わらび

bracken

解説

古くから食用されている山菜で、日当たりのよい山地に自生します。繁殖力が強く、春に若葉が巻いているものを茎ごと食べるので「早蕨=さわらび」と呼ばれ、また子どもの拳に似ていることから「蕨手=わらびて」とも呼ばれています。根茎から取れるでんぷんのわらび粉から、わらび餅が作られます。根茎はインドでは下痢止め、欧州では民間薬の虫下しとして利用されています。

成分

カロテン、ビタミンB2、カリウム、食物センイが多く含まれている。干しわらびになると栄養素(とくにカロテン)がアップする。生わらびはビタミンB1分解酵素アノイリナーゼを含んでいる。

調理ポイント

アクが強いのでアク抜きをする。熱湯に木灰か重曹を入れてゆで、水にさらす。
ビタミンB1分解酵素のアノイリナーゼを含んでいるので加熱するとよい。加熱するとその効力は失われる。

レシピ

わらびの松前漬け

松前漬けは昆布が産地の北海道やその一部地域の郷土料理で、昆布を使った漬物です。昆布にはヨードや食物繊維が豊富に含まれ、ヨードはホルモンを生成し、食物繊維は便通をよくする・余分な塩分を体外に排出する・免疫力を高めて抗がん作用に働くなどの効能を持っています。わらびとスルメのカリウムが体内の塩分を排出して血圧を安定させ、わらび・スルメ・昆布の食物繊維がコレステロール値低下に働きます。スルメのうまみはベタイン・グリシン・タウリンなどのアミノ酸で、松前漬けはよく噛むため、脳の働きが高められ、老化防止に有効と言われています。

たたきわらびのやまかけどんぶり

でんぷんを分解するジアスターゼやアミラーゼを含んでいるやまいもは、一緒に食べたものの消化吸収を高めるため、滋養強壮に優れた効果を発揮し、生食だとさらにその効果が高まります。わらびのビタミンB1分解酵素の働きは加熱により効力を失うので、ゆでたわらびの薬効は米の糖質を分解してエネルギーに変え、疲労感や倦怠感回復に働きます。

わらびの酢の物

わらびはカロテン、カリウム、食物繊維などを豊富に含む山菜で、干して乾燥させると栄養価がグンとアップします。カリウムが血圧を安定させ、食物繊維が体内の老廃物排出に働くため、寒さで体を動かすことが少なく血圧も上昇しやすい冬場には、ぜひとも取りたい食品です。生わらびにはビタミンB1分解酵素のアノイリナーゼが含まれていますが、加熱することでその効力は失われます。

わらびと油揚げの煮物

油揚げは大豆から作られる豆腐と同様の栄養素を持っています。主成分は良質なたんぱく質と脂質で、豊富なリノール酸は血中コレステロール値低下の働きを持っています。わらび、油揚げ、昆布に含まれる食物繊維には血中コレステロール値低下、腸内の有害物質排出などの働きがあり、わらびと油揚げの煮物は脂質異常や便秘予防に有効な食べ合わせです。うずらの卵は5個で鶏卵の1個分の栄養価に値する優れものです。