い強力粉に多いので、お菓子作りにはグルテンの低い薄力粉が向いている。

栄養成分
糖質を約70%含み、その大部分はでんぷん。外殻は「ふすま」と呼ばれ食物センイやミネラル類が豊富に含まれ、胚芽部分にはビタミンB1やビタミンEが豊富。ふすまは食物センイが多く、腸の働きを活発にし、便秘の予防に効果がある。胚芽部分に多いビタミンB1は糖質を分解して疲労や倦怠感を防ぎ、ビタミンEは不飽和脂肪酸の酸化を防ぐので、動脈硬化の予防に有効に働くので、胚芽部分を含んだ全粒粉の方が栄養価が高い。
■小麦粉中のたんぱく質含量
強力粉:11.5~13.5%
中力粉:8.5~10.5%
薄力粉:7.0~8.5%

砂糖

サトウキビやサトウダイコンに含まれるショ糖を取り出して製品にしたもので、重要な甘味料のひとつ。砂糖の糖質は吸収が早いので疲労時の即エネルギー源となる。甘みは味覚的に受け入れやすく、結果、取り過ぎやすいことが多いが、糖質を代謝するビタミンB1を含有しているので通常に摂取していれば肥満の心配はない。精製された白砂糖と精製されていない黒砂糖があり、精製されていない砂糖にはミネラル類が豊富に含まれている。

栄養成分
精製されていない黒砂糖はカリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄分などのミネラル類を豊富に含んでいる。ビタミン類はB1、B2、ナイアシン、B6などを含有。各種ミネラル類が体調を整え、カリウムが高血圧を予防、カルシウムが骨や歯を強化する。黒砂糖は鉄分が豊富で肝臓の機能を整える働きがあり、貧血予防に効果がある。

ベーキングパウダー

膨張剤の一種でふくらし粉とも呼ばれ、酵母の代用品としてケーキやパンの生地を膨らませるのに用いられる。市販のベーキングパウダーには活性成分間の急激な化学反応を防ぐために、でんぷんや小麦粉などの不活性な材料が加えられている。

栄養成分
ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなどのミネラル類を豊富に含んでいる。

無塩バター

牛乳やクリームから作られる乳製品のひとつ。原料クリームの発酵有無で発酵バターと非発酵バターに分類される。乳脂肪分80%以上で、食塩を1~2%添加したものを加塩バター、食塩が添加されていないものを無塩バターといい、無塩バターはお菓子作りに利用される。香味がよい。

栄養成分
脂質は83%で、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンKなどが含有され、ナトリウムが少ない。飽和脂肪酸やコレステロールが多い。良質な栄養源だが取り過ぎに注意。消化力が高く、ビタミンAが皮膚や粘膜を健康に保ち、潤いのある肌を作る。少量でも栄養とカロリーが取れるので、体力の落ちた時やお年寄りにおススメ。

マーガリン

精製した油脂に発酵乳・食塩・ビタミン類などを加えて乳化し、練り合わせて作られる加工食品。エネルギーはバターと変わらないが、コレステロールは低い。油脂が80%以上のものがマーガリン、油脂80%未満のものをファットスプレットという。

栄養成分
原料油脂は植物性油脂で、脂質の約90%が不飽和脂肪酸。必須脂肪酸のリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸を含有し、ビタミンAを豊富に含んでいる。必須脂肪酸が成長を促し、体内組織を強化する。ビタミンAが皮膚や粘膜を健康に保ち、視神経の働きを高める。ビタミンEが脂肪の酸化を防ぎ血の流れをよくして老化を予防する。

卵白と卵黄からなる卵は、ニワトリの生む鶏卵が安定した価格で一番流通している。牛乳と並ぶ良質な栄養素を持ち、たんぱく質は特にアミノ酸バランスに優れている。栄養価が高い。割ったままにしておくと細菌が繁殖しやすくなるので、使用する直前に割るとよい。

栄養成分
たんぱく質と脂質が豊富で、たんぱく質はアミノ酸バランスに優れている。リン、カルシウム、鉄分などのミネラル類、ビタミンA、B1、B2、B12、Dなどのビタミン類も多く含んでいる。黄身にはリン脂質のコリンが、白身にはリゾチームが含まれている。コリンは神経伝達物質「アセチルコリン」の原料となりアルツハイマーの治療や物忘れ防止に期待されている。リゾチームは炎症を鎮める働きがある。

牛乳

牛の乳で、牛乳の他に成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、乳飲料などの種類がある。加熱した時にできる膜は良質なたんぱく質、粒子が細かいので胃の粘膜を保護する働きがある。

栄養成分
たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン類やミネラル類をバランスよく含有している。とくにカルシウムは質・量ともに多く消化吸収に優れている。鉄分や亜鉛も多い。ビタミンA、B2、Cなどのビタミン類も豊富。カルシウムは吸収力に優れ、豊富なたんぱく質と結合して骨や歯をつくり、骨粗鬆症を予防する。乳糖は鉄分の吸収を助けるので、含有されている鉄分と一緒に貧血予防に有効。体力が強化され免疫力が高まる。

塩化ナトリウムを主成分とする調味料であり、生理的にも重要な物質。岩塩、湖塩、天日塩などの種類がある。自然に作られる塩にはミネラルが豊富に含まれ、人体のミネラルバランスとほぼ同様といわれている。食品の灰汁(アク)を取って、渋み、苦み、えぐみを減らす働きがある。

栄養成分
塩化ナトリウムが約78%、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウム、鉄分などのミネラル類、スズ、バナジウム、フッ素、ケイ素、ニッケル、ヒ素、鉛などの微量ミネラルを含有する。水分を取り去りたんぱく質をかためて引き締める働きや殺菌作用がある。

スイーツを作る時の注意

分量は正しく測る

分量を正しく測ることが、失敗しないお菓子作りのはじめの一歩。砂糖や小麦粉などの粉類を測る時は、まずカップに軽くすくって入れ、ヘラを直角より少し傾けてすり切ります。大さじ・小さじも同じ要領で測ります。大さじ1/2を計量する時は、大さじ1を計量してからヘラで半分にします。1/3の時は3等分にしてから2/3を除きます。小さじも同様にして測ります。

粉類はふるっておく

粉類はサラサラに見えていても固まっていることが多いものです。なめらかな生地を作るために、粉類は使用前に粉ふるいでふるい、ダマを除いて空気をふくませてサラサラな状態にしておきます。

粉はサックリ混ぜる

フワッと焼き上げるには、生地を練らずにゴムベラなどで底の方から切るように混ぜます。小麦粉は水分と一緒に練るとグルテンが発生してネバリがでてしまいます。

生地を流し込んだら空気を抜く・中央をくぼませる

生地を型に流し込んだ後に、型を数センチ持ち上げ、軽く落とす動作を数回行います。こうすることで生地を混ぜ合わせる途中で余分に入り込んだ空気を抜き、焼いた時の膨らみ方を均等にします。中央部分をくぼませるのは、焼き上がりの高さを均一にするためです。

焼き上がりは竹串でチェック

焼き上がりは所定の時間や温度に従いますが、オーブンはクセがあり、所定通りにしてもまだ焼きが足りなかったり、逆に焼け過ぎてしまうことがあります。ご自分の使うオーブンのクセをつかむことも大切です。焼き色がついたら途中でのぞき、竹串を中央に指してみましょう。竹串に何もつかなければ中までしっかり焼けている証拠。生地が付いてくるようだったらもう少し焼きましょう。

粗熱を取る・アルミホイルをかぶせる

焼き上がったらオーブンから取り出し、そのままの状態で冷まします。指でさわってみて、ちょっと熱いと感じる温度(45℃前後)になったらOK。型から取り出しケーキクーラーの上に乗せてアルミホイルをフワッとかぶせます。蒸すような感じで温度を下げていくとしっとり仕上がります。

ヘルシー野菜のスイーツレシピ

スイーツとは、甘いケーキやクッキーなど、甘み調味料の代表格砂糖を使って作るお菓子の総称です。「甘いものは別腹」といわれるように、甘みは人間のもっとも好む味覚。生まれたばかりの赤ちゃんも甘みは大好きです。でも砂糖の取り過ぎは肥満を始めとするさまざまな生活習慣病の要因にもなるため、取り過ぎには気をつけたいもの。
ここでは、旬の野菜を利用したヘルシーなスイーツをご紹介します。野菜の栄養素に、ミネラル類を含有した砂糖や粉、良質な脂質を持つバターやマーガリンを加えて、糖分や脂質過多にならないヘルシーなスイーツを作ってみましょう。加える野菜や砂糖、油の量は自分の体調や味覚に合わせて調整できることが、手作りの嬉しいところ。野菜の栄養素を考えながら、体調に合わせたスイーツ作りにチャレンジしてください。

キャベツと白ごまのパイ生地風クッキー

キャベツと白ごまのパイ生地風クッキー
パイ風の生地にキャベツとごまを混ぜ込み、カリッと焼いたクッキーです。キャベツは加熱すると甘みが増え、胃腸の働きを活発にしてくれます。滋養強壮の高いごまも内臓の働きを高める働きがあります。キャベツもごまもカルシウム含有が高く、全粒粉のビタミンB群と一緒にイライラを防ぎ精神を安定させてくれます。薄く伸ばすほどカリッとした食感になります。

ごぼうとパセリのアイスクッキー

ごぼうとパセリのアイスクッキー
セルロースやリグニンなどの食物繊維が豊富なごぼうを使ったクッキーです。ごぼうの食物繊維は水分吸収率に優れており、腸内の善玉菌を活性化させ便秘予防に働く優れものです。β-カロテンが豊富なパセリを一緒に生地に混ぜ込み、抗酸化力を高めて食欲を増進させます。生地がやわらかいので冷蔵庫で寝かせ固めてから切ります。冷凍庫に入れる時は固め過ぎないように気をつけて。

かぶの葉・レーズン・くるみの蒸しケーキ

かぶの葉・レーズン・くるみの蒸しケーキ
春の七草の中で「なずな」と呼ばれるかぶの葉には、カロテン、ビタミンC、鉄やカルシウム、食物繊維などの栄養素がたっぷり含まれています。レーズンと一緒に取ると、レーズンに豊富に含まれる鉄分やカルシウムがプラスされ、貧血や骨粗鬆症の予防が期待できる食べ合わせになります。くるみやオリーブ油の良質な脂質、卵のたんぱく質、粉の糖質と三大栄養素が取れるエネルギーに溢れたケーキです。ほうれん草や小松菜で作ってもおいしいです。

にんじんとブルーベリーのパウンドケーキ

にんじんとブルーベリーのパウンドケーキ
すりおろしたにんじんと、ブルーベリーを一緒に焼きこんだケーキは、眼に栄養を与え疲れた眼をサポートする働きが期待できるスイーツです。ドライアイにも有効で、無塩バターと卵のビタミンAがその効果をさらに高めてくれます。にんじんのカロテンは皮に多く含まれているので、有機栽培のものを利用して皮ごとすりおろすと効果的です。

ブロッコリーの茎のケーキ

ブロッコリーの茎のケーキ
緑黄色野菜のブロッコリーはキャベツの仲間で、蕾にも茎の部分にも栄養素がたっぷり含まれています。発がん抑制作用の高い化学物質スルフォラファンを含有し、さらに活性酸素解毒に働くβ‐カロテンも豊富なため、老化防止にも有効です。残りがちな茎を利用して作るケーキは、食物繊維も豊富に含まれているため腸内の環境を整えて便秘解消に働きます。全粒粉を使うと、ビタミンB群が補われ糖質や脂肪が分解されます。