赤じそ

赤じそとは

赤じそ

原種は赤じそ

赤じそはシソ科の一年草です。しそは葉の色により品種が分けられ、「葉の両面ともに紅紫色の赤じそ」、「青緑色の青じそ」、「表が緑色で裏が紫色の片面じそ」があり、さらに「葉がちりめん状になった縮緬じそ(青ちりめん、赤ちりめん)」があります。一般的に売られているしそは「大葉」と呼ばれる青じそが主流ですが、「しそ=紫蘇」の漢字からも推測されるように、しその原種は赤じそで、青じそはその変種といわれています。
原産は中国・ミャンマー・ヒマラヤ圏で、日本への渡来ははっきりしませんが、縄文時代の遺跡からしその種子が発見されており、薬用として平安時代には栽培が始まっていたと伝えられています。

丸ごと利用できるしそ

しそは葉の他、芽じそ(子葉から幼苗期)、穂じそ(若い花穂)、しその実と丸ごと利用できる植物です。葉も実も芳香があり、古来より日本料理の香づけとして用いられてきました。特に赤じそは水溶性アントシアニン系のシソニンを含んでいるため、梅干しやしば漬け、紅しょうがなどの色付けとして利用されています。赤じその葉は「蘇葉(そよう)」「紫蘇葉(しそよう)」とも呼ばれ、中医学では「停滞している気を改善する、精神を安定させる」効能があるとされています。

名の由来

中国三国時代のこと、洛陽に住む若者がカニの食べ過ぎから食中毒を起こし瀕死の状態に陥っていました。その時、名医・華佗(かだ)(薬学・鍼灸を得意とし、「神医」と呼ばれた医師)が置いていった薬草を煎じて作った紫の汁を飲ませたところ、若者はたちまち回復し健康を取り戻しました。この薬草がしそで、命が蘇ったことから「紫蘇」と名付けられたと伝えられています。以来、しそは魚介の毒を消すものとして利用され、今でも刺身のつまとして必ず添えられています。

赤じそに含まれる主な成分

古来より薬用として使われてきたしそは特有の香りを持ち、カロテンやビタミンCなどの各種ビタミン類や、カルシウム、鉄などのミネラル類など様々な成分を含んでいます。色や形状により数種類の品種があり、栄養成分も若干異なりますが、ここではしその原種とされる赤じその成分を紹介しましょう。

強い抗酸化力を持つシソニン

赤じその赤い色はアントシアニン系色素のシソニンです。アントシアニンはフラボノイドの一種で、花や果実などに広く分布する色素で、pHや温度などの様々な条件により、橙黄色から青まで幅広い色調があります。赤じそに含まれるシソニンは酸と反応すると鮮やかな赤色に発色するため、日本ではこの特質を利用して古来より梅干しが作られてきました。シソニンは強い抗酸化力を持ち、ストレスなどで発生する生活習慣病の元凶となる活性酸素除去に強力に働きます。視機能改善や血小板凝集阻害作用なども報告されており、また防腐効果にも優れているため、梅干しに赤じそを利用すると保存性が高まります。

精油成分のペリルアルデヒドが食中毒予防に働く

しそ特有の香りはペリルアルデヒドと呼ばれる精油成分です。シソアルデヒドとも呼ばれ、防腐作用や細菌類の繁殖を抑える働きがあるため、腐敗を防いで食中毒予防に働きます。古来より刺身のツマや薬味としてしそが利用されるのはこのような効能ゆえです。ペリルアルデヒドには消化酵素の分泌を促し、食欲を増進させて胃の働きを整える働きも持っています。
強い防腐作用があることから、お風呂に入れると冷え性や神経痛に効果があるといわれ、もみ汁を切り傷の化膿防止に利用するなどの民間療法が伝えられています。

ルテオリンが花粉症抑制に働く

しそ(特に種子)に含まれるフラボノイドの一種のルテオリンは、Ige抗体の分泌を促して花粉症の原因を増長する原因物質のひとつを抑える働きを持っています。この働きは赤じその方が高く、花粉症の時には1日6~10枚の葉を取るといいといわれています。
ルテオリンはフラボノイドの中でも抗酸化力に秀でています。一般的に植物中のフラボノイドは糖のついた配糖体という形で存在しており、腸管で糖が切り離されてアグリコンになって吸収されるといメカニズムを持っています。しかし、しそに含まれるルテオリンは始めから糖のついていないアグリコンという形で存在しているため吸収されやすく、抗アレルギーや抗炎症に有効に働くと考えられています。
ルテオリンは加熱しても壊れず、アルコールに溶けやすいという性質を持っています。

α‐リノレン酸が免疫正常に働く

しその実やえごま(しその仲間)から抽出される油には、α‐リノレン酸が含まれています。α‐リノレン酸は体内でEPAに変化する必須脂肪酸で、免疫を正常にしてアレルギー症状を抑える働きを持っています。このことからしそは、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状の緩和に効果が期待できます。

赤じそレシピ

古くから薬用植物として食生活に利用されてきた赤じそ。紅紫の色はアントシアニン系のシソニンで強い抗酸化力を持ち、胃腸強化やストレス性疾患の解消などに働きます。抗アレルギーに作用するルテオリンや、食欲増進に働くシソアルデヒドなどを含むしそに、魚や肉などの良質なたんぱく質と食べ合わせると、免疫力がさらに高まる食べ合わせになります。

赤じそ寿司

赤じそ寿司
しめサバは新鮮なサバを塩でしめ、さらに酢でしめて作るサバの刺身の一手法です。傷みが早いサバは酢でしめることで脂質の酸化を予防することができ、良質なEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を取り入れることができます。α‐リノレン酸を豊富に含む赤じそとサバを一緒に取ると、動脈硬化や脳卒中予防に有効な食べ合わせになります。しそのシソニンとにんじんのβーカロテンの高い抗酸化力が活性酸素除去に働き、細胞の酸化を予防します。ストレス解消や精神安定も期待できます。

赤じそのそばパスタ

赤じそのそばパスタ
しその持つビタミンやミネラルを簡単に無駄なく取り入れることのできるパスタです。しそはにんにくや唐辛子と一緒に取ると血栓予防効果が高まり、オリーブ油のオレイン酸とイカのタウリンが血中のLDL(悪玉コレステロール)低下に働くため、しそ・にんにく・唐辛子・イカを一緒に取ると、脳卒中や動脈硬化の予防に有効な食べ合わせになります。消化がよくビタミンB1やB2を豊富に含むそばが即エネルギー源となり、体力強化につながります。カツオ節や錦糸卵で良質な動物性たんぱく質を補います。

赤じそのねぎフライ

赤じそのねぎフライ
新鮮なねぎの白い部分は中医学では「葱白(そうはく)」と呼ばれ、薬用に用いられています。ねぎの持つ含硫アミノ酸類は胃液の分泌を促して消化を助け、ビタミンB1の吸収を高めて疲労回復や冷え性改善に働きます。赤じそ・豚肉・ねぎを一緒に取ると、食欲が増進され疲労回復や精神安定に優れた食べ合わせになります。血流促進にも優れているため、老化防止や更年期障害の改善も期待できます。

赤じそアーモンド味噌

赤じそアーモンド味噌
アーモンドに豊富に含まれる一価不飽和脂肪酸や食物繊維、ごまに含まれるリノール酸やオレイン酸はコレステロール低下に働くため、赤じそとアーモンドを一緒に取ると、心臓疾患や動脈硬化などの予防に有効な食べ合わせになります。また、赤じそとごまを一緒に取ると、アントシアニンの吸収が高まり細胞の酸化予防効果が高まります。赤じそに含まれるフラボノイドの一種のルテオリンは加熱しても壊れない、吸収されやすいという特性を持っており、抗アレルギーや抗炎症に優れた効果を発揮します。赤じそを通年を通して常食することで花粉症軽減が期待できます。