健康長寿に誘う「スリーフーズ・クッキング」と「機能的な食べ方」
太陽と大地の恵みを受けて育った旬の食べ物は、さまざまな栄養素と薬効を含有しています。薬効は、単独よりも複数で取ること、さらに一緒に調理する過程で水や油、熱が加わり、単独では引き出されなかった成分がかもし出されたり、あるいは吸収が高まるなどの相乗効果が生まれます。単純に1プラス1が2とならず、3にも4にもなるところに、3つの(3つ以上の)食材を食べ合わせるスリーフーズ・クッキングの素晴らしさがあるのです。
人間なら「3人寄れば文殊の知恵」というところでしょうか。普通の人でも、3人で集まって1つのテーマについて三様に知恵を絞ると、その内に文殊様のような素晴らしい考えを生み出すことが出来ます。食べ物も同様で、一つひとつの食材が一緒に調理されることによって、含有されている以上の栄養価が生み出されるのです。
スリーフーズ・クッキングと同様に大切なのは「機能的な食べ方」です。
機能的に食べるとは、どういうことでしょうか。機能的な食べ方とは食べ物の栄養素を十二分に生かす賢い食べ方のこと。食べ物の栄養素にはいくつかの特性があります。調理の仕方によってその栄養素が十二分に生かされたり、逆に半減したりします。栄養素を十二分に生かす科学的な食べ方が、機能的な食べ方といえるのかもしれません。
植物性食品が含有するカロテンは、体内でビタミンAに変わる抗酸化力の高い栄養素です。油や加熱によって吸収力が高まる性質があるので、カロテンを取ろうと思ったら油で炒めたりゆでたりする調理法が効果的です。一方、ビタミンCは一般に熱に弱い性質を持っているので、無駄なく取りたいと思ったら加熱しない、あるいは加熱時間を短くする調理法が効果的となります。
大根おろしのビタミンCは、おろしてから1時間経過すると24%減少します。納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素は、約70℃で活力が失われるといわれています。血栓を溶かす作用があり脳血栓や心筋梗塞を予防する優れた酵素ですが、過熱してはその効果は失われてしまいます。さらに血栓は夜中の3時から4時にかけて発生しやすいので、ナットウキナーゼの効能を考えるのなら、納豆は夜に食べた方が効果的となります。
このように、食べ物の持つ栄養素や薬効には、それぞれ特性があり、その特性を上手に生かした賢い食べ方が「機能的に食べる」ことなのです。
1日3食で1ヵ月で90食、1年で1,080食。人生85年としたら91,800食。この毎回の食事の時に、機能的に食事をする人と、無関心に食事をする人とでは、体に取り入れられる栄養素や薬効に違いが出てきても、不思議ではないでしょう。小さな積み重ねが、健康長寿につながるのです。
おいしいから食べるのは大切なこと。さらに3つの食材を食べ合わせる機能的な食べ方を心がける「食べ方上手」になって、健康な人生を送りましょう。