薬効きのこレシピ
きのこの薬効
きのこは特有の香りと歯ざわりを持った秋を代表する食べ物です。湿気の多い日本の風土に合う特性を持っているため、日本で取れるきのこの種類は実に多く、その数は4000種とも推測され、その内400~500種が食用されるといわれています。
共通して水分が多く、低カロリー。食物繊維、ビタミンB群、ビタミンD、カリウムやリンなどのミネラル類を含んでいます。特有のうまみは、含まれるグルタミン酸などのアミノ酸や、グアニル酸などによるものです。
さまざまな栄養素の中で、きのこが最も脚光を浴びているのは、含有されている多糖類のβーグルカンの効力でしょう。β―グルカンは、低下した免疫力を強化し、強力な抗ウイルス・抗がん作用に働きます。多くの疫学調査から、きのこを日常的に食べる地域にはがんによる死亡率が低いという結果が出され、実証されています。予防の目安として食べるきのこの量は、一日しいたけ2~3枚、えのきだけやしめじは30g位、まいたけは10g位といわれています。
低カロリーにもかかわらず、体の生理機能をスムーズにするビタミンやカリウムを含んでいるきのこは、肥満や動脈硬化などの生活習慣病になりやすい現代人の理想的な健康食品といえましょう。
含有成分
β―グルカン | 不溶性食物繊維の一種で、抗ウイルス・抗がん作用に優れている。きのこの中ではまいたけに多く含まれている。 |
食物繊維 | コレステロール低下に働き、腸の働きを整え便秘予防に効果がある。 |
ビタミンB1 | 糖質を分解し、エネルギーに換える働きがある。長期の欠乏はかっけの原因になる。 |
ビタミンB2 | 脂肪を分解し、体内の過酸化脂質をできにくくする働きがある。肥満やダイエットに有効。 |
ナイアシン | ブドウ糖がエネルギーになるために必要なビタミンで、口内炎や皮膚炎予防に働く。 |
ビタミンD | カルシウム代謝に働き、骨粗鬆症の予防に働く。 |
カリウム | 体内のナトリウムを調整し、高血圧予防に働く。 |
リン | 骨や歯の組織を構成し、強さやかたさを与える働きがある。 |
きのこの薬効を高める
天日で半日ほど干すと、ビタミンDがアップする
菌類の細胞膜を構成するエルゴステロールは、紫外線にあたるとビタミンDに変わる性質を持っています。生しいたけは、半日ほど天日で干すとビタミンDがグンと増加するので、調理前に紫外線にあてると効果的です。市販の干ししいたけの多くは火力乾燥させているものが多いので、紫外線を当ててビタミンDを増加させましょう。
しいたけの軸は天日乾燥で保存する
しいたけの軸もうまみがたっぷり含まれているので、無駄なく利用しましょう。細かくして料理に利用するのが一般的ですが、細かく手で割き、天日で干して乾燥させるのがおススメです。乾燥させた軸はビンなどで保存し、使う時は水で戻して使います。
きのこを冷凍保存する
水分の多いきのこ類は保存期間が短いのが特徴です。保存方法として、乾燥、オイル漬け、しょうゆ漬けがありますが、手軽な保存方法は冷凍保存。しいたけは石づきを取り、カサと軸に切り分けます。えのきだけは根元を切り落とし、細かくほぐします。しめじは石づきを取り、ほぐします。それぞれ使いやすい分量を保存袋に入れ、平らにして中の空気を抜くようにして口を閉じ、冷凍庫にいれます。
水洗いは手早く
香りを生かすためには、水洗いをしないで使うのが一般的です。汚れを落とすには、布巾で全体をふくとよいでしょう。カサの裏のヒダの汚れは、上から軽くたたいたり、刷毛で払い落とします。水洗いをする時は、手早く流水で洗い、すぐに水気をふき取ります。長く水に浸けていると、栄養成分が流失し、傷みが早くなります。
炒める時は強火で手早く
炒める時の加熱は、強火で素早くするのがおいしさの秘訣です。きのこは水分が多いので、弱火で加熱すると水分が流失し、一緒にうまみや栄養成分も流失してしまいます。
保存できる「きのこのしょうゆ漬け」
きのこは水分含有が高く、さらに各種酵素を多く含んでいるため、変質しやすい性質を持っています。収穫してからできるだけ早く食べるのがベストですが、使いきれない時はしょうゆ漬けやオイル漬けにして保存しましょう。
ここでは簡単なしょうゆ漬けの作り方を紹介しましょう。大根おろしや野菜、大豆製品と和えたり、麺やスパゲッティの具にしたりと、幅広く応用でき重宝します。保存の目安は冷蔵庫で2週間。
残ったしょうゆだしには、β―グルカンが溶け出ているので、煮物や炒め物などに無駄なく利用しましょう。
材料
えのきだけ | 200g |
しめじ | 180g |
しいたけ | 2個(40g) |
A みりん、酒 しょうゆ 昆布だし汁 | 各1/4カップ 1/2カップ 1/2カップ |
作り方
- えのきだけは根元を切り落とし、ほぐす。しめじは石づきを切り落とし、ほぐす。しいたけは石づきを切り落とし、軸を切り、細切りにする。
- きのこはさっと水洗いをし、よく水気をきる。
- 鍋にAを入れ、ひと煮立ちさせ、きのこを入れ4~5分弱火で煮る。
- 冷めたら保存瓶に入れる。