ザワークラウト

ザワークラウトとは

「酸っぱいキャベツ」

ザワークラウトとは「酸っぱいキャベツ」という意味のドイツ語です。ヨーロッパの食文化は肉が中心で、肉を塩漬けにして作るハムやベーコンなどの加工品が多く作られています。これらの肉加工品の味を引き立てるのに欠かせないのが、ヨーロッパの「酸っぱい」漬物で、その代表格がザワークラウトです。副菜としてソーセージなどに添えられたり、肉と一緒に煮込んだりして利用され、特にドイツでは「フィルダ—クラウト」というザワークラウト専用のキャベツの品種があり、そのキャベツを使って歯触りのよいザワークラウトが作られています。

ルーツは紀元前の古代ローマ時代

ザワークラウトはドイツを中心に発達してきた食品ですが、ルーツは紀元前の古代ローマ時代に誕生した「キャベツに果汁や酢をかけて樽で保存したもの」と言われています。13世紀半ば頃の文献にはドイツでザワークラウトの製造会社があったという記録が、16世紀の王族の結婚式のメニューとしてザワークラウトが供されたとの記述も残っています。寒さ厳しいドイツでは、ザワークラウトは冬の貴重な野菜の保存食として人々の健康維持に欠かせない栄養源でした。

豊富なビタミンCが壊血病を予防する

16世紀になると、ザワークラウトに壊血病予防効果があることが知られるようになり、特にビタミンC不足に悩む船上での船員の食糧として利用されるようになります。イギリスの探検家であるキャプテン・クックは1768〜1771年に亘る第1回の南太平洋探検航海の時に、ザワークラウトとかんきつ類を船に積み込み、船員の壊血病発症を予防したと言われています。壊血病とはビタミンC欠乏により発症する病気で、歯肉からの出血や全身倦怠感などの症状を伴う栄養失調症です。船上では新鮮な食糧不足から慢性的なビタミンC欠乏が起こり、それによって発症する壊血病が深刻な問題になっていました。この船上での壊血病予防に、ザワークラウトに豊富に含まれるビタミンCが大きく貢献したのです。

世界中で食されているザワークラウト

19世紀に入ると、新大陸へ向けて各国からの移民が盛んに行われるようになり、ザワークラウトはドイツの移民たちによってアメリカ大陸に伝わります。ヨーロッパの漬物だったザワークラウトは今やソーセージとともに全世界で食べられている食品となっています。各国によって名称もさまざまで、英語では「サワークラウト」、フランス語では「シュークルート」、オランダ語では「ズールコール」、ロシア語では「クヴァ—シナヤ・カプースタ」と呼ばれています。

ザワークラウトに含まれる主な成分

キャベツの細切りを塩漬けした後、微生物の働きで乳酸発酵が進み、特有の酸味を持った漬物に変身するザワークラウトは、キャベツに含まれるビタミンCと発酵過程で生まれる乳酸菌が豊富に含まれた食品です。さらにキャベツに含まれるビタミンUやK、カルシウムやカリウムなども含有されています。

ピロリ菌や花粉症などにも作用する植物性乳酸菌

ザワークラウトの乳酸は、野菜の中のブドウ糖や果糖などの糖類を分解して乳酸や酢酸を作り出す「植物性乳酸菌」です。乳酸菌にはこの植物性乳酸菌と、ヨーグルトなどの乳酸菌は、牛乳などに含まれる乳糖を分解して乳酸を作り出す「動物性乳酸菌」があり、この乳酸菌の違いで酸味や風味が異なってきます。
植物性乳酸菌は動物性乳酸菌に比べて胃酸などに強く、生きたまま腸に届く割合が高いため、腸の働きや免疫力を高める働きに優れていると指摘されています。胃がんの一因と考えられているピロリ菌に対する抗菌作用、花粉症などのアレルギー症状緩和などの作用があることが報告されています。
一般に乳酸菌は腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やし、乳酸や酢酸を作って悪玉菌減少に働き、整腸作用を発揮します。人間の腸内に棲み有用な働きをするため善玉菌と呼ばれ、腸内で作られた有害な物質を乳酸菌の体の中に取り込んだり、分解したりする機能があるため、善玉菌を増やす乳酸菌を取ると、腸内へのウイルスや細菌の侵入が予防される、便秘が改善される、老化や生活習慣病が予防されるなどの働きが生まれてきます。
また、乳酸菌はいろいろな風味成分を作り出し、pHが低い(酸性)ため保存性を高める働きも持っています。

ビタミンC

ビタミンCは「アスコルビン酸」とも呼ばれる毛細血管、歯や骨、軟骨や結合組織を丈夫にする働きを持っている栄養成分です。欠乏すると皮下出血や歯茎が紫色になるなどの症状が表れ、ひどくなると壊血病を発症。また、骨や歯がもろくなり骨折しやすくなります。水溶性ビタミンで熱に弱いため、「水に浸けすぎない」「加熱しない」のがベストな取り方です。ビタミンCは風邪などの発熱時に消耗が激しく、貧血時にも赤血球の再生を助けるビタミンとして必要です。ヘビースモーカーの場合も消耗が激しいので、十分な補給が必要です。

潰瘍を治すビタミンU

ビタミンUは「抗潰瘍性ビタミン」と呼ばれ、胃や十二指腸の傷ついた粘膜を修復して潰瘍を治す働きを持っているビタミン様物質(ビタミンに類似した作用を持つ)です。体内で生成されず、また体内で蓄積されない成分なので、必要に応じて食品などで取り入れることが大切です。キャベツに多く含まれ、その働きは秋キャベツよりも春キャベツの方が優れています。加熱に弱いので新鮮な食材を生食や酢漬けにするのがベストですが、加熱する時は強火でさっと炒める、煮汁ごと取るなどにすると損失を少なくすることができます。

骨の維持に必要なビタミンK

ビタミンKはK1、K2、K3などがあり、多くの食品に含まれている脂溶性のビタミンです。腸内細菌によっても合成されるため、欠乏症はみられませんが、母乳の含有量が低いと乳児に頭蓋内出血などの症状が表れることがあります。血液凝固因子プロトロピンの生成や骨の維持に必要な成分で、骨粗鬆症の治療薬としても使われています。

多機能に働くカルシウム

カルシウムは骨や歯を形成する栄養素ですが、神経の伝達機能や神経の興奮を抑える、ホルモン分泌を円滑にする、筋肉の興奮を調整する、出血時に血をかためるなど、多機能に働く大切なミネラルです。成長期の子どもはもちろんのこと、閉経以降の女性に多い骨粗鬆症の防止にも有効に働き、また、カルシウムが十分に摂取できていると、血管の老化や予防動脈硬化の予防が期待できます。

血圧調整に働くカリウム

カリウムは生物界に広く分布する必要不可欠なミネラルです。体内のすべての細胞に含まれ、ナトリウムが主に細胞外液に存在するのに対して、カリウムの約90%は細胞内液に存在します。ナトリウムとバランスを取りながら、細胞を正常に保つ・血圧を調整するなどに働き、心筋の収縮に重要な働きを持つ成分です。植物性食品に多く含まれ、普通の食生活では不足することはありません。

ザワークラウトの作り方

塩を振った細切りのキャベツをかめに入れて重しをして作るザワークラウトは、キャベツから出る水分が漬け汁となって発酵が進み、栄養価の高い発酵食品となります。乳酸菌がキャベツの中の糖分を食べ、乳酸や有機酸を出します。乳酸が野菜に酸味を付け、有機酸が香りや味を付け、ザワークラウトは特有の酸味や香りを持つ漬物へと変身します。発酵に要する時間は、冬は長く夏は短くなるので、途中で味をみて自分の好みの味になったら冷蔵庫に入れて保存してください。また、発酵作用は空気にさらされると鈍るため、漬け汁が減るごとに塩水を注ぎ入れ発酵を促しましょう。
ザワークラウトに欠かせないキャラウェイシードはヒメウイキョウというセリ科の1〜2年草の植物の種で、スパイスとしてよく利用されています。形状は少し弓形に曲がった5ミリほどの大きさで、色は褐色。甘くさわやかな香り、ほのかな苦みを持ち、粒のまま、あるいは粗挽きにして使用されています。食欲増進や消化促進などの効能を持っているスパイスです。

所要時間:30分
寝かせる時間:10日間

材料

キャベツ1キロ
[A]塩…20g
キャラウェイシード…5g
[B]ローリエ…1枚
赤唐辛子…1本(種を取り、半分に切る)
粒黒こしょう…10粒

作り方

  1. キャベツは外葉を取り除き、四つ割にする。
    ザワークラウトの作り方
  2. 芯を取り除く。
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  3. 3mm程度の細切りにする。
    ザワークラウトの作り方 ザワークラウトの作り方
  4. ボウルにキャベツとAを入れ、両手でよく混ぜ合わせ、水分が出るまで軽くもむ。
    ザワークラウトの作り方
  5. ④にBを加えて混ぜ合わせる。
    ザワークラウトの作り方
  6. 清潔に洗った容器に入れ、キャベツの外葉をかぶせ、重石をする。
    ザワークラウトの作り方
    そのまま、冷暗所で約10日間寝かせて発酵させる。発酵の目安はキャベツが黄色くなり酸っぱくなったら完了。また、寝かせる時間は温度と関係するので、春夏は3〜7日間、冬は10日間を目安にする。
    ザワークラウトの作り方
  7. 発酵が進み好みの味になったら清潔な密閉容器に移し替え、冷蔵庫で保存する。約2週間保存可能。長期保存をする時はガラス瓶に入れて脱気殺菌すると常温で長期保存できる。
    ザワークラウトの作り方

ザワークラウトレシピ

ザワークラウトは細切りキャベツを塩で漬け込み、自然に乳酸発酵させて作る漬物です。寒さ厳しいドイツでは冬の貴重な保存食として各家庭で作られ、ハムやソーセージの付け合せ、炒め物、煮物などに利用されています。ザワークラウトの乳酸菌は、野菜の中のブドウ糖や果糖などの糖類を分解して乳酸や酢酸を作り出す植物性乳酸菌です。植物性乳酸菌は動物性乳酸菌よりも胃酸などに対する抵抗力が強く、腸に届く割合も高いという特性を持ち、腸の働きを整え免疫力を高める働きに優れています。ヨーロッパ生まれの漬物ですが、しょうゆとの相性もよく、和食との食べ合わせはおススメです。豊富に含まれるビタミンCは熱に弱いので、火を通す場合は手早く炒めたり揚げたりすると、損失を防ぐことができます。

ザワークラウトのチヂミ

ザワークラウトのチヂミ
小麦粉と米粉、ザワークラウトで作るチヂミは、炭水化物・たんぱく質・ビタミン・ミネラルがバランスよく取れる食べ合わせです。小麦粉と米粉は気力を増して体力をつける作用に優れ、ザワークラウトの豊富な乳酸菌が腸内で善玉菌を増やして腸内環境を整えます。オリーブ油のオレイン酸が血中コレステロール低下や胃酸の分泌を調整し、にんじんと青ねぎに含まれる高い抗酸化力を持つβーカロテンが細胞の酸化予防に働きます。

ザワークラウトとベーコンの海苔巻

ザワークラウトとベーコンの海苔巻
たっぷりのザワークラウトで作る海苔巻は、栄養バランスに優れたビタミンCが豊富な一品です。乳酸菌やビタミンCを豊富に含んでいるザワークラウトを、パプリカや海苔のビタミンC・ビタミンA(β―カロテン)と一緒に取ると、血管強化や活性酸素除去、メラニン色素の沈着を防いで美肌作りに有効な食べ合わせになります。豚肉から作られるベーコンはビタミンB1を豊富に含み、疲れが体内に溜まるのを防ぎ、体や脳の働きをスムーズにしてくれます。

ザワークラウトとタラのオーブン焼き

ザワークラウトとタラのオーブン焼き
タラは良質なたんぱく質やカルシウムを豊富に含む白身魚です。ザワークラウトと一緒に取ると、カルシウムが豊富なダイエット食となり、骨粗鬆症や生活習慣病予防などに有効な食べ合わせになります。たまねぎ・パプリカ・きのこに含まれる食物繊維が、ザワークラウトの乳酸菌と一緒に腸内環境を整え、コレステロール値低下や便秘解消に働きます。